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第10.5話 みんな大好き?ヴァスティナ帝国 Ⅱ

2. ゴリオン、はじめてのおつかい




「いいかゴリオン、買ってくる物のメモはこれだ。間違えるなよ?」

「わかったんだな」

「忘れもんないな?財布は持ったのか?」

「持ってるんだな、心配ないだよ」

「よし、なら行って来い」

「行ってくるだよ、ちゃんとおつかいしてくるんだな」


 ゴリオン君は今日、ヘルベルトのおじさんにおつかいを頼まれました。

 今までゴリオン君は、一人でおつかいに行った事がないそうです。そこでヘルベルトおじさんは、ゴリオン君におつかいを経験させてみようと考えました。


「大丈夫かよあいつ・・・・・・」

「心配ならばつけてみるか?」

「暇つぶしにはなりそうだな、俺も付き合うぜ」


 ヘルベルトおじさんにロベルトおじさん、さらにはクリス君まで加わって、ゴリオン君の後を、気付かれないように追いかける事になりました。

 果たして、ゴリオン君のおつかいの命運は如何に。






「あー!ゴリオンくんだ!」

「やあゴリオン。今日も相変わらずでっかい体してるな」

「この前は荷物運び手伝ってくれてありがとさん!お礼に店のりんご貰ってくれ」


 ゴリオン君は街の人気者です。道行く人々はみんな、彼の大きな体を見つけると、明るく声をかけてくれます。

 子供たちも、大人たちも、老人に至るまで、ゴリオン君に挨拶します。ゴリオン君がどうしてここまで人気者なのか?その理由は、よく街のお手伝いをしているからです。

 お店の荷物運びや、建築作業での力仕事、遊び盛りの子供たちの遊び相手などなど、街と人々の暮らしのために、日々お手伝いをしています。休日であってもそれは変わりません。

 休日は城でごろごろするか、酒場で昼間から飲んだ暮れる、帝国軍精鋭部隊の男たちとは違います。彼は立派な男です。


「ゴリオンくん、あーそーぼー!」

「ごめんなんだな。オラ、おつかいの最中なんだな。またこんど遊ぶだよ」


 子供たちの誘いを断り、道草せずに真っ直ぐ目的地を目指します。おつかいは順調です。


「いい調子だ。この調子なら賭けは俺の勝ちだな」

「まだわからんぞ我が戦友。勝負は最後までわからんものだ」

「おいお前ら、まさかおつかいの成否で賭けてんのか?」

「負けた方は今晩飲み代奢りなんだ。こいつは負けらんねぇぜ」


 あらあら何と言う事でしょう。

 後をつけている男たちの内二人、ヘルベルトおじさんとロベルトおじさんは、ゴリオン君のおつかいを利用して賭け事に興じているそうです。

 汚く醜い大人たちですね。ゴリオン君の純情で親切な気持ちを弄ぶなんて。最低の大人たちです。

こんな大人になったら駄目だぞ、ゴリオン君!


「いらっしゃいゴリオン、今日もお手伝いに来てくれたのかい?」

「ちがうんだな。オラ、おつかいを頼まれただよ」


 目的地に辿り着きました。

 気の良いおばさんが働く、街の酒屋さん。ここがおつかいの目的地です。

 ゴリオン君、早速渡されたメモを取り出して、書かれている文字を読み上げます。


「えーと、ビールと黒ビールとウイスキーが欲しいんだな。三本ずつ買うだよ」

「はいよ。またあの飲んだくれ共が欲しがってるのかい?まったく、酒ぐらい自分で買いに来いってんだ」

「しょ、しょうがないんだな。みんないそがしいって言ってただよ。だからオラがおつかいに来たんだな」

「なにが忙しいのかねぇ。どうせあいつら暇してんだよ、今日は休みだって嬉しそうに言ってたしねぇ」


 まあともかく、メモに書かれた通りの酒を注文したゴリオン君。ここまでは完璧です。


「お前ら最低だぜ」

「俺はおつかいをした事がないゴリオンのために、経験を積ませようとしただけだぞ」

「そうだぞクリス。決して休日の暇つぶしのために、ゴリオンを利用したわけでは断じてない」


 駄目な大人たちは放っておきましょう。

 そんな事よりも・・・・・・、おやおやどうしたのでしょう?気が付けばゴリオン君が何やら困っています。


「おっお金が・・・足りないんだな・・・・・・」


 何という事でしょう!ここまで来て、まさかのアクシデント!

 財布の中に入っていたお金だけでは、メモ通りにお酒が買えない事が判明してしまいました。このままでは無事におつかいを完遂する事ができません。


「ロベルト、財布用意したのはお前だったよな。金が足りねぇってのはどういう・・・・・・、まさか!?」

「ふん、かかったな我が戦友よ!そうだ、お前の想像通り財布の中身はあえて少なくしておいた。こうしておけば、ゴリオンがおつかいを完遂する事は不可能。よって賭けは俺の勝ちだ!!」

「謀ったなロベルト!!ちくしょう!お前はイカサマする奴だとは思っていなかったのに!!」

「ふっふっふっ、俺も参謀長殿を見習ったのだよ。策を弄して敵に勝つという、戦いの基本をな」

「どうしようもねぇ糞野郎共だな」


 クリス君がとっても呆れています。ほんとに大人って醜いです。

 さあ困った状況です。確かにお金が不足していては、買わなければならないものが買えません。ゴリオン君は一体どうするのでしょう?


「困ったんだな・・・・・」

「なんだいゴリオン、お金無いのかい?」

「そうなんだな。もたされた財布・・・・これだけしか入ってないだよ・・・・」

「どれどれ・・・・、あらまほんとだ。これだからあの男共は、今度とっちめてやらないとね」


 困り果てたゴリオン君。悲しそうな表情を浮かべています。

 見ているこっちまで悲しくなってきます。・・・・・・この馬鹿二人は後で減給です。


「いいよゴリオン、今日はおまけしとくから。この前お酒運ぶの手伝って貰ったからね、そのお礼だよ」

「いっ、いいんだか?」

「ついでにこのお菓子もあげちゃう。だからしょぼくれんじゃないよ」

「おばさん、ありがとうなんだな!」


 気の良い酒屋のおばさんが、親切におまけしてくれました。

 無事にお酒を購入し、ついでに飴も貰いました。持ってきた手提げの鞄に、お酒を入れて貰います。目的はこれで達成です。これも日頃の行ないの賜物と言えるでしょう。ゴリオン君は、街のみんなに愛されていますね。


「なんだと!?」

「策士策に溺れたなロベルト!賭けは俺の勝ちだぜ!!」

「そのことわざ、使い方間違ってねぇか?」


 さっきまでの悲しい顔が嘘のよう。ニコニコして帰り道を歩いていくゴリオン君。

 でもまだ終わっていません。無事に家に着くまでがおつかいです。


「みんな、喜んでくれるといいだよ。オラ、ちゃんとみんなのお手伝いできただよ」


 なんていい子なんでしょう。健気で本当にいい子です。

 それに比べて・・・・・・。


「くっ、かくなる上はここで妨害して------」

「往生際が悪いぞ!さっさと負けを認めやがれってんだ」

「こういう勝負でお前には負けたくないのだ!最後まで抵抗してやるぞ、我が誇りに懸けてな」

「何が誇りだ馬鹿野郎!」


 ・・・・・もういいです。彼らは放っておきましょう。


「オラ、一人でおつかいできただよ。でも、今度はお金をちゃんともって行かなきゃだめなんだな」


 お酒の入った鞄を持って、おつかいの反省会をしています。

 失敗を繰り返さないよう、ちゃんと反省する。大事な事ですね。

 ゴリオン君は城へと戻っていきます。はじめてのおつかいは、無事に終わりそうです。

 もう、陰からこっそり見守る必要はないでしょう。


「ただいまなんだな。おつかい、すませてきただよ」


 はじめてのおつかい、これにて終了です。






「おいリック、さっきから一人で何語ってんだよ?」

「いやほら、こういうのってやっぱりさ、お決まりのナレーションが必要だろ?」



~終~









3. ヴァスティナ帝国ショッピング




「みんな元気かいな、うちは今日も元気やで!帝国一の天才発明家シャランドラ様の、新作発明品ドキドキ発表会の時間やで!!」

「待ってました!この時間はシャランドラ先生の助手を担当します、帝国軍参謀長のリックです。みなさんよろしくお願いします!!」

「ノリがええなあリック。ほんま助手っぽいで」

「任せろシャランドラ。俺に不可能はない!」


 ぱちぱちぱちぱちぱち・・・・・・・。


「今日ご紹介するのはこれ、じゃかじゃん!!」

「名付けて、頭がよくなるかもしれない装置改や!!」


 おおーーーーーー。


「先生、これはどういった装置なのですか?」

「これはな、頭に被るだけで見る見る頭が良くなっていくっていう夢の様な装置なんや。これさえあればどんな馬鹿でも、頭脳明晰成績優秀間違いなしやで!!」

「流石先生!早速誰かで試してみましょうよ」

「もちろんや!じゃあリック、頭に被せるで」

「はい先生!・・・・・・・・・・・えっ、大丈夫だよねこれ?」

「信用してくれや、今度は大丈夫やから」


 カチャカチャ、ガシャン。


「あのー、先生?」

「この前発明の実験台になってくれる約束したやんか。約束破るんか?」

「うっ・・・・・・、わかった。俺も男だ、腹を括るぞ」

「よっしゃ!そんじゃまあ、スイッチオンや!!」


 ポチッ。ガシャンガシャンガシャン、キュルルルルルルル・・・・・。


「ありゃ?」


 グオングオングオン、バチバチバチバチ、ビリビリビリビリビリビリ!!!!!


「○×△□♯※♪☆√¥@卍!?!?!?!?!?」


 ガンガン、ボフンッ!シュウゥゥゥーーー・・・・・・。


「リック・・・大丈夫かいな・・・・・・?」


 ガクガクガクガクガク・・・・・。


「ワ・タ・シ・ハ・チテイジンダ・・・。チジョウヲ・シンリャクシニ・ヤッテ・キ・タ・・・・・」

「・・・・・・・・・・以上、ドキドキ発表会の時間でした!!それじゃあまた来週や!」


 忍び足、忍び足・・・・・・・。


「リック様になんて事をしている!!」

「逃げるな眼鏡女!ぶっ飛ばしてやる!!」

「僕のリック君が壊れちゃったああああっ!!」

「シャランドラ、君は当分発明禁止だ」

「ゆっ、許してくれや!理論上は完璧だったはずなんや!!」

「シンリャク・・・・チジョウ・・・アイムチテイジン・・・・・」



~終~









4. イヴ日記




 天気、晴れ。今日の気分、いい感じ。


 僕が帝国に来て少し経ったの。この前リック君の命を狙ったんだけど、暗殺は失敗しちゃった。

 でもね、リック君のおかげで帝国軍の一員になる事になったの。これからはリック君のために、ここで働く事になったんだ♪

 リック君、僕のせいで重傷だから、今日も車椅子に乗って貰ったの。僕のせいでリック君がいっぱい傷ついちゃった・・・・・・、だからこれは僕の仕事なの。

 これからもずっと、帝国でリック君のために頑張ろうと思うから、今日から日記をつける事にしたんだよ♪♪

 僕のその日の出来事とリック君の事を書いていく日記。毎日つけていくからね♪

 ・・・・・・飽きちゃわないように気をつけなきゃ。






 天気、晴れ。今日の気分、激おこ。


 僕ね、今チャルコっていう国に来たの♪もちろんお仕事だよ。

 リック君の護衛で付いて来たんだけど、なんとね、憧れのメイド服が着れたんだよ♪♪リック君も褒めてくれたの、よく似合ってるって。

 本当はリック君と街でデートしたかったんだけどね、クリス君が邪魔したの。留守番してて欲しかったなー。しょうがないね、デートはまた今度だね♪

 そうそう、激おこなのはクリス君のせいじゃなくてね、エステランっていう国の王子のせいなの。

 リック君もクリス君も、ものすっごくキレてたけど、僕も久々に負けないぐらいキレちゃった。だってだって、僕のリック君を馬鹿にしたんだよ!あの王子・・・・・えっと名前なんだっけ?

 確か・・・・・・エロス王子だっけ?卑猥な名前のくせにね、リック君を駄犬呼ばわりしたんだよ!キレるよね普通!!リック君に影響されちゃったのか、とっても汚い言葉叫んでキレちゃった。あんまり人には見せられない感じだったかも・・・・・・。

 リック君許可くれないかな・・・・・・、あのバカ王子殺す許可。今年の僕のお誕生日プレゼント、暗殺許可だったらとっても嬉しいのに・・・・・・。愛しの狙撃銃ちゃんで一発で殺っちゃえるのにね♪

 リック君、メシア団長を王子に盗られそうになって、とっても怒ってた。

 僕はリック君を怒らせる人、ぜったい許さないから・・・・・・。ほんとだよ?






 天気、晴れのち曇り。今日の気分、まあまあかな。


 今日は停戦の日になったよ。

 僕たちヴァスティナ連合軍とジエーデル軍の戦争が終わったの!僕、大活躍だったんだから♪♪

 とっても大変な戦いだったの。撃ち殺しても撃ち殺しても切りがなかったし、弾も全部使い切っちゃったし。一番大変だったのは、リック君がぼろぼろになって帰って来た時だったよ・・・・・・。

 大切なあの人を助けに行くのはいいんだけど、ほんとにほんとにほんとーーーに、心配したんだよ!!

 僕も連れてってくれればよかったんだよ!そしたらリック君をぜったい守り切ってみせたのに!傷だらけで帰って来た時なんか、僕心臓止まるかと思ったんだからね!!僕怒ってたんだから!!

 でもね、セリちゃん見てたら思い出したの、リック君と僕がお城の中庭で対峙した時の事。やっぱりリック君らしいよね、自分の大切な人を命がけで守る感じ。僕はそこに惚れて墜ちちゃったの。リック君大好き♡

 それから、メイファちゃんも大好き♡

 お城でリック君の帰りを心配して待ってる、僕の大親友メイファちゃん♪戦いは終わったから、もうすぐ帝国に帰れる。帰ったらメイファちゃんに抱き着きたいな~。だって可愛いんだもん!

 待っててねメイファちゃん、リック君も僕も、もうすぐ帰るから。

 お土産はないけど、代わりにリック君と僕の武勇伝いっぱい聞かせてあげるからね♪♪






 天気、雨。今日の気分、とってもいい感じ♪♪


 今日は朝から雨だったの。せっかくの休日だったのに、外にお出かけできないの。

 銃の練習もできないし、遊びにも行けない。リック君はお仕事で忙しいし、レイナちゃんたちもお仕事だったから、雨のせいで一気に暇になっちゃった。

 暇つぶしにお城の中散歩してたんだけど、そしたらね、メイファちゃんに会えたんだ♪

 メイファちゃん、いつも頑張ってるからって、リック君が休日をくれたらしいの。でもね、僕と一緒で何もする事なかったんだって。

 だから僕、メイファちゃんと遊ぶ事にしたの!

 何して遊んだと思う?実はね、僕の部屋のベッドでニャンニャンしたの♪・・・・・・もちろん嘘だよ?

 本当はね、僕の部屋で一緒にお裁縫したんだよ♪

 メイファちゃんね、お裁縫苦手だって言ってたから、僕が教えてあげたの。僕、お裁縫得意だから、えっへん!まあ僕は、女の子の嗜みは大体できちゃうんだけどね。

 お裁縫苦手って言うから、てっきり不器用なのかなと思ってたけど、ちょっとコツを教えたら、メイファちゃんすぐにできるようになっちゃった。飲み込み早いから驚いちゃったよ。

 僕が教えながら、一緒にクマのぬいぐるみ作ったの。色違いの可愛いやつね♪僕は桃色で、メイファちゃんは水色だよ♪親友の証だね!

 可愛い可愛いメイファちゃん、僕は大好きだよ♡リック君も大好きだけど、メイファちゃんだって大好きなの♡変かな、僕?

 僕ね、将来リック君のお嫁さんになりたいんだけど、メイファちゃんと結婚するのもいいかなって思うの。

 もちろん、この事はメイファちゃんには秘密だよ。だって、恥ずかしいんだもん♪♪

 この気持ちは、胸の内にそっとしまっておくね。






「い・・・イヴさん・・・・声に出して日記を書くのは・・・・やめた方がいいと思います」

「メイファちゃん!?いつから居たの!?」



~終~









5. 教えて、エミリオ先生!




「じゃあこれから、皆が普段疑問に思っている事に答えましょう。それじゃあまずは、このお便りから」



 ペンネーム、チャルコの見習い騎士さん。


「エミリオ先生に質問があります。今回、ヴァスティナ連合軍が戦ったジエーデル国軍の最高指揮官、ドレビン・ルヒテンドルク将軍についてお聞きしたいのですが、どうして将軍は名将と呼ばれているのですか?

今回の戦いでは、連合軍が常に有利な状況で、エミリオ先生の作戦のおかげで名将を倒したと、父から聞かされました。そこで思ったのが、将軍は本当に噂通りの名将なのかと言う疑問です。

名将が相手であったのなら、連合軍はもっと苦戦したのではないのかと思います。

将軍は本当に名将だったのでしょうか?それとも、ただの噂だったのでしょうか?」



「なるほどね。チャルコの見習い騎士君は、将軍が本当に名将だったのか疑問らしい。では、説明してみようか」


 ジエーデル国がまだ独裁国家でなかった頃、ドレビンはまだ若き青年であった。

 青年ドレビンは軍人で、ジエーデル軍の下士官だった。そんな青年ドレビンの初陣は、彼が十八歳の時である。

 国境線での防衛線。相手は隣国の敵対関係国家だ。

 出陣したドレビン所属の中隊は、約二百人の歩兵部隊。それが指揮官のミスで半分の戦力を失い、主な指揮者を全て失ってしまった。部隊は後退できたものの、援軍は現れず、敵部隊は約千人以上。 絶望的な状況下で、生き残った部隊を指揮したのは、勝利の闘志を燃やしていたドレビンであった。

 ドレビンは生き残りの百人を指揮し、徹底的なゲリラ戦術で防衛線を展開した。士気を保ちつつ、地形を生かして効果的な奇襲をかけ、敵軍を苦しめ続けたのである。だが、ドレビンの部隊は少数であり、敵軍との兵力差は十倍であった。

 そのため敵軍指揮官は、被害を恐れず突撃して、ドレビンの部隊を突破しようとした。実際その判断は正しく、簡単に敵軍団は部隊を突破してしまった。しかし、それは罠であった。

 ドレビンはわざと敵軍に突破を許し、部隊を左右に展開させた。展開した部隊は敵軍を挟み撃ちにし、弓による苛烈な攻撃を加えた。慌てた敵軍は突撃を急遽停止し、左右の部隊に戦力を割いた。

 左右に展開した敵軍は、正面への警戒が薄れてしまう。そこへ、隠れていたドレビン率いる少数の部隊が突撃をかけ、敵指揮官の首を目指して突き進んだ。正面からの突撃を想定しておらず、勝ち戦だと思い、前に出ていた敵指揮官を捉え、ドレビンは敵指揮官を剣で突き殺したのである。

 指揮官を討たれた事で、敵軍は混乱して後退し、その後遅れてジエーデル側の援軍が駆け付けた。援軍到着まで、ドレビンとその部隊は防衛線を守り切ったのである。

 その功績を称えられ、ドレビンは勲章を授与される。これ以降、彼は次々と軍功を重ねていき、名将と呼ばれるまでになったのである。


「わかって貰えたかな?これが名将の伝説の始まりだったんだ。彼は私とは比べられないほどの戦いを経験し、戦略と戦術の才を磨いてきたんだよ。私が今回彼に対抗できたのは、本当に運が良かっただけなんだ」


 ちなみにドレビンは、ジエーデル国では英雄の一人として称えられている。

 さらに言うと、大陸内で彼は「絶対に相手にしたくない鬼才の将軍」とまで言われているのだ。


「今日はこれでお終いだよ。また疑問に思う事があったら、いつでも聞いてくれていいからね。お便りを待っているよ」


 ぱちぱちぱち・・・・・・・・・。


(どうして私は、こんな事をやらされているのだろう・・・・・・・)



~終~

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