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勝者の思い

 誰も何も言う事が出来なかった。その戦いに見入っていたから。


 アレスの剣が消え去ると、人々は息をした。僕の時より一瞬で美しく終わった戦いに、全員が歓声を上げた。アレスの最後の魔法の剣は、誰もを惹きつける魅力があった。あれは何とも彼らしいとしか、僕は言えない。


 僕のように最初から対立関係ではないので、アレスとジークは最後に握手をした。二人の戦い終わったすっきりした顔は、再度歓声と拍手を生んだ。


「ありがとう、いい戦いだった。アレスと戦って、新しい事を色々知った……レイはそれを教えようとしたのかもな」

 と、ジークは最後を小さな声で呟いた。


 アレスは頭を掻きながら、言った。

「ありがとう。だけど、もう戦うのは懲り懲りかな」

 その言葉はよくアレスの性格が出ていた。





 挨拶を終えたアレスが戻って来た。その表情は先程の怖がっていた時とは、違い過ぎていた。アレスは僕を見ると、片手を上げた。


「レイ、戦い終わったよ。言われたようにやったら、本当に勝てる事が出来た…だけど、もう戦いたくはないよ」

 と、最後は少し不満顔をした。


 それだけでも、彼がどう思っているかが分かった。


 少しやりすぎたかもしれにない、と僕は自分の中で反省した。が、自分の目に狂いはなかったようだった。アレスは本当に凄い奴になれるかも、しれない。その未来は決してあり得ないものでは、ないのだった。


「分かったよ。でも、今回はやってくれてありがとう。それに、授業でも対人戦はもうすぐあるのだろう?」


「武闘祭があるからね。でも、それはこう言う決闘とは少し違うよ」

 と、またアレスが少し嫌そうな顔で言った。



 本当に彼の顔を見るだけでも、一日を過ごせるようだった。


「次からは気を付けるよ。今回はアレスの力が見たかっただけだから」


「はいはい。そこまで言われたら、返す言葉がないよ」

 と、アレスは僕を見た。




「おい、レイ。今度はお前との戦いだ」

 と、ジークが後ろから叫んだ。


 もう、練習と最初から言っていない。



 僕は仕方なく、そちらに向かった。

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