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第五層、ケルベロス

「よし、私もアレスのようにクリアする事が出来た」

 と、言いながら、ジークは剣を直した。


 これまでとは違い、第四層はボスがキングウルフ一匹だけだった。一匹で強敵だとしても、彼は打ち勝つ事に成功した。そして、次の第五層に足を踏み入れようとしていた。


 僕は彼が行く前に言った。

「今度の第五層は、アレスとジークの二人で挑戦してみてくれ…何かあったら、すぐに駆け付けるから」


 二人は僕を見た後に、納得したような顔をした。

「分かった。宝箱がある事だし、強敵であるイメージも強いからな」

 と、ジークが言いながらアレスを見た。


 今度はジークに返事をするように、アレスが言った。

「うん。よろしく、ジーク」


 その姿から二人の関係はもう大丈夫のようだった。

 僕らは地面に開いた階段をゆっくりと、降りた。





 今回は奥から大きな魔物がゆっくりと近付いて来た。


 手には棍棒を抱えている、大きな二足歩行の獣。ケルベロスだった。


 その目と体全体から溢れる、殺意はひしひしと僕らに伝わった。だけど、恐れる事なくアレスとジークは剣を抜いた。それに合わせて、ケルベロスも鼻息を荒くさせた。その魔物にもよく戦いの意味が分かっているようだった。


 ジークがケルベロスを眺めながら、呟いた。

「行こう……でも、まずは安全第一だ」


「あぁ。そうだな」

 と、アレスも返事をした。


 彼らは攻撃を仕掛けるために、急いで走り出した。あの肉体には、遠距離の魔法も効かないようだった。先程のキングウルフから、彼らは理解していた。今回は難しい戦いになるだろう、と。


 二人の動きに合わせるより、ケルベロスが同様に突進して来た。正確に言うと彼らより、更に速いスピードと力でだった。最初から怪我をさせる事だけを思わすように、棍棒が振り下ろされた。


 だが、彼らも黙って過ごしている訳にはいかない。素早く詠唱を行なった。

「【魔法の盾(ア・シェルド)】」

 と、アレスがすかさず上に盾を生んだ。


 そして、ジークが後に続いた。

「【炎弾(フレマ・ブレド)】」


 大きな炎がケルベロス目掛けて、放たれた。ジークは動物の火の恐怖を利用した。

 が、ケルベロスは更に暴れた。特に目的のないまま、ケルベロスが棍棒を何度も振り下ろした。


「ちっ。【魔法の壁(ア・ブロク)】。【魔法の盾(ア・シェルド)】」

 と、ジークもアレスと同じ防衛に参加した。


 このままではケルベロスの攻撃が更に激化する、可能性が高かったから。

 彼らは何とか魔法のバリアを作り、ケルベロスからの攻撃を防ごうとした。が、段々押されていると僕から見るとよく分かった。大きなケルベロスの足が彼らを押し潰そうとしていたのだった。




「おーい。大丈夫か?」

 と、僕は後方から聞いた。


「そんな訳ないだろ…どう見たらそう言えるのだ?」

 元気そうな声でジークが叫んだ。


 彼らは更に押され始めていた。


「うん。そこまで言えると言う事は、大丈夫そうだね。もっと魔法を発動出来ないの?」


「そこまで何度も発動出来ないっ」

 と、ジークは吐き捨てるように返事をした。


 その必死さは誰でもよく分かった。ただ、ケルベロスはそんな事関係ないようだった。僕はするべき課題を新たに見つけた。このままでは、更に下部に行く事は出来ないのだった。この問題を早めに解決しない限りは。



「仕方ないな……悪い子は大人しく死ぬがいい」


 僕はそう呟いてから、ケルベロスに致命傷となる攻撃を放った。


 叫び声を上げながら。ケルベロスは倒れた。




「おいおい。一発で倒せるじゃん。レイ。何で早くしてくれなかったの?」

 と、またまた不満そうなジークがいた。


「ダンジョンを一瞬で吹っ飛ばして、楽しい人はどこにいる?」



 僕は真面目にそう返した。


 すると、彼は何も言わなくなった。




 ただ、ケルベロスがいた場所にはポーションが置かれていた。


 小型よりは大きいと思われる、中級あたりだった。

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