表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

乗ってはいけない話

作者: ミスルトー

2月の寒い朝非通知の電話が来た。

電話に出るとこんなことを言われた。

「いつもの会社までの道のりで危ない目に合うかもしれない。その時私たちの指示に従い、ミッションを成功させたら現金1億円をあげよう。」

ということだった。確かに最近お金に困っていて借金があるため一億円があったら返せるが危ない目にはなるべく会いたくないと思った。最近小さな子供ができたばっかだし妻もいる。しかし、警察という職業柄、危ない目にはしょっちゅう合う。この道20年間だからそこそこのスキルはある。乗ってみるかと少し思った。


働いている警視庁まではバスや電車も合わせて50分。なにがあるのか怖かった。

まず電車に乗った。まだ何もない。そうすると電話がきた。

「今すぐ二号車に行け!お前が今追っている殺人事件の目撃者がいるはずだ。少し変わっているところがあったらそれを頼りに見つけるんだ。」

そこでこちらの質問を妨げるかのように電話が切れた。二号車に向かった。毎日のように新しい人が乗り込んでくるのにわかるはずがないと思った。しょっちゅう会っている人は挨拶ぐらいはしてくれる。朝早い電車のため、人は少ない。乗客ザッと10人その中で挨拶をしなかった人は、5人。だからさりげなく隣に座り事件の話をした。

「あの殺人事件ひどいですよね。何人も一気に1日で殺してね。だれか1人ぐらい見た人がいると思うんだけどねー。」

「で、なんですか」

「いやぁ、ひどい話だよなぁっと思って。あなたに話かけたんですよ。」

すると1人いきなり席を立ち二号車を出ようとする男性を見つけた。今の話が聞こえていて動揺したのかもしれない、追った。

「すみません。あのお聞きしたいことがありまして」

「何ですか?」

「あなたの手と顔のアザはどうしたんですか。」

「少し友人と揉めまして。」

「ほう」

相手は明らかに動揺していた。

「女性連続殺人事件って知ってますか?今結構ニュースで話題になってるんですけど」

「知りませんね」

小刻みに震えていた。かすかにこいつが目撃者なんではないかと思った。

すると、3号車で倒れた女性がいた。その男は助けに行った。そして的確な指示をした。

この男は医者だと察した。

男に駆け寄って

「すみませんでした」

と言って二号車に戻った。5人の中で2人可能性が低くなった。

すると1人こっちに寄って来た若い男性が言ってきた

「おい、おっさんさっきからずっと何あの事件について聞いてんだよ。」

こいつが『あの事件』と言っているところや『聞いている』と言っているところから若手の警察の人だとおもった。そこでちらっと警察のマークを出すと黙ってしまった。

そんな話をしていたら5人のうち残りの2人の可能性が高くなった。しかし、見渡すと見たことないのは1人になっていた。不審に思った。なぜこいつが俺の前に堂々と立っていたかがわかった。

急いでもう一人を探しに一号車に向かった。自分たちは二号車と三号車の間にいたため、一号車にしか居ないと考えた。

すると意外にすぐ見つかった。なぜなら一号車は今使うことができないからである。そこにはガタイのいい男が立っていた。

「何の用だ」

声が低く怖かった。

「今女性連続殺人事件の目撃者を探している。」

率直に正直に言った。

「ふーーん、それは面白い、しかしそれは私ではない。」

「なぜだ」

「あの日はドライブしていたからな」

「そうか」

とりあえず時間が迫っていたので最後の人の方へ向かった。

そしてさっきと同じような話をした。

「殺人ってやっぱダメですよね。」

「そうですね」

声にハリがないように聞こえた。

「いきなりどうしたんですか」

「いやぁ最近殺人事件があったから。」

「あぁ、あの連続殺人のやつですよね。」

「知ってるんですか」

「ええまぁ」

これはしめた、と思った。

「あなた現場目撃しましたよね。」

「いえしてませんけど」

困惑した。みんな違う。みんな犯人じゃない。

新たな考えが出た。

この5人全員が目撃者なのではないか?

予想は的中した。

一号車にいた男性がいきなり銃で殺そうとしてきた。

「待てっ!なぜ警察に通報せずずっと隠していたんだ。」

「誰かに言ったら次はお前らだって言われたから」

「全てのことを話してくれたら君達は助かる。」

「本当ですか?」

「本当だ。」

「じゃあ話します。犯人は警視庁のトップ福山さんです。」

驚いた。今まであんなに親しくしていた福山さんが犯人とは。

「わかりました。」

その一言を伝えて仕事場へ向かった。


仕事場に着くとあのことが頭の中にずっとあり、仕事に集中出来なかった。そこで思い切って全てを話した。


次の日


一億円を手に入れたものの、福山さんが辞任した。じぶんは未だに良いことをしたのかわからない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ