ここ最近の様子
「……また来てるわね、例の彼。」
サラの同僚のウェイトレスがニヤニヤと男のいるテーブルを見ながら言った。
男はかなり見目麗しく、通りがかる女性の目を集めている。金色の短髪にフレームの細い眼鏡をかけ、思慮深そうな目で資料を見ている。手足はすらっと長く、テーブルの下で時折足を組み替えるのすら良く映える。
「彼、とっても良い人なのよ。大学が同じなの」
男は毎日カフェに来るようになった。いや、正確に言うと毎日では無い。
‘サラのシフトが入っている日’に必ず来るのだ。
「大学が同じって言っても、彼は理工学部らしいから朝の電車とここ以外ではあまり会わないんだけど…」
あれから二人は毎朝同じ電車に乗っている。そこで他愛もない話をしたりしているのだ。
しかし、理工学部は外国語学部から遠く離れたところに校舎を構えている。そのため日中はあまり会うことができないのだ。
「ふーん、彼、名前はなんて言うのよ?」
「ハインツ・シュヴァルトマンさんよ。学年が1つ上だったの」
「整った顔してるし、国立大の理工学部かぁ…結構良い物件ね〜」
「そうね、あんなにカッコイイならきっと女の子たちが放っておかないわね、ふふっ」
「そうよねぇ〜…って、え?」
同僚はサラの言葉に耳を疑った。
「サ、サラ?まさかとは思うけどあなた…」
「?どうかしたの?」
(こりゃあ、なかなか手強いわね…頑張るのよ、色男!)
同僚は心の中でハインツにこっそりとエールを送った。