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その恋、機械仕掛けにつき。  作者: chick
第一章 ハインツ・シュヴァルトマン
3/23

偶然?の再会

「いらっしゃいませー」



サラはアパートと大学の間にあるカフェでアルバイトをしている。

彼女目当ての常連は多く、カフェはいつも沢山の人で賑わっている。

パタパタとホールを駆け回るサラを、マスターが呼び止めた。



「サラ、あそこのテーブルに注文取りに行って」



「はーい」



サラは外の景色がよく見える窓際のテーブルに向かった。そこはサラもお気に入りのテーブルだ。



「いらっしゃいませ。ご注文をお伺いします」



「えっと、コーヒーを……って、あれ…?」



「え…??」



サラは客の顔をまじまじと見た。客もこちらをじっと見ている。どこかで見たような…



「…あっ!」



「…こんにちは。」



「今朝はお世話になりました!!」



客は今朝レポートを拾ってくれた男だったのだ。道理で見たことがあるはずだ。

サラがぺこぺこと頭を下げると、男は少し微笑んで首を振った。



「いやいや、通りすがっただけだから気にしないで下さい」



「本当に助かりました。ありがとうございました。ところで……コーヒーでよろしいですか?」



「あ、ああ、お願いします」



「かしこまりました!」



サラはにこっと笑うと厨房へ駆けて行った。

その様子を、男はじっと見つめていた。


「………………」



しばらくしてサラがコーヒーをトレイに乗せて運んできた。

男はレポートを書いているようだった。



「お待たせいたしました。コーヒーです」



「あ、ああ、ありがとうございます」



男はがさがさとレポートをテーブルの隅に寄せた。サラがコーヒーをテーブルに置くと、男はある異変に気づいた。



「あれ、このケーキ頼んでないですけど…」



「今朝のお礼です。あ、甘いものお好きじゃなかったですか?」



「いや…好きですけど、貰えないです」



「是非食べて下さい!ここのケーキ、美味しいんですよ?」



「で、でも…」



「あ、でもケーキのこと、マスターには内緒にして下さいね。」



「…ありがとう。いただきます」



「ごゆっくりどうぞ!…レポート頑張って下さいね。」



サラはこそっと男に言うとふふっと笑ってまた厨房へ戻っていった。



男の会計のときもサラがレジに立った。

金のやりとりが終わり、レシートを渡すと男は店内を見回した。



「すごく素敵なカフェですね。コーヒーも、ケーキも美味しかった」



「ありがとうございます!」



「ちなみに、明日はいらっしゃいますか?」



「え?えぇ、今週は毎日シフトが…」



「わかりました。また来ますね」



「はい!お待ちしております!」



男はにこっと笑って店を去って行った。

サラもなんだか暖かい気持ちで仕事に戻った。


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