「劣等のレイ」
「劣等のレイ」
それは僕を指す言葉である。
何故なら、詠唱魔法が得意ではないから。
あんな厨二病の言葉を唱えるなど、転生して初めて魔法と言う物を知ってから、おかしいと思った。何とも恥ずかしくて、自分では出来ない。自分が詠唱魔法の才能が全然ない時には、凄くほっとした。
まぁ。親からしたら、少々困るかもしれない。
この世が全て詠唱魔法が出来るか、で決まるから。僕からしたら、そんな常識などいつか壊れると思うけど。
だから、僕からしたらそんなの気にする事でもない。自分の心に刺さるような軽蔑でもなかった。前の世界で経験した、悲惨な人生を顧みると。
やっと仕事や嫌なものから、解放される。
昔のように自分が少年時代の時に、再びなれるなど嬉しくて堪らない。それに魔法の世界に転生出来るなど、あのトラックには心から感謝をしたくなる。運転をしていた運転手からすると、そんな事ではないと思うけど。きっと助けたあの子も元気に暮らしているはずだ。
この世に転生して、僕は今年から王立魔法学園に行く事になった。魔法の適性がある人は強制的に、学園に通わされる。
それは優秀の魔法使いを育てるためでもあり、劣等の魔法使いを虐めるためでもあると言える。
だけど、僕からしたらそんなのへっちゃだった。精々心から楽しもうと思った。二度目の人生ぐらい、自分の好き勝手にしてみて誰も怒りはしないだろう。どうせ最後は終わる命。損はしたくない。
そして、常識などいつまでもは通用しないといつか、気付かせよう。
たとえ初級の詠唱魔法しか、使えないとしても。
無詠唱魔法の方は、この世で一番使えると言えるから。
だから、怖いものは何もない。