もふ怪談2 春眠
これは実話を素にしたものである。
~~~その1~~~
ある春のこと。学生だった俺は休みを満喫し、2度寝を楽しんでいた。
寝返りを打つと、背中がもふっとした!
布団を蹴り退かし、背後を探る。
トレーナーとTシャツを着ていた。その両方が引っ張られる。
その場でもそもそと脱ぐ。
後にはTシャツの中に埋まる猫が残った。
~~~その2~~~
同じ春のこと。学生だった俺は休みを満喫し、2度寝を楽しんでいた。
が、そろそろ起きようとしたときのことだ。
何故か、体が動かない。
まさか!と思った。これがかの有名な金縛り!
本当に動けないのか、確認していくことにした。
目はOK。
首も動く。
指や爪先も問題ない。
ん? どういうことだろうか?
動く首を巡らすことにした。
布団の上から見る。
右手の右側。猫。
左手の左側。猫。
さらに下へ視線をやる。
右足の右側。ねこ。
両足の真ん中。ねこ。
左足の左側。ねこ。
5匹の猫に取り囲まれていた。
……命名、猫縛り。
~~~その3~~~
同じ春のこと。学生だった俺は休みを満喫し、2度寝を楽しんでいた。
ガサゴソッ!
もの音が聞こえていたが、眠かった。
だから無視した。そのことが後で大事なものを失うとも知らずに。
そして……、
――GASHAAAAA!!!
魂消るような声!
部屋の中でうちの猫、よその猫、双方が取っ組み合いの喧嘩!
跳ね起きました。主観では50㎝は飛び跳ねました。
気付けば、よその猫は逃げて行った後だった。
部屋の中には猫の毛が散乱してました。
その後、2か月程。
たいへん目覚めが良かった。そう良くなった。
――ぴっバタンッ!
目覚ましが鳴ると、叩きつけるように即座に止めていた。
そして100m走後のように、心臓の鼓動は激しく打ち、呼吸は荒げていた。
それが二度寝の楽しみが奪われてしまった結果だった。