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トラップは壊せば、怖くない

 僕らは休憩を挟んだが、ずっとそうする訳にもいかないのでまた剣を持つ事にした。


 僕は自分が狩ったゴブリンがドロップした、小型ポーションを拾った。一日中、狩りをする訳ではないので、まだ精神的な負担は少なかった。体力もまだあり、魔力は未だ底が見えないほどあった。


 アレスとジークは少し顔色が治っていた。ただの小型ポーションを利用しただけだから、気休めにしか使えない。彼らが本当に調子が悪そうな時は、中級ポーションでも何でも収納魔法で出そう、と考えていた。



 その後は誰も話さず、ただゴブリン狩りに勤しんだ。と、言うか口を開けたら大変そうだから、だったと言う方が正しいかもしれない。けど、彼らはこのフロアの最後のゴブリンを倒すまで、剣を振り続けていた。


 今日一番の最悪な場面を乗り越えたら、後は狩りが平気になる。魔物の中でゴブリンぐらいが、一番倒す時に気持ち悪いから。後は、ただの魔物。獣にしか見えなくなり、そこまで可愛くない。もし、可愛いけど凄く強い魔物が現れたら、ただの詐欺でしかない。


 僕が自分の獲物を突き刺した時に、声が聞こえて来た。

「「疲れたっ…」」

 と、アレスとジークが地面に座り込んでいた。


 剣を鞘に直さないまま、近くの地面に放っていた。ちゃんと取りやすい場所に置かないと、非常時の時に動きにくくなるのだった。


 僕はゴブリンの胸から剣を引き抜くと、剣を振って付いていた血を落とした。そして、鞘の中に入れた。


「ほらほら、剣はちゃんと鞘に直した方がいいよ」

 と、僕は彼らに歩み寄った。


 すると、何とか頷きながら僕が言ったようにしてくれた。


 今にも倒れそうな彼らを見て、どうしようかと思った。まだ、ダンジョンを出た訳ではないから、警戒を解かれる訳にはいけない。どこにだって、危険が潜んでいる可能性が高いのだった。


 まずは彼らを元気にするために、広範囲の回復魔法を発動させた。これで心も、体の疲れも全て治る。大抵の怪我も実は治るのだった。



「あー生き返るよ」

 と、アレスが気持ちよさそうに寝転がった。


 もう、ゴブリンは消えていたので、血が付く事はなかった。でも、ダンジョンで無闇に動くのは、よくない。今はトラップの有無を確認して、あれば勝手に処理していたから大丈夫だった。入口にも地下何層にも落ちる、トラップが実は仕掛けられていたが、作動する前に壊しておいた。


「気持ちいいな」

 と、ジークもアレスと同じような行動をした。


 人は誰かがしているのを見ると、真似をしたくなる。その時をよく理解出来る、場面だった。



 僕は彼らに注意した。

「そんなに、転がっていたら危ないよ」


「何で?」

 と、アレスが寝転がった体制で、顔だけ上げて来た。


 ジークも同じようにこちらを見た。


 僕は軽く溜め息を付きながら、言った。

「ダンジョンは魔物が住む所。だから、至る所にトラップが仕掛けられている。新しい層に入る所だけにある訳ではない、と言う事。今もアレスの上や、ジークの真下にもトラップがあるのだよ」

 と、その場所を指差した。


 アレスとジークはトラップの場所を触らないように、飛び上がった。でも、冷静なジークはすぐに質問して来た。

「レイ。だが、まだトラップに一度も引っ掛かってないだろ?」


「うん。僕もそう思った」

 と、アレスも言葉を付け加えた。




「それは僕が処理していたからだ。だから、一度もトラップに当たらず、安全な冒険が可能だったと言う事」


 そう言うと二人は驚きを示した。ただ狩りをしているだけで、暇だった僕は少し楽しい気分を味わった。


「それは…知らなかったな」

 と、ジークがアレスの心も代弁するように、言った。


「でも、簡単だから大丈夫だよ、ただ狩りをするだけでは、暇だから」



 そうか、とジークは呟いてから、僕の方を向いた。何かを思い付いた時の彼の顔である。


「私が出来る、技か?」


「無理だね」

 と、だけ僕は即答しといた。

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