表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/38

初めての魔法は苦い思い出

 そして、翌日。

 俺はいつも通りの朝を過ごした。よし、飯も食ったし、魔法訓練場に行くか。


   《10分後》


 完全に道に迷った〜。なんだよ、この家広すぎんだろ。前の訓練場は父さんがいてくれたからたどり着けたけど、流石に一人で行くのは、無理があったか……どうしよう、帰り道すらわからなくなった。まずいな〜、とか、考えながら、膝をつきうなだれる。やばい、ちょっとさみしくなってきたな、泣きそうだ。



      *  *  *  *



 廊下を歩いていると膝をついてうなだれている人がいます。見た感じ子供でしょうか?しかし、この家に子供などアクシス様しかいませんし、かと言ってアクシス様がこんなとこにいるとは、思いませんし。アクシス様だったら、嬉しいですけど…

 しかし、誰なんでしょう?とりあえず、声をかけてみましょう。


 「あの、ここで何をなされているのでしょうか?」


 声をかけてみると、その子供が振り向いてくれました。そしたら、まさかの半分泣いてるアクシス様でした。しかも、私に抱きついてきました。か、かわいい〜。やっぱり、アクシス様はかわいいですね。

 はっ、またいけないことを考えてしまいました。雑念を払わなくてわ。

 しかし、なぜ、こんなところにいるのでしょう?


 「あの、アクシス様、なぜこのようなところにいるのでしょうか?」


 「ああ〜、えっと、魔法訓練場に行こうとしたら道がわからなくなったんだ」


 えっ、なにそれ。すごいかわいいじゃないですか。しかも、まだ、離れそうにないので、頭を撫でさせてもらいましょう。


 「ねぇ、リリア。魔法訓練場の行き方わかる?」


 「はい、分かりますよ」


 「お願いなんだけど、そこまで連れてってくれないか?」


 「はい、分かりました。それでは、行きましょうか」


 「ありがとう」


 ああ、もう少しだけ頭を撫でていたかったです。いえ、主人の御子息様の頭を撫でるなどやらない方がいいですよね。


 「はぁ〜、」


 「どうしたんだ、リリア?」


 「い、いえ、なんでもありません」


 「そうか、ならいいんだけど…」


 「さぁ、行きましょう」


 できれば、もう少しアクシス様と一緒にいたかったです…



     *  *  *  *


 やっべぇ、リリアに泣いたところ見られた〜。ちょー恥ずかしいんだけど。まぁ、いいや、魔法訓練場に行けるだけまだいいか。

 しばらく歩いたところで、外に出た。


 「ここです」


 まじか、訓練場の隣だったのか〜。まぁ、たしかに訓練場っていう名前で纏まってるか。


 「ありがとう、リリア」


 「いいえ、私は、アクシス様のメイドですから。お礼など勿体無いお言葉です。」


 「そっか、じゃあ行くよ。またなんかあったらお願いするから」


 「はい、承知致しました。それでは、頑張ってください」


 そう言ってリリアは立ち去った。よし、じゃあ入るか。



  ガラガラガラガラ、


 「こんにちは〜」


 そう言って入ったら、みんなこっちを見た。とりあえず、挨拶するか、


 「えっと〜、アクシス・フォン・ガーディナです。今日は、魔法を習いに来た?っていうか訓練しに来ました。まぁ、よろしくお願いします」


 (おい、アクシスって言ったらケイアス様の御子息じゃあないのか、)


 (えっ、そうなのか。初めて見たよ。)


 なんか、聞こえてくるが、まぁいいや。魔法訓練場を見た感じ、俺が今いるこの部屋は休憩するためだけの部屋っぽいな。練習するのは、外か。


 「あの、アクシス様。魔法を訓練しに来たということは…」


 「ああ、いいよ。みんな、自分の訓練に集中してて、俺は、こっちで一人でやってるから」


 「はぁ…分かりました。それでは、何かあったら言ってください」


 ここの一番偉そうな人がそう言って立ち去った。


 よし、じゃあ、やるか。そして、俺は外に出た。確か本だと頭の中でイメージするだけでいいらしいからな、と思っていたらみんな、詠唱している。

 なんでだ?、イメージするだけでいいんじゃないのかよ。わからねぇ。

 よしっ、聞いてみるか。と思い、俺は、近くにいた人に聞いてみた。


 「あの、1つ聞きたいんですけど…」


 「はっ、どうされましたか?」


 「えっと〜、本に書いてあったんですけど魔法ってイメージするだけでいいんじゃないんですか?」


 「ああ〜、それはですね、詠唱した方が早いからです。イメージと言ってはいますが、それは無詠唱のことで、実際は詠唱するんですよ」


 え、そうなのか。なんだよあの本、嘘だったのかよ。

 

 「じゃあ、詠唱と無詠唱だと何か変わるんですか?」


 「それは、威力が変わるんですよ。例えば、たいまつの炎が詠唱した時だとすると無詠唱はその炎の十分の一の威力しか出せないんですよ。だからみんな詠唱するんですよ」


 なるほどな、そういうことだったのか。しっかし、なんであの本にはイメージって書いてあったんだろう。ま、後々考えるか。


 「そうだったんですか、ありがとうございます」


 じゃあ、やるか。でも、詠唱って言ったけど、みんな『ファイヤボール』とか『ウォータースラッシュ』とかそんな感じでいいだな。

 よし、やってみるか。そう思い、詠唱してみた。


 「『ファイヤボール』」


 そう、詠唱しながら、手を前にかざしてみた。そしたら、魔法陣が出てきて、直径1メートルくらいの炎の球が出てきた。そして、目の前にあった的を燃やし尽くした。

 あれ、おかしいな…なんか、やけに威力が強いような気がすんだけど、気のせいか?いや、違う。気のせいじゃない。周りの人達、みんな唖然としてる。やばかったのか?でも、なんでこんなに威力が違うんだろう?ま、いっか。誰もなにも言わないし、続けよう。

 次は水魔法でも使ってみるか、



 「『ウォータースラッシュ』」



 今度は、水魔法を詠唱してみた。そしたら、的を切り裂きそのままの勢いで後ろに生えていた木をいとも簡単に切り倒した。うん、これは、非常にまずいのではないのか?

 とりあえず、今日のところは帰ろ。


  ガラガラガラガラ、


 「おじゃましました〜」


  ガラガラガラガラ、


 そして、俺は少しやってしまったなぁと思いながら、駆け足で自分の部屋に戻っていった。

 その後、俺が訓練場で大魔法を放ったという噂が広まったことに気づくのは、数日後のことだ。



   《数日後》


 噂を聞き、もう訓練場にはいられないと判断した俺は、一人で屋敷の裏にある、ただただ草原が広がっている裏庭っぽい場所に来ていた。何故かって、考えるためだよ、魔法の威力がなんであんなに強かったのかってことを。

 しっかし、わからね〜。もういいや。この一人の空間を楽しもう。 


 「あ〜あ、やっぱ、一人が一番だ」


 少し、体を伸ばしながらそう言うと、


 「そうだね〜」


 「誰だっ」


 声が聞こえた方に振り向いてみた。その声は、何度か聞いた声だった。


 「やぁ、久しぶり〜、」


 「やっぱり、テオスだったか、」


 「今度は、どうしたの〜、一人でこんなとこにいて?」


 「ん、ああ〜、魔法使ったら変な噂流れたから、一人になりたくてな」


 「あはは、君の身体能力とか魔力量とかこの世界の人とは、比べものにならないくらいに上げといたからね〜、仕方ないよ」


 は?、今こいつさらっと重要なこと言ったぞ。


 「いや、お前のせいかよ、でもまぁ、いいや。人並み以上の力があるなら、楽に生きられそうだし。ところでお前はこんなとこになんで居るんだよ?」


 「えっとね、それはね〜、暇だったからだよ」


 「いいな、神様は。暇そうで、」


 「いつも暇ってわけじゃないけどね。今日は休みなんだよ。」


 「神様に休みってあるんだな」


 「まあね、休みがなくちゃブラック企業だって文句言われちゃうからね」


 神様の世界ってブラック企業みたいな感じなんだな。


 「そうだ、聞きたいことがあったんだ」


 そして、俺はテオスに聞きたいことについての質問を始めた。

5話目の投稿です。作者の霊璽です。

今回は、アクシスが初めて魔法を使う話です。いかがだったでしょうか。

そして、今回はリリアの思想も書いてみました!

今度から少しずつ他のキャラも入れていきたいと思います。希望があればおっしゃってください。

それでは、また次回の話で……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ