美しいこと、花火
美しいこと
なんて美しいんだろう。
そう思うことに出会ったとき、
目の奥がじんと熱くなって、
涙が出そうになって、
自分には届かないことだと、
口を噤んでしまう。
真似てみたくなることがあっても、
美しいことは、美しくあるだけの、
苦心があるのだからと、
いつも、眺めるだけになる。
ほんと、格好良くない。
ほんと、格好良くない一生。
美しいことは、一生をかけても、
掴まないと…
それを美学と言うんだろう。
花火
ほんとのことを言えば、
家族や友達や、
たまたま隣にいる人にも、
気楽に笑いかけて、話してみたい。
ぼくじゃなくても、
そうなんじゃないかなと、
思う。思いたい。
町の空に花火が上がる。
たくさんの人が、集まって、
夜空を見上げる。
きれいね、すごいねと、
声が舞い上がる。
ほんとのことを言えば、
ぼくも、花火が好きなんだ。
ほんとのことを言えば。