92億 動物ファンド
証券マンの息抜きの娯楽
毎日の業務でうんざりしてる証券マンもたまには遊び心を発揮することがある。
「社長、キリンビールいきましょう。これからはバイオ関連でビール業界が伸びます!」
「わかったじゃあ買っといてくれ」
「社長、次は象印いきましょう。象印の魔法瓶のシェアは今後伸びていくと思います!」
「よしわかった買っといてくれ」
「社長ライオン油脂いきましょう!どこの家庭でも朝歯磨きをします。ライオンは安定した企業です」
「そうだな買っといてくれ」
「社長、オークマ製作所きましょう、海外での機械発注が増えて業績が伸びそうです」
「そうか買っといてくれ」
これは何をやってるかというと実は顧客に動物名の名前がついた企業を買わせて、どの段階で客が気づくかを密かに楽しんでいる状況である。
証券マンが自分の顧客に意味もなく動物の名前の銘柄だけを買わせるのである。
証券マンなのでどの銘柄でも「買いたくなる理由」は即座に構築できる。
勘のいいお客さんは5つ目位で「何か持っている銘柄が動物園みたいになってるぞ」
と気づくのである。
「あ、偶然ですよ」
と適当に誤魔化すが勘の悪いお客さんになると10銘柄ぐらい買ってもこちらの意思を気づいてくれない。
なかなかもどかしい。
動物名銘柄
ライオン油脂
鹿島建設
象印魔法瓶
キリンビール
タイガーポリマー
亀田製菓
イヌイ汽船
クロネコヤマト
オークマ製作所
イーグル工業
ゼブラ
リゾート・トラスト
キッコーマン(亀甲)
蛇の目ミシン
ピジョン
鶴弥
鷹山
辰巳商事
群馬銀行
鹿児島銀行
サッポロライオン
バッファロー・オートパーツ
などなど。
まぁ幸いバブルの時だったからどの銘柄を買ってもらっても全部右肩上がりで株価が上がったのでお客さんに実害はなかった。
われわれはこれを称して
「動物ファンド」と命名していた。
数少ない証券マンの楽しみ方であった。