門と警備員
王立魔法学園に着くと、そこは見慣れた建物だった。最初は魔導馬車を使うようにレイリーから言われたが、すぐそこにあるのならそれを使うだけでも意味がないと思った。大切な資源であるものを、歩けるのなら無駄にしたくなかった。
隣で見上げていたレイリーが、珍しそうに眺めていた。僕は護衛騎士が王立魔法学園に通うか分からないので、聞いて見た。
「レイリーは学園には通っていないの?」
「えぇ。そうです。両親が二人とも騎士団に所属していたので、そこで全てを教わりました。通わなかった人の方が珍しいかもしれないです」
「まーそうだな。僕も強制的に入れさせられただけだから」
と、腰に手を当ててそれを眺めていた。
僕が通っていた時とは違い、門が占められている。そのため、多少の威厳さを放っていた。僕は左右を眺めながら、誰も来ていない事に気付いた。向こうが呼んでおきながら、迎えはないのだった。それは学園長の事を考えるとあり得るのだった。彼からしたら、僕はまだただの学生なのかもしれない。
「ーー遅いですね」
と、流石のレイリーも何かと気付いたようだった。
「少しこの場にいてください。すぐに確認に行きます」
レイリーは、門に近付くと小さな小屋に待機している警備員と話しているようだった。いきなり飛び出した男性は、急いで僕の元にやって来た。
そこまでされると、レイリーが何をしたのか凄く不思議に思った。が、僕が知る事は出来ないようだった。
男性が僕の視界の大半を防ぎ、何とも綺麗な土下座をした。
「申し訳ないです、ウィズアード様。魔導馬車で来るものと思い、徒歩で来る事を想定していませんでした。何卒、お許しを。私が出来る限りの事は何でも行います」
僕は話を聞きながら、最後の方で頭を捻った。果たして、レイリーはどのように脅迫したのだろうか。僕が罰するとも何も言っていないのに、この目前の男性は何か大きな勘違いをしているようだった。
彼を止めるように僕は、急いで止めに入った。
「大丈夫です。気にしていません。どうか、普通に接してください」
「あ、ありがとうございます」
と、男性が命拾いをしたように僕に言った。
僕は普通に接していたつもりだったのに、ここまでされてこの先が少し不安になった。こんな事になるのなら、こう言う力は必要ないのだった。誰に取っても、過ごしやすい方が僕に取ってもよかった。それが出来ないものは、いらない。
警備員の男性に扉を開けてもらい、僕らは王立魔法学園に入った。
嬉しそうに黒猫が耳元で短く鳴いていたのが、聞こえた。




