表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/103

81億 医者攻略作戦 2

この章は実はあまり話ししたくないことである。

なぜなら俺の「秘伝のスープの作り方」であるからだ。


当時の日本の相続税はかなりのパーセントを納めなければならなかった。


1億を超える金額であれば半分以上国に持っていかれると言う状況であった。


開業医の医者というものは個人資産が何億円っていうのはザラである。


要は子供に相続する際にその半分が持っていかれることをイメージしてほしい。


ここで俺のとった回避策を紹介する。

本当は紹介したくないが。


まずゴールイメージは1億円を息子に無傷で相続することを目指す。


医者である親父の方は銘柄は何でもいいが例えば新日鉄を1億円分信用取引で空売りする。


そして資産を持たない息子に1億円を貸し付けてその同じ金額で新日鉄を現物で買う。


つまり親子で同じ銘柄を「買い」と「売り」をかける。



ご存知のようにバブル当時は株式相場は右肩上がりの上昇相場であった。

どの株を買っても儲かる時代であった。


当然、現物の新日鉄を買った息子の方は株価が上がることによってどんどん上がっていく。

つまり息子の利益はどんどん増えていく。


反対に同じ新日鉄を「空売り」した親父の方は株価が上がると同時に損失がどんどん増えていく


この損失と利益の数字は全く同じ金額である。


まあ例えて言うならルーレットで赤と黒に同時に張ったようなものである。


つまりゼロサムなのである。

(ゼロサムと言いながら我々はその売買手数料をいただくわけであるが・・・)

つまり手数料を考慮しなければ「ゼロサム」である。


ここで大事なことはこの方法にはリスクが発生しないということである。


唯一のリスクは株価が下がった場合である。


この場合、もし新日鉄の株価が連日下がった場合には「買い」から入った息子は損をする。


しかし一方で「空売り」している親父の方は利益が出てしまうのだ。

これでは本末転倒であるが、いずれにしてもこのボックスの中からのお金の動きはない。


その場合は逆にこちらはしめたもので、「先生、儲かりましたね。また別の銘柄でチャレンジしましょう」


ということでまた他の銘柄で「売り」と「買い」をまとめたた別のボックスを作る。


いずれにしてもこのボックスの中からは金が出ていかない理由であるから安心で、向こうからすれば上昇相場になるのを待てばいいわけである。


この方式は当時俺の顧客の医者を中心にして流行したテクニックである。


俺の顧客が口伝えで自分の友人の医者に宣伝してくれて月に一度は新しい医者の新規開拓がこの方法によってできたものである。


こちらとしては信用客がこれでできるし何よりも何億円単位の新規開拓できるのであったから非常に楽勝なテクニックであった。


しかしちょっとやりすぎたきらいが出てきて件の「支店監査」というのが入ったことがある。


これは前にも述べたように「儲けすぎている客」ないしは「損を出し過ぎているお客」「おかしな売買」についての社内のチェックが行われるのである。


そこであえて俺は考えた。

寮に戻ってこの手法を同期の奴らに話をして支店を変えてこれを行ったのである。


つまり親父は俺の支店での「空売り」


息子は同期の別の支店で「現物を買う」というように分けて売買をしたのである。


支店が違うためこの二人の関係性というのが分からないようにカモフラージュできるのである。


あまり言いたくなかった手法であるがもう30年以上も前の話なので「時効」と割り切り暴露した次第である。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ