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あとがき

最後まで愚にもつかない話にお付き合いくださりありがとうございました。


皆さまのおかげで目標の100編が書き溜まりましたので一旦ここで筆をおきたいと思います。


今後は少し間をおいて「続編」を書く気持ちでおります。


本編で免疫がついた皆さまに送る続編は多分もっと法律すれすれのディープな内容になりますので覚悟のほどを!


名前は「続編 バブル時代へGO!」でいきます。


https://ncode.syosetu.com/n0238fk/1/


またご愛顧のほどよろしく。


長い間本当にありがとうございました。



この原稿を書き終えた今、当時のことを思い出しながらも自問自答していることが1つだけあります。


それは登場人物に代表されるような証券会社に勤務していた人たちは「決して悪い人ではなかったのに、なぜあのような殺伐のメカニズムに全員が甘んじて従事していたのか?」と言うことです。


これに対しては私なりの答えを出していますので以下順を追って説明します。


約150年前、日本は幕末の「有限会社徳川商会」から「株式会社日本商事」へと変身しました。


もちろん旧経営陣と新経営陣との激しい戦いはあったものの一応は徳川商会の260年の暖簾をたたんだのでした。


それ以降は、いかに先発の「イギリス商会」や「アメリカ物産」に対抗して「日本商事」を大きくするか?ただそれだけを大目標に懸命に突っ走ってきました。


企業が大きくなる過程では当然他の会社との競争上、トラブルがあったことは言うまでもありません。


歴史上以下の4つの戦争がそれにあたります。


1 日清戦争

2 日露戦争

3 日中戦争

4 太平洋戦争


そして私はこのたびの日本のバブルは5番目の戦争であったと考えています。

この戦争はまさしく「マネーウォーズ」と呼ばれ、兵士の銃弾や爆弾が飛び交わないだけで本当に激しい戦いでした。


バブルと呼ばれる期間、日本商事は資本主義列強と孤軍で対戦したのです。


日本人は元来、「目に見えないもの」を評価する能力に欠けている民族ですが今回の戦争では都市の消失や建物の崩壊、兵士の死亡がないからわかりにくいだけで、目に見えない激しい戦争が実際に株式市場を舞台に行われたのであります。


戦争相手国は主に「アメリカ物産」、「ユダヤ商事」、「華僑実業」この3社です。


そして過去の歴史においては戦艦、巡洋艦の比率を決めた不平等な「ロンドン軍縮条約」というのがありました。


これは日本の戦艦は欧米に対して6割しか建造できないと言う不平等な条約でした。


本文中でも触れたBIS規定(銀行の自己資本比率を定めた規定)こそがそれと全く同じ不平等条約であったと確信します。


つまり金融のルールも何も知らない「日本商事」が金融の権化のような3者と不平等な足かせをはめられた戦わされたのです。




この物語に出てくる人たちは皆、平時には心優しい家族思いの方々で困った時はよく相談にも乗ってくれた方ばかりでした。


それなのに「なぜこんなバカなことを平気で行うのか?」と本当に理解に苦しむ時が何度もありました。


思うに当時の証券マンであった我々を取り巻いていた「戦時下の環境」こそが本当の戦争の最前線に似ていたため「殺さなければ殺される」の意識が金融機関内に渦巻いていたのでしょう。


「罪を憎んで人を憎まず」と言う言葉があります。


本書の中では証券業界の実情を面白おかしく書いたつもりではありますが決して登場人物たちを「悪い」と思った事はありません。


彼らをそうさせていた「環境そのもの」に原因があったのです。


私は今当時を振り返ると、若年にして得難い経験を短時間の間にさせていただいた感謝の気持ちの方がいっぱいです。



太平洋戦争は結果として負けたのですが今回の「マネーウォーズ」の結果はどうだったのでしょうか。


これは現在も進行形ですのでまだ結論ではありませんが、今のところ完敗であると思っています。


被害総額は「300兆円」です。


これがそっくり欧米のヘッジファンドに吸い取られて行きました。


ヘッジファンドが日経平均株価を一旦4万円円近くまで持っていき、下がっても儲かる手法(オプション取引のプット)を仕掛けた後にさっさと梯子を外したのです。


当時の時価総額(東証の株価の総額)は約700兆円でした。

現在400兆円ですから、その差額の300兆円がどこかに消えてしまったのです。


株は不動産と違って元来ゼロサムであることは本書の中で述べました。


こちらが300兆円無くなったっと言う事は、誰かが同じ分だけ儲かってるシステムになってます。


これはわかりますよね。



今、ニューヨークの株価が最高値を更新してる中、なぜ東京マーケットだけがピークの時の半分以下の2万円台でウロウロしいるのか少し考えれば自明の理なのです。


本書では現在投資家である皆さん、ないしはこれから株に投資をしようと思ってる皆さんに「正しい金融機関の付き合い方」と「資産管理は自己責任」の2点をぜひお伝えしたいと思いました。


そしてその時に「証券マン」と言う存在を全て否定する必要はないと思います。


本書が描いたような彼らの舞台裏を理解しつつ彼らを上手に利用できるようになることが「賢い投資家」になるための第一歩ではないでしょうか?


加えて正しい知識を身に付け、正しい情報による迅速な判断を下すことのみがこの厳しい「マネーウォーズ」で生き残る最良にして唯一の手段であると言うことをご理解いただければ幸いです。



また本書はこれをもちまして完結しますが実際は言いたいことのわずか30%ほどしか書けていませんが感想や叱咤激励があれば受け付けています。




筆者

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