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第八話 ヴァスティナ連合軍 Ⅳ

 戦場の最前線。

 突撃してきた敵軍団に対し、戦のやり方を無視したと言える、無茶苦茶な殴り込みをかけたリックは、開戦前のライオネスとの会談を思い出していた。

 敗軍の将とは思えない、堂々とした立ち振る舞い。その眼には闘志を燃やし、王国の奪還のために兵を率いる戦士。王国を憎んでいたリックも、彼に対しては敬意を払っていた。

 女王がいる関係上、他国の将に対して、丁寧に対応したという理由もあるが、言葉を交わす事によって、リックはライオネスという男を尊敬した。帝国を恨まず、寧ろ自国に非があったと潔く認め、国家の敵と言える自分に対しても、怒りを表す事がなかったライオネス。

 元は敵国の戦士であるが、今は共に戦える事を誇りに思っている。戦士として尊敬できる人物と、同じ敵を相手に肩を並べるというのは、とても頼もしく感じるのだ。


「ジエーデルは女王陛下の敵だ!いいか、一匹たりとも奴らを生かして返すなよ!!」


 戦場で暴れまわるリック。

 彼の声を聞き、益々士気を向上させていく帝国軍部隊。彼らの猛攻によりジエーデル軍は、徐々に後退を余儀なくされていた。

 帝国軍兵士はよく訓練されているだけあり、実戦慣れしたジエーデル軍兵士と、互角以上に渡り合っている。その士気の高さもまた、彼らの戦闘能力を向上させ、勢いを味方につけて、戦局を有利に進めていた。

 士気の高さと勢いを作り出しているのは、軍団の先頭で戦うリック自身。

 殴り、蹴り、また殴る。素手で戦い続けるだけでなく、敵や死体から奪い取った武器も使い、次々と敵兵を血祭りに上げていく。戦闘では、勝つためにどんなものでも使えと、尊敬する騎士団長メシアに教わっている。

 剣で斬りつけ、槍を投てき。武器は全て戦場で調達し、手当たり次第に敵兵を襲う。ジエーデル軍の兵士たちは、そんなリックの暴れる様に恐怖を感じながらも、前線指揮官の指示に従い、戦闘を継続する。

 指揮命令系統がしっかりと作られているため、突然の襲撃にも、それほどの混乱はない。態勢を立て直し、帝国軍の迎撃のために、前線指揮官の命令が飛ぶ。

 だが、ジエーデル軍は帝国軍の恐ろしさをまだ知らない。弓も魔法攻撃も届かない遠距離から、前線指揮官へと狙いを定める存在に、彼らはまだ気付かないでいた。

 前線指揮官の男が馬上から叫び、兵士たちに、的確な指示を出していた瞬間。それは突然やって来た。

 指揮官の男の眉間に、何かが直撃。眉間に指が入るほどの穴を作り、それは一直線に、後頭部から抜け出る。直撃を受けた男は、何が起こったのか理解できないまま、次第に意識を失っていき落馬。地面に横たわり、もう動く事はない。


(流石天才狙撃手だ。あの距離から頭に一発なんて、そうそう出来るもんじゃない)


 この一部始終を見ていたリックは、後方より敵軍兵士の命を狙う、無慈悲な狙撃手に感嘆する。

 彼女・・・・・・いや彼は、遠距離からスコープを覗き、指揮官と思しき敵兵に、躊躇ない銃撃を加えた。そう、今のは後方からの狙撃である。剣や槍、弓や魔法が主武器のこの戦場で、これほど強力な武器はないだろう。

 何故なら、攻撃の届かない距離から、一方的に死を与える事ができるのだ。狙撃の技術さえあれば、まさにチートと言っても過言ではない。

 前線指揮官を突然失い、混乱するジエーデル軍。しかし、無慈悲な狙撃は、まだ終わりではない。

 指揮官、もしくは隊長と思しき敵兵へ、次々と弾丸が撃ち込まれていく。放たれた弾丸は全弾、狙い撃った頭部へと命中し、敵兵を容赦なく、一方的に殺しまわる。

 ジエーデルの兵士たちからすれば、見えない所からの、謎の攻撃が襲ってきているのだから、異常さと恐怖を感じずにはいられない。指揮系統がやられた事も重なり、次第に混乱を大きくしていった。


「いいぞ、凄くいい!楽しくなってきたぞ、あっはははははは!!」


 狙撃の支援を受けながら、帝国軍は参謀長のリックを筆頭に、敵軍団の中央へと猛攻をかけていった。






「八人♪・・・・九人♪・・・・十人♪・・・・十一人♪・・・・・・・」


 帝国軍後方、高台の上。

 帝国軍一の狙撃手イヴ・ベルトーチカのために、木材で組み立てられた、仮設用高台がある。その上でうつ伏せとなり、銃を構えて狙撃姿勢を取っているイヴは、スコープに映る敵兵を、的確かつ確実に仕留めていた。

 楽しそうに、殺した人数を数えながら、自慢の愛銃で敵の命を奪う。使用しているのは、帝国一の発明家シャランドラが設計し、リックが与えた、ボルトアクション機構の狙撃銃だ。

 この銃には、バイポッドと呼ばれる二脚が取り付けられており、その二脚を立てる事によって、銃の重さによる負担を減らし、長時間の射撃姿勢を可能にしている。弾薬も十分に用意されているため、イヴによる一方的な遠距離攻撃は、当分の間途切れる事はない。敵からしたら、悪夢でしかないだろう。

 不意に、スコープで自らの主である男を見る。彼は楽しそうに笑いながら、狂ったように前線で暴れまわっていた。


(大丈夫かなリック君・・・・・・、いつも無理するから)


 イヴにとってのリックという存在は、自分を必要としてくれて、自分の事を愛してくれる大切な存在だ。

 そんな彼の事をイヴも愛し、彼の力になるのなら、どんな事でもする。人を殺せと言われれば、躊躇なく殺す。狙撃支援を行なえと言われれば、喜んで従う。


「リック君は殺させないよ。ジエーデルなんか、僕がみんな殺しちゃうんだから♪♪」


 彼の身を案じるからこそ、銃を握る手に力が入る。一人たりとも彼を傷つけさせないと、殺る気をさらに漲らせていく。

 リックが傷つけば、悲しむのはイヴだけではない。ユリーシアやメシア、リリカやレイナたち、そして帝国で彼の帰りを待つイヴの親友も、きっと悲しんでしまう。


(僕、頑張るから。無事にリック君と帝国に帰るからね、メイファちゃん)


 ここにはいない、帝国で皆の帰りを待つメイド少女を思い出しながら、スコープに新たな敵を捉え、引き金を引いた。






 リックたちが帝国を出る日。参謀長執務室で、リックとメイファは、二人きりで話をした。


「メイファ、お前は留守番だ」

「嫌です、私も行きます」


 帝国軍参謀長専属メイドのメイファ。これから戦地へと向かうリックは、彼女の身を案じて、留守番しているよう命令した。戦場では危険が多いため、女王を守る事で手一杯な彼は、メイファの身まで守り切れる自信がない。

 よって、留守番していろと何度も命令しているのだが、彼女は頑として命令を聞かず、結局出撃の当日も、こうして話をしているのだ。


「私が行かなければ、誰がご主人様に紅茶を淹れるのですか?」

「紅茶は我慢できる」

「誰が毎朝ご主人様を起こすのですか?」

「・・・・・・自分で起きれる」

「誰がご主人様の変態行為を阻止できるのですか?」

「うっ・・・・・・」


 専属メイドである彼女は、主人であるリックに付いて行く気満々で、身支度を整えて、必要なものを収めた鞄まで用意している。いつもの彼女らしくない。何かに突き動かされているような、らしくない彼女の態度。


「そんなに一緒に行きたいのか?戦場だぞ」

「はい。だって私は、ご主人様の専属メイドなのですから」


 決意を帯びた少女の瞳。

 少女が戦場へと付いて来たがる、理由は何か。


「陛下が戦場に出るからか?」

「!!」

「お前が陛下を避けてるって話は聞いてる。でも何でだ?陛下を避けてるお前が、どうして陛下と共に行こうとする」


 メシア直伝、人間観察読心術。まだまだ修行中であり、彼女の様に、完璧な読唇術を行なえるわけではないが、少女の胸の内にあるものを見抜いて見せた。

 イヴからの話で、メイファの気になる点を聞いていたリック。彼女が女王と宰相に出会わないよう、常に避けているという話を覚えていた。そこから考え、女王陛下の存在が関係あるのではないのかと、何となく思っただけである。

 出会わないようにしている相手に、自ら近付く真似をするというのは、全くもって矛盾している話だ。彼女の目的とは何か。少なくとも帝国にとって、害のあるものではないだろうとは思う。


「陛下の身を心配しているのか?」

「・・・・・・・」

「答えたくないならそれでいい。安心しろ、陛下の護衛にはメシア団長がいる。メイド長だっているんだぞ、陛下の身なら心配いらないさ」

「ご主人様、その言葉はそのままお返します」

「うっ・・・・・・」

「陛下の身を異常に心配なさっているのはご主人様です。メシア団長のおかげで随分とマシになったようですけど、いい加減ウザいのでやめて下さい」


 専属メイドの厳しい言葉に、全く返す言葉がない。

 相も変わらず、いつも通り主人とメイドの立場が逆で、自身のメイドに言われるがままである。それでもリックは、彼女が戦場に行こうとするのを、良しとしない。


「ともかくだ!絶対連れて行かないからな。わかってくれよ、俺はお前を失いたくないんだ」

「私はただのメイドです。別にメイドが一人戦場で死んでも、ご主人様の率いる軍隊に何ら影響は-----」

「待った、それ以上言ったら怒るぞ」


 怒るぞと言いながら、もう怒っている。

 初めてだった。初めてリックはメイファに怒りを見せた。これには彼女も驚き、言葉が出ない。

 リックが怒りを見せた理由は、彼女が自分の命を粗末に扱おうとしているからだ。そして、自分の命を、価値のないものと言ったのもまた、彼の怒りの理由だった。


「ただのメイドであろうと、死んだら悲しいんだよ。だから頼む、留守番していてくれ」


 少女に頭を下げて、従軍しないよう願う。

 頑として聞き入れなかった彼女も、主人の怒りと必死の願いを受け、ようやく諦めたようだ。


「・・・・・・わかりました。ご主人様の命令に従います」

「ふう、やっと諦めてくれたか」

「その代わり、一つだけ願いを聞いてくれませんか?」


 従軍を諦めた彼女は、真剣な眼差しのままリックを見つめる。

 不安を抱える少女は、彼に願いを託す。この男ならば、必ず守り通してくれると。そして、この男自身も、必ず無事で帰ってくると信じて。


「どうか死なないで下さい。私は、ご主人様の無事の帰還を待っていますから」

「わかった。必ずここに戻って来るよ」






(連れて来なくて正解だったな。王国軍や野盗の雑魚なんかとは違う、結構手強い)


 ジエーデル第一侵攻軍との最前線。猛然と突撃していたヴァスティナ帝国軍部隊は、再開された遠距離魔法攻撃によって、その突撃を停止させていた。

 敵軍の魔法攻撃を防ぐため、敵味方入り乱れる乱戦に持ち込もうと、敵軍団へ、一見無謀に見える突撃をかけた、リック率いる帝国軍部隊。

 その作戦は上手く行き、脅威であった魔法攻撃を封じる事が出来たのだが、リックの狙いに気が付いた敵軍は、すぐさま帝国軍から距離を取った。乱戦を避けて、突撃してきた帝国軍から離れたのである。

 そこへ、敵軍後方からの魔法攻撃が、リックたちへと襲いかかった。炎の塊が降り注ぎ、直撃を避けて、回避行動に移る帝国軍兵士たち。リックもまた、炎を避けながら戦闘を継続する。

 敵の魔法兵部隊は後方にいるため、リックたちは、一方的な攻撃に晒されていた。魔法攻撃を止めるには、魔法兵部隊を撃破するしかないが、それには、正面の敵軍団を突破する必要がある。だが、敵兵士はよく訓練されており、イヴの射撃で混乱を引き起こしても、態勢を立て直すのが早い。しかも、帝国軍より兵力が上であるのだから、正面突破は難しい。よって、敵の魔法攻撃を止める手段はない。少なくとも、今はまだ・・・・・・。

 このような激戦に、自分の専属メイドを連れて来なくて良かったと、身を持って思うリック。

 魔法攻撃を上手く回避し、被害を最小限に留めている帝国軍を見て、すぐさま判断し、命令を下す。


「よし、全速後退」

「了解!!全部隊、全速こうた・・・・って、ええええええええっ!?」


 突撃を指示し、自ら先頭に立って暴れまわっていた、前線で戦う狂った参謀長の、まさかの後退指示。

 リックの傍に控えていた帝国軍兵士が、驚きのあまり、開いた口が塞がらない。


「さっ、参謀長!後退で宜しいのですか!?我々はまだ戦えます!!」

「だって魔法攻撃厄介だし。めんどくさいから、シャランドラから何か武器借りに行きたい。というわけで後退、ほら行くぞ」


 部隊の最高指揮官である参謀長の命令であるから、従わないわけにはいかない。今日まで訓練を積み、士気の高かった帝国軍兵士たちは、渋々ながらも後退の指示に従う。

 皆の目には闘志が宿り、まだまだ戦い足りないといった、やる気が見える。だからこその後退なのだ。

 このような緒戦で、戦意ある優秀な兵士たちを、無駄に失うわけにはいかない。戦いはまだまだ続くのだ。

 彼らには、この先に控える決戦に臨んで貰わなければならない。そのためリックは、後退を指示した。口ではこんな事を言っているが、ちゃんと考えがあっての後退なのだ。

 後退に従う兵士たちも、渋々といった表情を見せているが、内心ではリックを信じて動いている。


「後退だ!野郎共、退けえええーーーーっ!!」

「全速後退だぞ!急げえええっ!!」

「ちっ、もの足りないぜ。俺はまだ戦えるんだ」

「何かっこつけてやがる。ぐずぐずするなよこの鈍間!」


 後退を叫ぶ部隊の隊長たち。その指示に従い、急いで後方陣地へと転進する。

 先頭で戦っていたリックが殿となり、部隊の撤退を支援しながら、自身も後退していく。反撃の時は今だと、ジエーデル軍が帝国軍を追撃。後退する帝国軍をジエーデル軍が追う形となり、一見すると、連合軍側が不利なように見える。

 だがしかし、この後退も作戦の内なのだ。リック旗下の部隊が後退した場合は、後退を支援する殿部隊が、敵軍を迎撃する手筈となっている。

 部隊が後退し、指揮官のリックも後方へと退いた。そしてリックは、後方に控えていた最強の盾に、後の事を託す。


「悪いなゴリオン。殿は任せる」

「任せるんだな。オラ、がんばるだよ」


 二メートルを軽く超える身長。体重も軽く百キロを超える。縦も横もとにかく巨大な、鉄壁の男。

 鉄壁剛腕の巨体、殿部隊隊長のゴリオンは、リックたちの後退を支援するため、前に出る。

 ゴリオンの姿を目にした敵兵士たちは、彼の巨体さに恐れを抱く。だからと言って、退くわけにはいかないため、恐れを振り払い前進する。現れた巨体の男を突破し、勝利を得るために。

 しかし彼らはまだ知らない。ゴリオンという男の、規格外の実力を。


「ふんぬううううううううーーーーーっ!!」


 その身に鋼鉄の鎧を纏い、自分よりも巨大な斧を持つゴリオン。斧の柄の末端には、長い鎖が取り付けられている。

 鎖を持ち、気合と共に斧を振りまわす。ゴリオンの常人を超えた力によって、通常の人間には持つ事も出来ない重さの斧が、彼の頭上で振り回され、円を描く。勢いよく風を切る音が聞こえ、その音はだんだん大きくなる。

 振りまわした勢いのまま、雄叫びと共に斧を放つ。鎖を引いて斧を操り、自分を中心にして弧を描くように、斧の刃を敵にぶつけた。

 ゴリオンへと向かっていたジエーデル軍に、巨大な斧が襲いかかる。放たれた斧は鎖に操られ、ジエーデル軍の側面から迫った。常人には真似出来ないまさかの攻撃に、一瞬反応が遅れたのが命取り。多くの兵士たちは、ゴリオンの斧に巻き込まれて、餌食となる。

 斧の刃に体を斬られ、胴体を横に真っ二つにされる兵士たち。咄嗟にその場に伏せた者はよかったが、回避ができなかった者たちは、一撃のもとに絶命した。


「ひっ、何だ今のは!?」

「今ので何人やられたんだ、くそったれ!」

「二十人近く薙ぎ倒されたぞ!冗談だろ!?」


 鎖を引っ張り、斧を回収。再び手元に巨大な斧を戻す、規格外の巨体の男。

 たった一撃で二十人の敵の命を奪い、ここから先へは通すまいと、ジエーデル軍の前に立ち塞がる。ゴリオンの力を知った前線の兵士たちは、一時的に追撃を停止。目の前の障害を取り除くため、接近戦ではなく、飛び道具で攻撃をかけようとする。

 ジエーデルの弓兵部隊が現れ、一斉に矢を放つ。四十も放たれた矢は全て、ゴリオンただ一人へと向かっていった。

 当然ゴリオンは防御の姿勢を取る。斧の先端を地面に突き刺し、それを盾にして、姿勢を落とす。放たれた矢は、盾となった斧と鎧に阻まれ、彼に傷一つ付ける事はない。

 弓が駄目だと分かるや否や、今度は後方の魔法兵部隊に伝令が走る。程なくしてゴリオンへと、炎属性魔法による攻撃が行なわれた。多数の炎の塊が、一斉にゴリオンへと襲いかかったが、彼は防御姿勢のまま、その場を動かない。

 次の瞬間、炎はゴリオンに降り注ぎ、彼とその周囲を激しく燃やす。


「やったぞ!!」

「これだけの炎だ、奴も灰になるだろうぜ」

「よし行くぞ!敵への追撃を再開する。総統万歳!!」


 燃え盛る大きな炎を見て、目の前の敵を倒せた事に、興奮を隠せない兵士たち。皆口々に喜びの声を上げ、中には万歳合唱する者までいる。

 だが、そんな彼らの興奮は、炎の中からゆっくりと現れた人影によって、一瞬にして冷めてしまう。


「うっ・・・・うそだろ・・・・・」


 ジエーデルの兵士の一人が呟く。

 炎に焼かれて、燃え尽きたと思われた巨体は、素肌を少し火傷し、鎧が焼かれた以外は、五体満足現れる。炎属性魔法は、全く効果がなかったのだ。巨体の彼は、魔法などものともせずに、炎の中からゆっくりと、その姿を現す。


「化け物だ!何であれをくらって生きてるんだよ!?」

「おっ、落ち着け!全員落ち着くんだ!!」

「かっ勝てるわけがない・・・・。奴は化け物だ、・・・・・そうに決まってる!」


 最早ゴリオンの存在は、敵軍にとって化け物でしかない。人間のなせる業ではない、常人を超えた鋼の肉体は、まさに鉄壁。たとえ鎧を纏っていなかったとしても、この程度の魔法では、彼の肉体に、傷一つ付ける事も敵わない。

 これが、そうこれこそが、帝国軍の守護神。鉄壁剛腕のゴリオンなのである。


「もう終わりだか?少しあつかっただよ」


 この後ジエーデル軍は絶望する。

 自分たちが命を捨てて向かっても、圧倒的な力に対しては、無力であると知るからだ。


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