第一層、スライム
僕は魔物と遭遇する前に全員に、攻撃無効を付与した。
もし誰かが怪我をしたら治せるとしても、怪我をしたと言う事実は残さない方がいい。やっぱりするなら、完全に安全な状態でしたい。
何かを察したアレスが僕の方を見た。
「レイ、魔法を発動させた?」
と、僕の魔法に敏感になっている。
これまで察された事がなかったから、少し不思議な気がする。
「え? そうなのか」
気付いていなかったジークが普通の反応をした。
僕は二人に頷いた。
「うん。魔物からの攻撃を防ぐ、魔法を発動させたよ」
ジークは驚きを見せながら、僕に言った。
「それを使ったら、ダンジョンでお金稼ぎが出来るぞ。そこまで使える魔法があれば、誰もがレイに夢中になる」
僕はそうだな、と軽く頷いた。そう言う気では一切ないと二人にも、よく伝わったのだろう。
「でも、レイはそう言う事をしようとしている気はなさそうだね」
と、僕の思う事を的確にアレスは当てた。
本当に僕の友達は、素晴らしいの一言に限る。
僕は自分の剣を抜きながら、彼らに言った。
「同じように剣を抜いてくれ」
すると、やっと剣の使う場所を知ったようで、二人は嬉しそうに剣を抜いた。男の子だから、剣に憧れるのが普通なのかもしれない。
「魔法使いは魔法で魔物と戦う。だけど、魔法の使えない人も戦ったりする。魔法はただ殺りやすくなるだけである。魔法を何度も連発すれば流石に疲れてくる。そう言う時に使えるのが、剣と魔法を活用した方法。剣に魔力を乗せるだけでも、大きく変わるよ」
と、僕は剣に魔力を乗せた。
剣の表面にコーティングが付いているのが、よく見ると分かる。二人は驚きを見せながらも、楽しそうに魔力を剣に纏わせた。訓練で経験を積んだ事もあり、魔力の操り方に慣れているようだった。
「なら、そこの石を剣で割って見てくれ」
と、僕は近くの大岩を指した。
魔物と戦う前に大体の感覚を理解している方が、丁度いい力で殺る事が出来る。
近くの大岩に行くと二人は声を出しながら、剣を振り下ろした。魔力を通した事でバターを切るように、綺麗な断面となった。二人とも地面までは切っていない所から、剣の扱いには慣れているようだった。ここで地面まで切り、剣が挟まって仕舞えば死ぬ危険性もある。
僕は二人を見ながら、頷いた。
「うん。大丈夫そうだね」
その感覚は二人も理解しているようだった。
これで今回のダンジョンでは大丈夫だろう、と僕は思った。
ダンジョンを進んで行くと、青色の液体の状態でゆっくりと近付いて来る、スライムが一匹現れた。
「あれがスライムだ」
と、僕は彼らに教えた。
僕は彼らに魔物との戦い方を教えるために、まずは最初に切り込んだ。綺麗に核を切られたスライムは、姿を消して物をドロップした。ダンジョンでは魔物を殺めると何かをドロップしてくれる。わざわざ体全部を運ばなくていいので、何とも便利である。それにドロップした物も、小型の水晶に見えた。
青色に光る水晶は「小級ポーション」だった。ダンジョンで小型の魔物を討伐した時に現れ、自分の願った効果を小さく行なってくれる。だから、治療を願えば小さな傷が消える。でも、その効果は本当に小級である。
「これが小級ポーション。ほら、結構簡単だろう?」
そう僕が行くと、二人は納得したように頷いた。
丁度いい所に今度は、二匹のスライムが現れた。学生用に人気のあるこのダンジョンは、進むに連れて魔物の数と強さが変わる。
縦に剣を振り下ろしたジークは、無事にスライムの核を切った。そして、始めてドロップした物を手に入れていた。
真っ直ぐ突き出したアレスの剣は、一度核を切れなかった。だけど、再度すると今度は成功した。
二人とも始めて成功した事に心から、嬉しそうだった。
それから僕らはドロップした物をスライムから、奪い取るように現れるスライムを斬り続けた。いつの間にか第一層の終わりに来ていたと、気付くの少し経った後だった。
僕は余り狩りに参加していなかったので、二人の方が沢山のポーションを手に入れていた。
第一層のスライム討伐は、成功したようだった。




