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24億 客の自宅前での郵便カット

24億  客の自宅前での郵便カット


5月28日  午前9時


「あれ、大久保先輩は今日は休みですか?」


「ああ、あいつは例の商いの売買報告書が顧客のもとに届くのが今日あたりなので自宅前待機をやっているんだ。」


「最終作戦ですね、たいへんですねえ・・・」

 

証券マンは探偵みたいな事もやる。


もっとも本人はやりたくてやっているわはないのだが。


証券会社のシステムの一つとして、「売買報告書」というものがある。


これは顧客が株式の取引を行なったあと4日目の決済の間に顧客の元に売買の確認をするために東京の本社から発送されるもので、この報告書に不服があれば申し立てできるものである。


当然普通の取引をしている分には、全く問題ないシステムであるが、こと、無許可で株の売買をやったともなると、タダではすまない事になる。


つまり例の「仕切り玉」を無許可ではめこんだ客に対してはこの報告書は証券マンにとっては顧客に届いてもらっては困るのである。


大久保先輩はその事を見越してこの日に届くであろうと思う日に朝から郵便配達員がくるのを待ち構えて郵便受けに入れる前にインターセプトするのである。


たいがいは、売買の2日目に届くパターンが多かった。


最悪インターセプトできなかった時の防護策も用意しており、なんと女子社員の責任にしてしまう。


つまり、客から

「全く知らない売買だ!」

といわれても、

「すいません、うちの女の子が顧客コードを間違って入力したみたいでご迷惑おかけいたしました。すぐに売って損益を計算してもし損であればそのぶん新発物でもお渡しして穴をうめますのでどうか勘弁してやって下さい」

と説明してから、実際に女子社員に電話させて謝らせる。


謝り専門の女子社員がいたぐらいである。


もっともそういう係があるのではなく、営業マンに頼まれれば断れないタイプの子であった。

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