表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星降る世界で……  作者: 弓咲 岬
三章 旅をしてみよう(国内で)
43/86

四十二話 ……頑張ろう

本日一本目です…………が二本目が出せるのか?

まぁ頑張ります。

 ミレナは一夜明けても相変わらずそっけない態度を続けている。だけど無理をしてるのは傍から見ていれば丸分かり。結構な頻度でこっちをチラチラ見て来るし、その目が合うとぷいっと逸らす。反応だけ見れば随分と可愛いが。原因は拗ねられた、ただそれだけだ。

 それと昨日のいざこざはミレナのお陰でフェルにバレてなかったそうだ。ステラから聞いた。はぁ……こういう事をしてくれるから怒るに怒れない事も多々あるんだけどな。本当にあの依存過ぎるのさえなければ、とは良く思う。まぁ無理に治す気は無いし。精神的な問題は時間が掛かる。


 気を取り直してっと。今日は俺が見張りをしていて、定期的に三人がローテーションで幌の上までやって来る。ステラとクロエは良いんだが、ミレナの時だけ気まずくなるんだよ。何を言っても無視か、軽い受け答えしかしない。ここまで来ると止めようにも止められなくなったんだろう。いつもなら俺から話しかけて終わりだからね。証拠に話しかけられると明らかにテンションが高くなるからなぁ。直ぐに戻されるけど。

 あとは残りの二人……特にステラは昨日の影響でスキンシップが少し激しい。


「お兄ちゃぁん~」


 甘えて来ながらキスをせがむ。大体一分間に二回くらいの頻度で。とは言え少しでも馬車の周りで反応があったら即座に態勢が整うのでお兄ちゃん、どう反応すれば良いか分からないよ。

 ……まぁそこは置いたとして、頻度かなり多くない? という意見が聞こえて来るが、よくよく考えてくれ。ステラは見て分かる通りかなりの甘えたがりだ。酷い時なんてキスが数分続く事が連続して起こる。数分続くだけならザラだ。……一番危ないのは寝起き直後だけど。


 何とかステラをあやしているとタイミング良くクロエがやって来た。どうやらローテーションの時間となったらしい。どれくらいの時間か、その時間をどうやって決めているのか、それを知る術は俺には無いが。ふふっ。素直に従うだけさ。

 ステラは少し渋ったが、俺が少しだけ強く抱き締めると大人しく馬車の中へと戻って行った。


「あのユート様……」

「ミレナの件だよね? 話し掛けてはいるんだけど全然反応してくれなくてさ、そろそろ行動しようと思ってたんだよ」

「……あ、はい」


 俺に向かう状態で座って話を切り出そうとしたらその出鼻を挫かれてクロエはポカンと呆けている。なんか可愛い。

 俺はクロエの後ろに移動して抱き着く。ステラによくしているので色々と慣れた。クロエは顔を真っ赤にしながらも離れようとはしない。


「あまり心配しなくていいよ。言ってしまえばミレナが拗ねてるだけだし」

「……ええ、まぁ。……はい、よろしくお願いします」


 それだけで信用してくれたのかクロエは俺に身体を預けてリラックスし始めた。それ自体は良いんだが、ミレナに対して扱いが少し雑な気がする。まぁ、あんな感じで昨日今日と拗ねられたら普通思う所はあるか。

 それとクロエが真剣な感じで深刻そうな感じだったからあれだったけど、簡単にすると単にミレナが拗ねてるだけだからな。わざわざ難しく考える必要は無い。シンプルが精神的には一番良い。難しく考えた結果、精神的に物凄く疲れるのはステラで経験済みだし。




 その状態で雑談でも交わしながら見張りを続けているとミレナがやって来た。機嫌は少し悪め。目つきが悪い。クロエは直ぐに降りて馬車の中へと戻って行った。


 ……ミレナは俺より少し遠い所に座って外を眺めている。如何にも私に関わらないでオーラを出している振り(・・)をしている。だって、時折こっちを見て来るんだし。しかも妙にそわそわと。ミレナもいい加減限界なんだろう。行動があからさま過ぎるのは目を瞑ろう。

 しかも最初に少し機嫌が悪いなぁと思ったのは目つきが良くないのが原因なんだが、よく見ると目の下に隈が出来ており、寝不足でそう見える事が分かった。つまり昨夜、色々と悩んでいたらしい。

 ……何だか急に馬鹿馬鹿しくなって来た。


 ミレナを後ろから抱き締めて耳元で囁く。この間、ミレナは動く気配が全くない。


『なぁ、未来。何時まで拗ねてるんだよ』

『す、拗ねてないもん』

『拗ねてないならもしかして俺の事、嫌いになった?』


 自分が拗ねているであろう事を認めないミレナにちょっとだけ腹が立った。前まではそれすらも逆手にとって襲って来たと言うのに。随分と臆病になって。

 まさか恋人になったのが不味かったのか? ミレナのあの性格は未来の時からそこまで嫌いじゃなかったんだけどなぁ。


『え、いや、ちが』

『違うのか? だったら何で無視しかしなかったんだ? 俺はかなり寂しかったぞ』

『だって……』

『もしかして他に好きな人が出来たのか? ……だったら婚約は解消するか? 俺は悲しいけど未来がそうしたいならそれでもいい』


 俺は自分でもかなり勝手な事を言って未来を困らせてる自覚はある。むしろ未来が物凄く不味い心境にいるのは理解してるんだが、だからこそ未来には、ミレナにはここで依存気質から抜けて貰いたい。正確には切っ掛けの一つでも得て貰いたい。

 ミレナはやっぱりあの積極的な性格の方が似合う。…………それ自体がミレナを好きになった理由の一つでもあるし。

 まぁここまでしているのでアフターフォローは勿論しっかりするつもりである。その結果、どうなっても受け入れはする。覚悟したのは今だけど。


 そのミレナは俺の提案に対して凄い速さで首を横に振った。そして、こっちに振り返るとキツく睨んで来た。何故そんな事を聞くのか、と。私の気持ち知った上でそんな事を聞くのか、と。視線がそう言っている。


『……イヤよ。私は祐人くんが好き、大好き。その気持ちはずっとずっと変わらない。なのにあんな…………ん? 待って。もしかして……私が祐人くんに対して依存的になってる事を治そうとしてくれてるの?』


 ここに来てその頭の回転の速さ、感服致します。もはやツッコミすら出て来ねぇ。一体どこをどうやって考えたらそこへ導かれるのか。どんな思考回路なのか皆目見当もつかない。

 そして、流れが何か可笑しな事になって来てる。さっきまで未来はあたふたしてたのに今は大分落ち着いていた。


『確かに依存気質は治して欲しいけど……それ以上に何でそこまで考えが行くんだ?』

『……私もね、自分が祐人くんに対して依存的になってるなぁ、って感じてたの。だから少し距離を置く様にして改善していこうと思ったんだけど……時間が経つごとに怖くなって。寂しくなっちゃって。むしろどんどん依存していくような感じになっちゃったの……』


 未来は自分の原因に気付いたうえで治そうとしていたのか……。気付けなかったのは反省するとして少しは相談して欲しかった。しにくい内容なのは理解できるが。あと、頭の回転が速いと言うよりかは予想が当たったと言う感じに近いな。

 まぁ絶対に追及はしないけど。何で相談してくれなかったんだ! なんて言ってしまったらそれこそ、未来を侮辱する事になる。そっちはもっと駄目だ。


『そっか……未来も頑張ってたんだ。気付けなくてごめん。……まぁこれからは皆で協力して治していこう。ステラやクロエは知ってるんだろ?』

『うん……祐人くんは私の事好き?』

『大好きだ。……と言っても半信半疑だろ?』


 未来は不安そうな表情で俺の目を見つめている。俺も経験があるから分かるが、こういう時って言葉はあまり意味が無いんだよな。それよりも行動の方が余程安心出来る。

 言葉って偶に文字の羅列にしかならない役立たずな時があるからなぁ。


 俺は未来にキスをする。個人的にキスは最も手軽で効果的な愛情表現だと思う。人によっては違うのもあるあろうけど、それでも結構なウェイトを占めるんじゃないか?

 互いに抱き合いながら優しく何度も唇を交わす。舌はいれない。ソフトなのだけで十分だろう?


 …………蛇足なんだが、それと未来、ステラ、クロエの三人に共通する事の一つにキスするだけで蕩ける、と言うのがある。

 今は唇を離して互いに見つめ合う状態なのだが、ミレナは顔がだらけていて、目の焦点がちょっと合っていない。ついでにだらしない笑みを浮かべている。


「……大好きだよ、ミレナ」


 びくびくぅ! と言う感じに身体全体を震わせたミレナは次に身体を倒して顔を埋めた。耳まで真っ赤なので顔は凄い赤いんだろう。余程恥ずかしいらしい。ミレナが顔を真っ赤にして照れるのは中々ないので結構レアだ。

 それにしてもミレナの不安を消す為に未来でもミレナでも好きだ、と言うのはクリティカルだったらしい。




 ……そもそもの前提として俺はかなり信頼できる相手じゃないと口調すら変えない。それと一定距離以上は近づかせない。

 それに例え一晩の関係を持ってしまったとしても前提条件を満たしてなければそれ以降で思い出す事も無いだろう。……それだけミレナは大切という事なんだが、これ以上はオーバーキルの様な気がするのでこれはまだ胸の内に秘めておこう。……あまり公に言いたい内容でもないしな。


 ミレナと仲直り(?)した俺はステラとクロエも含めていつも通りに過ごした。途中、大きな面倒事なんて起こらず、無事にサリレへの街へと到着することが出来た。








読んでくれてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ