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第四層、キングウルフ

 アレスが第三層をクリアした事もあり、僕らは次の第四層に向かった。僕はアレス一人が終わらせてしまうと思わなかったけど、意外と出来る彼らであるようだった。


 第四層に降り立ったジークは、剣を抜いた。敵が来るのを待っていた。すると、奥から大きめの狼と思われる魔物が現れた。先程のヘルウルフと比べるとその大きさも、怖さも違う。ジークが持つ剣のように、その牙と目がきらりと輝いた。


「…キングウルフだな」

 と、僕は彼らに呟いた。


 これは四足動物の戦闘に慣れていない人からしたら、ただの虐めでしかないだろう。先程より切るためには力と勇気がいる。第三層で苦戦していたら、ここでやられる可能性が高い。幸い、ジークはアレスより力がある。なので、勝てる見込みは非常に高かった。


 この次の層も強敵が待っている。そして、その先にはトラップが沢山付けられた、宝箱が。新たな試練だけしか与えないのが、ダンジョンであった。だが、魔物を倒すごとにポーションが得られる。今は小型のだが、より大きい魔物によるとそれも変わって行く。ちゃんと努力は返って来ると言う、素晴らしい特典付きだった。

 現実ではここまで順調に行く事はないかもしれない。



 ヘルウルフとは違い、キングウルフは今の所一体だけのようだった。もしかしたら、一匹狼のようなものなのかもしれない。


 ジークは構えてから、走り出した。その場にいても攻撃がしにくい事と、僕らに被害を及ばせないためなのだろう。


「グラゥ…」

 キングウルフは鳴きながら、自らジークに飛び掛かった。


 ジークはそれに対応するように切り付けたが、硬い毛皮に刃はさほど通らなかった。これではいけないと仕方なく、ジークは剣を抜いた。


 このままでは特に策がないので、ジークは素早く攻撃を避けた。そして、また突進してくるキングウルフを眺めた。流石の第四層は手強くなっていた。


 剣を構え直すと、ジークは剣を突き刺した。唯一の弱点と言える、目に剣は吸い込まれた。ジークは魔法も使えたが、今は剣の方が戦いやすいと思っていたようだった。彼のような剣も使える魔法使いがいれば、無駄死にする人は少なくなるかもしれないのだった。


「ギャンッ」

 と、キングウルフが呻き声を出した。

 見ていた僕らも痛そうだな、としか呟けなかった。


 ジークが視界を制限させた事で、キングウルフの動きは鈍くなった。でも、その目から放たれる殺意は変わらない。逆に増している様子でもあった。その魔物は両手と牙は未だ使えた。だから、まだ戦い続ける事が出来た。キングウルフにはその思いと力が、あった。


 だが、それをジークが許す訳がない。



 キングウルフの攻撃を交わしながらも、ジークは少しずつ致命傷を与え始めていた。正確に急所を突いていた。それに合わせて、キングウルフの呻き声も増える。


 ダンジョンは呻き声と、血で溢れていた。そして、ジークから放たれる熱もあった。


「ギャッ…ン」


 最後の鳴き声をあげて、やがてキングウルフはジークの攻撃に倒れた。




 僕らは自然とジークに手を叩いていた。


 その戦いは何とも見応えのある、綺麗に戦いであった。彼が一度危ない目にはあったけど。

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