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委員としての任務

「で、何をしたかったのだ?」

 と、僕はジークに聞いていた。


 ジークは何も気にしないように、上を向いていた。やらかした事からの責任を逃れようとしている気だった。


「いやぁ…あそこまで自分が影響しているとは、思わなかった」

 と、恥ずかしそうに頭を掻いていた。


 自分が猫ならジークの顔を爪で、全力で傷付けたくなる。


 丁度いい所にアレスが入って来た。

「まあまあ、レイ。ジークも仕方ないのじゃない?」


 いつもながら、仲間には優しいアレスであった。



 僕は一度辺りを見回しながら、深呼吸をした。すると少しだけ、気分がよくなった。一気に色んな出来事が起きたため、気分がぐちゃぐちゃになっていた。アレスは心配そうにこちらを見る。ジークは食えない顔をしていて、いるだけで少しムカつく気がする。何故だろう、その答えは分からない。


「でも、特別委員会の存在意義はあるのか?」

 と、僕は聞いた。


 その質問にジークが首を傾げた。

「何故、そう思うのだ?」


 僕はジークを見た。

「だって、する事少なくないか…」


「いやいや、レイが知らないだけでする事は沢山あるよ」


 なら、と僕は聞いた。

「先程の学園の治安を守る以外に、何がある?」


「適当に校内を回ったり、魔法の授業の助っ人をしたりする」


 なるほど、と頷きながら僕は頭を横に捻った。


「…僕が行けば色々ややこしくなりそだなぁ。だって、魔法が使えないだろう?」



 いきなりジークが真剣な顔で、こちらを見た。

「先程までの勢いはどうしたのだ、レイ。面倒と思っていても、いつかは打つかる問題。なら、早く終わらせる方が楽……と、言う事で()任務にまた行け」


 さっきの任務も()を入れたのなら、今回はもうただの任務だ。と、言いたくなった。言った所でジークは前言撤回してくれないだろう。これも委員となって支払わなければならない、犠牲なのだろう。


 僕は嫌そうに頷いた。

「はいはい。やりますよ。やればいいのでしょう」


 気軽だと思っていた学園生活は、以外と精神に堪える。やっぱりメンタル面ではどうしても、弱いタイプの人なのかもしれない。だからと言って、逃げても恥だ。勝てる力があるのなら、それで他の弱点も補わないといけない。最初から負け組と思われているのなら、今からまたいらないものを増やしても意味がない。


「そうそう、頑張れ」

 と、全然応援していなさそう目でジークが言った。


 絶対この状況をただ楽しんでいるだけだろう。更に弱みを見せたら、どうなるか考えたくもない。ただアレスのぎこちない笑顔が、僕を慰めてくれる。


「…頑張ってね、レイ」




 早々とこの場から去りたかったので、僕は図書館へと向かった。パトロールも兼ねて、そこなら少し羽を休める事が出来そうだった。また、ジークが背後が見守っているかもしれないけど。


 図書館は思っていた通り、人がまだ少なかった。少し落ち着くと思いながら、僕は歩みを進めた。

 カウンターにいた司書さん。確か名前がマークス。イーシアさんの兄であるはずだ。


 僕を見たマークスさんが、あの優しい顔をした。

「やぁ、レイ。噂を聞いた時は不安だったけど、大丈夫そう見たいだな」

 と、以前より柔らかい口調だった。


 誰にもそのように接しているのなら、裏にファンが沢山いそうな人である。


「こんにちは、マークスさん。心配させて、済みません…代わりと言って何ですが、何か手伝う事はありますか?」


 一瞬キョトンとしたマークスさんだったが、僕の腕章を見て全てを理解したようだった。

「ありがとう。魔法科のコセールに、この本を届けて欲しい」

 と、マークスさんが一冊の本を渡して来た。


 カバーが付いているので、何の本であるかは分からない。



「コセール先生ですね。分かりました…お知り合いですか?」


「うん。実は同じ学校を出た、同級生なのだ。少し気難しい性格を持っているが、中はいい奴だよ」


 僕は自分が知っているコセール先生を思い出した。少しマークスのさん言っている事とは違う気がしたけど、間違っているとも断言出来なかった。

「分かりました。なら、届けます」


「ありがとう」

 と、マークスさんが声を掛けて来た。



 今回の任務なら、先程のよりやりやすい気がした。本に纏わる事なら、少し気が楽である。

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