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星降る世界で……  作者: 弓咲 岬
三章 旅をしてみよう(国内で)
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五十八話 ……最悪の一言以外になにを言えと?

 昨日は一日を通して大分試練が多かったように見える。お陰で理性をより強靭にはできたが、正直全然嬉しくない。自分で作り、それを守っているだけなのに何という生殺し状態……しかも、ステラたちからの誘惑はこれからレベルアップすること間違いなし。

 ……ふっ。自業自得と言えばそこまで。むしろヘタレだという称号の方が似合いそうだな。何の自慢にもならないが。


 まぁ、自虐はそれ程にして。今日は不屈の洞窟の二つ目を攻略するつもりだ。なので今は昨日ステラたちに買ってもらった槍の確認をしている。

 今まで使っていた槍はギルとの戦闘でぶっ壊れてしまった。鉄製だったんだが、思い入れもあったし、ちょっと悲しかったけど。


 そこは気持ちを変えて、今はこの新しい槍だ。鋼鉄で作られているそうだが、魔力を纏いやすい素材を使っている。それで俺やステラのように前衛で、武器に魔法を纏わせることをよくする者にとってやりやすい。

 あと当然として鉄よりも良い鋼鉄を使ってるので耐久性や攻撃力は格段に上がっている。


「よっ。ふっ」


 俺は泊っている宿の庭で軽く素振りをやってみる。うん、思ったよりも重くないし、扱いやすい。手に馴染む、とまではいかないがかなり良い感じだ。

 ミレナによると武器自体のレベルは魔槍クラスに近いらしい。あぁ、魔槍って言うのは“魔力を扱うことを前提とした武器”のことだ。武器に魔力を纏わせやすいことや、その魔力を使ってその武器の能力を使うこともできるそう。

 魔槍以外にも魔剣や魔弓といろいろな種類がある。今俺が持っている槍の上位版という感じだな。


 武器によって様々な能力があり、物によっては不壊とかあるらしい。化け物性能である。ちなみにステラたちの武器はそういうものだ。武器の強さ的には相当低いそうだが。

 値段は俺の数倍くらいだったそう。……凄いよね。


「こんなもんで良いかな」

「お疲れ様。お兄ちゃん」

「ステラもお疲れ。で、どうだった?」

「うん。流石は魔剣かな、とっても使いやすいよ!」


 ステラが使う魔剣の能力は物にぶつかった時に倍の重さになるというもの。単純な能力で、そこまで強くはない。だが、それをステラが使うとなると話は違ってくる。なにせ、ステラは見た目によらずあり得ないステータスなのだ。ステラの力+倍の重さと考えると十分に脅威である。

 ちなみにミレナは全体的な能力が上昇し、クロエのは魔力効率化、魔力消費の減少が能力だそうだ。


 これで弱い部類というのだから恐れ入る。俺にはどれも普通に強い能力なんじゃないかとしか思えない。俺にとってはどんな能力であっても強い、ということに変わりないからね。上には上がいるということは知っているとしても。


 俺とステラは自分の武器の確認を終えたら、部屋に戻る。着替えて朝食を食べたら皆で迷宮へゴー、だ。




 やって来ました不屈の洞窟。今回は再び下層のどれかに挑むつもりだ。お金稼ぎとしても修行の意味としても効率が良いので。時間に余裕があったときには中層や上層にも挑戦してみるつもりである。

 ……そんなことは殆どの確率でないが。俺、まだ借金を十パーセントも返してないんだぜ?


 多少まわりからの視線を感じつつも、前回とは違う入り口を入る。ちなみに魔物のパターンはランダムだ。もしかしたら、前回と同じ相手だという可能性もある。……うーん、まさに迷宮の不思議だよ。


 入ると大きな空間の真ん中にいた。そこは次に進むだろう通路を除いて辺りは壁に覆われている。……これも迷宮の不思議だ。入り口から入ったはずなのに転移してきている。……これは考えたら負けだと思うので気にしない。


 で俺たちの敵は多くの……G。大きさなど多少の違いはあれど、姿かたちは完全にあのGである。


「いやっ、いやっ!」


 流石に男として怯えるのはどうかと冷静は保っているが、ミレナは完全にダウンしている。まぁ無理もないよ。俺たちの周りが大量のGで囲まれているのだ。誰だって嫌だろう? 俺も嫌だ。

 涙目のミレナは俺に抱きついていやいやとGを見ないようにしている。……早くしないとミレナが発狂しそうだな。ステラとクロエもかなり気持ち悪いようで、俺の傍で固まっている。


 とりあえず聖壁を張ろう。あれに触れるのなんて俺でも嫌だ。ましてや襲われるなんてトラウマレベルである。ミレナはもうトラウマだと思うけど。


「クロエは俺と同じように聖壁を張って。ステラはその後に焼き尽くして。遠慮は一切無用だ」

「はい!」

「うん!」


 クロエは即座に俺以上の聖壁を何重にも張り、ステラも最大火力で殲滅(せんめつ)を始めた。俺はミレナの精神力の回復を目指す。


「ミレナ、大丈夫か?」

「……だいじょばない」


 あのミレナがぐずるステラみたいになっている。この状況に似合わずとても可愛いのだが、今は早く回復してもらわないとここをクリアできない。クリアできないと一生、この中にいることになる。


 ミレナの精神を回復させているとどうやらGの殲滅が終わったらしい。ステラとクロエが振り返って俺の近くまで来た。二人ともミレナほど酷くはないにせよ、トラウマが作られたみたいだ。


「……クロエ、精神治癒を頼む」

「…………分かりました」


 精神系は闇属性にしかない。だから、クロエに精神治癒で三人の精神的な回復を促す。精神治癒はあくまで回復を促すだけなので、結果としては誰かが回復させないといけない。

 俺? 俺はそもそも日頃で鍛えられているのでこれくらいなら大丈夫。それでも大量のGは普通に気持ち悪かった。

 それにしても……日々の三人の誘惑を耐える事でこの状況を冷静でいられるとは……なんとも皮肉というか、こんなことでわかるのは釈然としないなぁ。


 まぁ今はどうやって回復させようか……。今回に関してはご褒美とかはほとんど意味がないし、慰めてもまた同じ事になれば今のようになるし……ふぅむ。

 まぁ、何にせよしばらくの休憩は余儀ないだろう。


「少し休憩しようか」

「……ごめんね」

「いや、あれは流石にきつい。ステラとクロエもダウンに近いし、俺だって大分気持ち悪かったんだ。少し休憩したいのは俺たちも同じだからな」

「うん……」

「じゃあ、俺は欠片を集めてくるから三人で休憩しておいて」

「「「ダメっ!!」」」


 全員が今まで以上にくっ付いてきて全く動けない。ミレナに至ってはガタガタ震えているくらいである。そんなにダメか?

 俺が言うまでもなく三人は首を縦に振る。……ダメなんだね。まぁ、うん。しょうがないか。ある程度回復するまでこのままでいるとしよう。今回はかなり時間がかかりそうだけど……。




 それから一時間近く経って、ようやく離れても大丈夫なくらいには回復した三人は座らせたままで、俺は三桁はあろうかという欠片を集める。数だけは多いな。

 これがGのだと思うと俺もちょっと嫌悪感はあるが、ステラたちは触るのもダメなようだった。


 集め終わって戻ってくる。次に皆を立たせようとミレナから引っ張り上げようとしたら、持ち上がらない。別にミレナが重いわけじゃない。これは、多分腰が抜けてるんだろうな。ステラもクロエも同様であった。


「腰が抜けちゃった……」

「もうちょっと休憩しようか」


 それからニ十分ほど経ってようやく治り、次へと続く通路を進む。……何となく、嫌な予感はするけど…………

 ちなみに三人は完全に俺にくっ付いてたままで、正直動きにくい。


 次の大部屋に入ると、待っていたのは多種多様の……蜘蛛。それも一つ前のGより数は多いと思われる。


「うそ……」

「ミレナ!?」


 目の前の光景にミレナは気を失ってしまった。うん……これも十分に気持ち悪いね。せっかく回復してきたのに虫系のダブルとは……迷宮の嫌らしさが垣間見えた気がする。

 今回も俺とクロエが壁を張って、ステラが火と風属性の魔法で焼き払い、殲滅する。全て焼き尽くすと再び二人は俺にくっ付く。


 とりあえずミレナを寝かせる。横にさせた瞬間、気を失っているはずなのにミレナはガタガタと震え出した。慌てて抱えるとその震えは収まった。……よっぽど、トラウマになったんだね。

 膝枕は大丈夫のようなので、ミレナが目覚めるまでこのままにしておこう。ステラとクロエも震えているので抱きしめる。

 結局、再び長めの休憩を余儀なくされる。……というか、俺の予感当たっちゃったよ。まさかフラグなわけ……ないよな?



  ♈♉♊♋♌♍♎♏♐♑♒♓



 …………という感じで進んでいって、今はボスの一つの前の大部屋。俺たちの先には扉で塞がれた次への道がある。


 やぁ、これまでも最悪だったよ。いうなれば今回は虫祭りだった。ボスも含めると全部で十五回なんだけど……。

 知っての通り一回目はG、二回目は蜘蛛。三回目は蟻で、四回目はムカデ、五回目は蜂、六回目は蛾だった。もちろん全部気持ち悪かったのだが、これ以上は無いだろうと高を括っていたら……七回目から今いる十四回目まで全ての敵はそれまでの組み合わせだった。


 俺のSAN値はその間でかなりゴリゴリと削られたよ。ステラたちは気を失うこと……三回くらいは繰り返したかな。うん、酷かったよ。

 もうね……最悪だった。休憩時間も含めれば攻略時間は十時間を余裕で超えてるよ。しかもその殆どが休憩に当てられている。強さ自体は前の方が強かったくらいなので、殲滅は数分で終わる。

 ただし、その後決まってステラたちはトラウマを植え付けられるので、その回復に相当の時間を要するのだ。


 今だって俺以外は全員気絶しており、俺が少しでも離れるとガタガタ震え出すのでずっと傍に居る必要がある。一人は膝枕で、あとの二人は寄り掛からせるように抱き寄せて。

 ……もし、今の状況でこれを羨ましいと思う奴がいたら、是非変わって貰いたい。この……ある意味、生き地獄が平気な奴はそれぐらいは喜んで今の席を譲ろう。まぁ、出来る奴なんてほとんどいないだろうけど。だって、二、三回は耐えられても十回近くなると一般人の精神なんて普通にボロボロにだぜ?

 俺も多少はトラウマを植え付けられたのだ。若干、これ以上不屈の洞窟には行かなくていいかな? と思っている自分もいるし。


「……本当、今回は最悪だな。ランダムだという時点でまた地面に叩きつけられた気しかしないが……」


 嫌な考えは振り払って、ポジティブに考えながら三人が目覚めるのを待っていると、今回一番トラウマを植え付けられたであろうミレナが最初に目覚めた。

 気絶する前の事を思い出して、かなりビクビクしている。


「ユートくん、私もうイヤ……」

「そうだな。でも、次で最後だからあとちょっとがんばろ?」

「うん……」

「ありがとな。ボスを倒したらしばらくは療養に専念しような。俺も大分きつい」

「そうね……」


 いつものおふざけすらしないで小動物みたいに震えているこのミレナの可愛さよ……さっき、誰か変わってほしいといったな? あれは嘘だ。正直、これが見れるならまだ行ける気がする。

 まぁ、三人が限界なのでこれ以上は求めないが。でも、ボスもこんな感じだろうなぁ。しかも強くなって。三人の精神が持つかどうか……








皆さんどう思います?

大量のGとかの虫に囲まれるのって……私はダメですね。

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