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異世界で無双しながら幼馴染を含むハーレムが作りたかったんです。

ざわざわ…


 これがあの有名なギャンブルのときに聴こえてくる音か。

 なるほど、確かにこれほどの緊張感なら、周りの音なんて雑音でしかないな。

 掛け金は日本円で言えば、2億円の相当。しかも、それが一発勝負のブラックジャックでの掛け金だというのだから、そうなるのも当たり前か。

 しかも、カジノの一般の客もみている前での勝負だ。野次馬も多い。それぞれが、思い思いにこの勝負の行方を想像して囁きあっていれば、うるさくもなる。


「引きますか?」


 テーブルを挟み立っているディーラーが聞いてくる。

 さて、どうしようか。

 今ディーラーの前に置かれたカードはスペードのKとダイヤの4。そして、僕の目の前には、ハートの6と伏せられているカード。

ブラックジャックは、 21以下で近い方が勝つゲーム。しかし、22以上となればバスト、役なし。バスト同士はディーラーの勝ちとなる。

そして、ディーラーは17以上でなければ勝負できない。17以上になるまで引き、17以上になった時点でストップする。


「うーん、と。ディーラーさんは今14ですよね」

「えぇ。見ての通りです」

「なら引くしかないですね、ヒット」


シュッ


 新しく配られたカードは、ハートの4。


「引きますか?」


 さて、ブラックジャックは21以下で近い方が勝つゲームと説明したけれど、それは正しくもあり、間違ってもいる。

 重要なのは、バストをしないで勝負すること。ディーラーは、ルールに従ってカードを引く以上、絶対にバストしないなんてことはない。ならば、後は確率の問題だ。ディーラーがバストする確率とディーラーに数字で勝つ確率を考えてヒットするかステイを宣言すればいい。


「うん、ヒット」


シュッ


クローバーの7。


「どうしますか?」


 ディーラーもさすがに引きますか、とはもう聞いてこない。見えているだけで17。バストしていてもおかしくない数字だ。

つまりここは、


「ヒット」

「ッ!!」


 一瞬ディーラーの顔が引きつる。


ざわざわ…


再び大きくなる外野の声。


スッ


 新しいカードは、ハートのQ。

 見えているだけで27。明らかなバスト。


「ハッハッハ。負け決定ですな。契約通り支払ってもらいましょうか」

 うるさいな。

「うん、何か言いましたかな?オーナーである私との勝負にあなたは負けたのですよ。契約に従って片付けましょうっ!!」


 カジノのオーナーが、興奮するのも無理はない。2億もの勝ちとなれば当然だ。

 そもそも、それまで勝ちすぎた俺たちから、今日の勝ち分を巻き上げるためにカジノ側から持ちかけられた勝負。俺たちがカジノから抜いたのは、1000万だが、こちらから上乗せをしてここまで吊り上げたのだ。濡れ手で粟ってやつだ。


「僕はまだ敗けを認めてないですよ。さあ、勝負を続けましょう」

「おいおいおい。何を言っているんだい。君はもうバストしたんだ。そこから君が勝つのは不可能なんだよっ。大人しく敗けを認めなっ、坊主。それこそ、イカサマでもしないかぎり、この結果はひっくり返ることはないっ」





 さてさて、これが物語だとしたら、ここまで読者は読んでくれただろうか?

 テンプレ異世界転生無双が読みたくて開いてくれた読者には申し訳ないと思う。

 でも、この世界に転生したときは、俺だって剣と魔法で無双するとばかり思っていたさ。

 まあ、魔法の方は、どうやらあまり才能が無かったらしく、魔法での無双はできないことは、5年も前に知った。剣は一定以上の才能があったから、まだチャンスはある。

 それに、テンプレぽく、神様からだって、チートらしいものは貰ったんだ。

 まだ、諦めないでくれ。


 くだらないことを、考えてしまったものだ。

 そろそろ、誰か気が付いてもいい頃なんだがな。


ざわざわ…


   「あ、ザフール」


誰かの呟きが、聞こえたかと思った瞬間、それは爆発的に広がっていく。



 最初から勝ちが決まっている勝負ほどつまらないものはない。

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