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87億 最後の頼み「家庭内資金」

午後5時課 長宅にて


「太田さん、今日は聞きますけれどこのお金の本当の目的は何?」


「えー、うちの課の投資信託に回すものです」


「じゃあ、先月渡した30万円も同じ?」


「はい、同じです先月のも投資信託です」


「話は変わるけど、この前の日曜日のゴルフの支店内コンペは本当にあったの?」


「はー、多分あったと思います。私はゴルフをやらないので行ってませんので・・・」


「もう、一体何をやってるのか・・・はい20万円。今回が最後ですよって必ず主人に伝えておいてね。まったくもう・・・」




投資信託の最終状況ではもうあと10万円ずつ細かく積み上げる状況になってくる。


マラソンを40km 走った後のスタジアムに入ってきた残りの2kmを走る感覚である。


この状況になるとみんな手持ちの家庭内資金を意識し始める。


つまり課のノルマを自分の「買い」で詰める作業である。


この行為が毎月例外なく行われるのであるから考えようによっては証券マンはいい蓄財習慣を持っていたことになる。


課のノルマを頭割りして数字を詰めるのであるが当然資金量の多い営業課長のところが一番多い処理金額となる。


そこで投資信託の入金最終日には営業課長から「俺のワイフに言ってあるから家に行って集金してきてくれ」

と言われて課長の自宅によく行かされたものである


その時には当然課長から話ができていると思いきや前述のやりとりのように


「これはいったい何のお金?」とか


「なんで毎月月末になったら協力しなければならないの?」

なんて質問が飛び交う


そこで一から説明を始めるわけであるが、途中から「これじゃあ客の方がまだマシだな」

と思う場面が何度もあった


つまり知らされていない自分の課長の一面が奥さんを通じて暴露されてくるからである。


「本当に貯金の金?まさか女がいるんじゃないの?」


「いつも帰宅時間が遅いけど本当に仕事してるの?」


「先月もゴルフと言ったけれども太田さんも行ったの?」


とにかく奥さんに信用されてないこと甚だしい。


会社に帰ってからそのようなことはもちろん口には出せない。


「どうだったかワイフはすんなり渡してくれただろう

なんて奥さんにとっくに愛想をつかされているとも知らずに笑う無邪気な上司を見ていると「めでたい奴」と思わざる得なかった。






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