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第八話 ヴァスティナ連合軍 Ⅲ

 出撃前は色々あった。色々ありはしたが、これから始まる戦いに問題はない。

 帝国軍の精鋭部隊。軍師の作戦。銃火器と爆薬。全て揃っている。しかし、勝利のための戦力は十分とは言えない。それでも、この戦地に集まった兵士たちの士気は旺盛だ。


「指揮はエミリオに任せる。全員、エミリオの指揮は絶対だ。わかっているな?」

「「「・・・・・・・」」」

「あまり、納得出来ていないみたいだね」


 陣地を構築し、部隊を進軍させようとしている、ヴァスティナ連合軍。

 先行して敵軍の偵察に出たロベルトの部隊から、急ぎの伝令があった。ジエーデル軍が侵攻を開始し、国境線を超えたという報告だ。

 ロベルトの指揮する元傭兵部隊は、偵察と潜入を得意とする部隊である。故に索敵能力が高く、偵察には最適の部隊なのだ。軍師エミリオの命令で、ジエーデル軍の動きを偵察していたロベルトの部隊、通称馬の骨部隊は、見事に仕事を果たした。

 部隊名が必要だったため、急遽「馬の骨」などと言う名前を付けられたのだが、名付けたのは勿論リックである。不名誉な名前の理由は、「ロベルトに幸せな時間を邪魔されたから」という、私情全開な理由だ。部隊員全員が不満を述べたのは、言うまでもない。

 それはともかく、報告を受けた連合軍は、すぐさま行動を起こした。当初の作戦計画に基づき、部隊を三つに分ける。報告によると、エミリオの予想通り敵軍は部隊を三つに分け、それぞれ進軍を開始したという。

 三つの敵軍団を迎撃するため、同じように三つに分けられた連合軍。

 へスカル国を目指す敵の第一侵攻軍に対しては、連合軍本隊が当たる事になる。連合軍本隊の戦力は、リックが指揮し、ゴリオンとイヴを加えた帝国軍部隊と、メシアの指揮する帝国騎士団に、へスカル国騎士団、王国軍残党を加えた編成だ。兵力約二千で、五千のジエーデル第一侵攻軍と対峙する。

 ネルス国を攻める第二侵攻軍に対して当たるのは、レイナを隊長にした兵力約千人の部隊だ。その編成は、ヘルベルト率いる鉄血部隊と帝国軍、チャルコとネルスの両騎士団となる。

 最後に、ハーロン国を攻める第三侵攻軍を迎え撃つのは、クリスが指揮する兵力約千人の部隊だ。その編成は、合流予定のロベルト指揮の馬の骨部隊と帝国軍に、ハーロンとケルディウスにビオーレを加えた連合騎士団である。

 これより連合軍全軍は、この編成で部隊を分けて、作戦を開始する。

 全軍の指揮を執るのは、作戦を考えた軍師エミリオ。参謀長であるリックが指揮を委ね、幹部全員に、彼の指揮に従うよう命令したのだが、レイナたちはそれが少々不満らしい。リックに忠誠を誓い、彼の命令には従う彼女たちにとっては、エミリオの命令に従う事が、主人に対する、裏切りのように思えて嫌なのだ。

 嫌がっているのは、レイナとクリスとイヴである。


「リック様の命令ならば何であろうと遂行します。しかし・・・・・・」

「俺も槍女と同じだぜ。俺はリックの命令以外聞く気はねぇ」

「僕も僕も。リック君の命令なら、あんな事やこんな事も聞いちゃうよ♪♪」

「マジかイヴ!?よしわかった、それなら-----」

「少し黙っていてくれないかい?お願いだから」


 こんな所でも相変わらずのリックに、普段冷静沈着なエミリオも、流石に怒っている。彼の静かな怒りを察し、これ以上怒らせないよう抑えた。


「それにしてもよう、エミリオの予想通り事が運んでるぞ。予想通り過ぎて怖いくらいだ」

「うちも思ったで。まるで、未来でも見て来たような予知やもん」

「ふふ、当然さ。この男の陰の活躍を知らない者は無理もないが、エミリオは軍師になってすぐに、自分の諜報部隊を作ったんだよ。皆が表で活躍している間に、ずっと大陸全土の情報を集めていたのさ」

「あなたも同じように、情報を集めていたではないですか。陰で活躍していたのは、リリカさんも同じです」


 首をかしげるレイナたち。情報収集をしているのは知っていたが、軍師になってすぐとは知らなかった。

 リリカが帝国に来て以来、彼女が旅の商人などを中心に、独自の情報網を作り、様々な情報を収集していたのは、エミリオも含めて誰もが知っている。だが、エミリオが創設した諜報部隊があるという話は、初耳であった。

 その諜報部隊の活躍があったお陰で、エミリオの作戦計画は完璧なのである。だからリリカは、軍師である彼の予想的中が、当然の事だと知っていた。


「お前たち・・・・・・、まさか知らなかったのか?」

「言ってなかったからね。仕方がない」

「いいのかエミリオ、お前の集めた情報を基に考えられた作戦だぞ?皆お前の陰の活躍を知らなかったんだぞ?怒っていいと思う」

「ふふ、皆エミリオの事を、書類整理担当位にしか考えていなかったようだね」

「いっ、いえ、リリカ様!決してそのような事は・・・・・・!」

「そっ、そうだぜ!書類整理専門の軍師かも、何て考えた事もねぇぞ!」


 慌てて首を振って否定する、レイナとクリス。この二人は、本当にわかりやすい。


「よーし、お前たち全員目を瞑れ」

「「「?」」」

「エミリオも瞑ってくれ。今から俺は質問する。怒らないから、正直に俺の質問に答えて、俺とリリカだけに教えろ。いいな?これは参謀長命令だぞ」


 小学校でありそうな犯人探しを、この場でリックはやるつもりなのだ。

  参謀長命令とあっては、従わないわけにはいかず、リックとリリカ以外のこの場にいる、レイナ、クリス、ヘルベルト、シャランドラ、ゴリオン、イヴ、そしてエミリオが目を瞑った。


「目を瞑ったな?じゃあ質問する。この中でエミリオの事を、書類整理しか出来なさそうな眼鏡軍師だと思っていた奴、黙って挙手」


 スッ・・・・・・・。


「うんうん、よくわかった。もう目を開けていいぞ」


 一同、一斉に瞼を開く。


「いいかエミリオ。レイナとクリスとヘルベルトとシャランドラとイヴは、お前の事を書類整理担当軍師だと思っていたみたいだ」

「「「「「っ!!!??」」」」」


 普通に暴露。こうなる事は、少し考えればわかったというのに・・・・・・。


「そこはばらさへんやろ!何で言ってまうんや!?」

「えっ?だって俺、本人に教えないなんて一言も言ってないし」

「くそっ!やられたぜ、隊長はこれだから!」

「ちょっと待て!ゴリオンが呼ばれてねぇぞ!!」

「オラは、ずっとエミリオを尊敬してたんだな。そんな風に思ったことは、一度もないだよ」

「うわーん!ゴリオン君に裏切られたーーーー!!」


 作戦前だというのに、この余裕の茶番劇。

 これが、現ヴァスティナ帝国軍の戦闘スタイルなのだ。


「さあ、茶番はここまでにしよう。各部隊は作戦行動に移って欲しい。レイナ、クリス、両翼は任せるよ」


 渋々ではあるものの、了承した二人。

 今は全軍一枚岩となって、敵と戦わなければならない。少しでも綻びがあれば、それは全軍の指揮に影響が出てしまう。連合軍とは言っても、敵軍の方が戦力的には勝り、決して余裕がある戦いではない。

 勝利のためには、僅かな問題も許されないのだ。今のレイナたちのように、軍師の命令に従いたくないという気持ちは、後に綻びを生む原因になりかねない。渋々であろうとも、了承して貰わなければ困る。


「これで何も心配はないね。始めようかリック、舞台の開演だ」

「そうだな。ジエーデルに教えてやろう、帝国に喧嘩売るっていう事の愚かさをな」


 ヴァスティナ連合軍四千対ジエーデル国軍一万五千。

 両軍は進軍を開始した。






 最初に戦闘が開始されたのは、連合軍本隊と第一侵攻軍の戦いである。

 侵攻してくる敵の戦力は約五千。対して連合軍の戦力は約二千。戦力差は三千人だが、連合軍本隊には帝国の精鋭が集まっている。そう簡単に負ける事はない。無論、敵軍もまた、精鋭部隊が集中してはいるのだが。


「進めえええええっ!!敵は我らの国を蹂躙した憎むべき国家だ!皆の者、突撃せよ!!」

「「「「「うおおおおおおおおーーーーーーっ!!」」」」」


 雄叫びを上げて突撃を敢行しているのは、オーデル王国残党軍である。現在は、ヴァスティナ連合軍の一角を担い、憎むべき敵国の軍相手に、殺意を剥き出しにして戦っている。

 残党軍は最前線で戦闘中であり、その士気の高さによって、敵軍に対し有利に戦局を進めていた。


「敵の陣形を崩す!第三部隊は左翼に展開せよ!」


 残党軍の指揮を執っているのは、オーデル王国軍王都守備隊隊長であった、ライオネスという男だ。

 王国にジエーデル軍が侵攻した際は、守備隊の戦力を率いて善戦したものの、勢いのあった敵軍に敗走し、再起を図って、生き残りと共に王国を脱出した。その後は、ヴァスティナ連合軍と連絡を取り、共通の敵であるジエーデルと戦うため合流したのである。

 彼らは戦闘開始前に、帝国軍参謀長と会談し、仇敵を倒すため、彼の指揮下に入る事を決意した。


「隊長!!」

「っ!!」


 一人の兵士の悲鳴に似た叫び。気が付くと、残党軍目掛け放物線を描いて飛来する、多数の炎の塊が見えた。空から飛来した炎の塊は、最前線で戦う残党軍に襲いかかる。

 炎が直撃し、生きたまま焼かれる兵士たち。この炎は敵軍による攻撃である。ジエーデル軍の魔法兵部隊による、炎属性魔法の攻撃だ。


「怯むな!ここで下がれば敵に反撃を許すぞ!!」

「しかし隊長、このままでは!」


 剣や槍を使い、前線で敵兵を討ち取っていた残党軍は、突然の魔法攻撃に襲われ混乱している。

 その混乱をついて、先程まで苦戦を強いられていた敵軍は反撃に移り、残党軍前衛を襲う。敵の反撃により、次々と仲間が討ち取られ、陣形が崩されていく残党軍。魔法攻撃による混乱で、指揮系統に乱れが生じてしまっているため、満足な対応が取れない。


(まずい、これでは敵に中央突破されてしまう・・・・!)


 ライオネスの予想通り、敵は戦力を中央に集結させて突破を図ろうとしている。このままでは、残党軍中央が食い破られ、敵軍が後方陣地になだれ込もうとするはずだ。

 だが、敵軍の魔法兵部隊の存在がある以上、こちらが態勢を整え反撃に移った瞬間、再び炎属性魔法が襲いかかるだろう。敵軍後方から、強力な遠距離攻撃をかける魔法兵部隊がいる限り、指揮を執るライオネスは、有効な手段を取れない。

 流れがジエーデルに傾き、ライオネスが手を拱いていた、まさにその時だった。

 彼の後ろから、救世主たちが現れる。


「くたばれええええええーーーーーーっ!!」


 雄叫びと共に、物凄い勢いで現れ、突撃してきた敵軍先頭兵士に対し、素手で殴りかかる一人の男。

 顔面を殴られた敵兵士は、凄まじい衝撃と共に吹き飛び、後ろにいた他の兵士たちに激突して、巻き込んでいく。敵軍の屈強な体の男性兵士が、突然現れた男に顔面を思いっきり殴られ、三十メートル以上殴り飛ばされた。

 信じられない光景である。どう見ても尋常ではない。しかも、殴られた兵士の顔面は、ものの見事に崩壊している。言葉にする事が出来ないほどの、酷い状態だ。無論、この兵士はもう死んでいる。


「突撃だっ!!俺の後に付いて来い!」


 男の後方から、帝国軍の部隊が突撃を開始する。そして、軍団の先頭に立ち、敵軍に第一撃を加えたこの男は、敵軍団を突き崩そうと、さらに突撃。目についた敵兵に、次々と襲いかかっていく。

 男を討ち取ろうとした敵兵士たちを、殴り飛ばし、蹴り飛ばし、投げ飛ばす。さらに、両の腰に差していた剣を抜き放ち、力任せに敵を剣で切り殺していった。あまりにも乱暴に剣を振りまわしていたため、二本の剣はすぐに刃こぼれを起こし、合わせて二十の敵兵士を切り殺したところで、完全に鈍らと化してしまう。

 すると男は、使い物にならなくなった剣を速攻で捨て去り、再び素手で敵軍団前衛に突撃し、戦場を混乱させていく。男の後に続き、帝国軍兵士たちが敵へと突っ込み、戦況は再び連合軍有利へと傾いた。


「この機を逃すな!我らも反撃に移るぞ!」


 ライオネスの号令で、突撃を再開した残党軍。

 味方として現れた男の活躍により、魔法攻撃への恐れを振り切って、声を張り上げ前進する。


「あれが・・・・、ヴァスティナの狂犬か・・・・」


 彼も含め、この戦場の多くの者が目にした、暴れ狂う男の戦う姿。

 男は戦場へと殴り込み、狂ったような笑い声を上げ、暴れまわる。その姿は、噂に聞いていた異名も納得のものであった。

 狂犬。そう呼ばれたこの男は、ヴァスティナ帝国軍参謀長リクトビア・フローレンス。

 参謀長でありながら、最前線で猛威を振るうこの男に、ライオネスが出会ったのは、戦闘が開始される少し前の事である。






 王国残党軍を率いるライオネスが、帝国軍を率いるリックに対面したのは、当初の予定通り連合軍に合流した、直後であった。


「あなたが、王都守備隊のライオネス隊長ですか。初めまして、私が参謀長のリクトビア・フローレンスです」


 ライオネスが第一に抱いた印象は、「若い」の一言である。このような若い男が、本当に帝国軍全軍を指揮する参謀長なのかと、彼もその部下たちも、最初は疑ってしまった。


「オーデル王国軍王都守備隊所属のライオネスだ。と言っても、王国が滅亡した今、この肩書きは意味を持たん。今の私は、行き場を失った者たちを束ねる、一人の戦士に過ぎない」

「そうですか。ではライオネス殿、一つ確認したい事があります」

「何だ?大体予想はつくがな」

「恐らく、あなたの予想通りの確認ですよ。私はあなた方の国が滅ぶ原因となった男です。そんな男と共に、あなた方は本当に戦えますか?」


 あの時ライオネスは、王都防衛の任に就いていたため、帝国や彼と直接戦ってはいない。

 しかし、自分たちの祖国がジエーデル軍に蹂躙されたのは、ヴァスティナ帝国との戦争で敗北したためだ。

 オーデル王が王政の立て直しを図るために、帝国への侵攻を開始した業火戦争。その戦いで息子を亡くし、復讐に燃える王が再び侵攻した、二度目の戦争。この二度目の侵攻の際、王国軍は総指揮官であったオーデル王を失った。これにより国内は乱れ、その混乱が、ジエーデル軍の侵攻を許してしまった。

 ライオネスたち残党軍は知っている。目の前にいる帝国の参謀長こそ、自分たちの国の、王子と王を殺した男であると。祖国の仇敵と呼べる存在なのだと、よく知っている。

 リックが懸念している事は、ライオネスたちが仇敵と呼べる存在と肩を並べ、何の問題もなく戦う事が出来るのか否か。その事を確認しているのだ。


「噂は事実だったか。フローレンス参謀長殿が、我が国の王族二人を殺したのだな」

「知っていましたか。どうします?私こそあなた方の真の敵と呼べます。私を殺しますか?」


 冗談を言っているように見えるが、彼の眼は本気だった。

 もしもライオネスが、この場で剣を抜き殺意を向けてくるのであれば、全力で相手をするつもりなのだ。


「殺す必要などないだろう。王国の滅亡は、言ってしまえば自業自得だ」


 オーデル王国の政治の乱れが、滅亡のそもそもの原因である。ライオネスをはじめ、王政維持のための帝国侵攻に反対した者は、当時少なくなかった。

 自国の腐敗からきた、国民の非難の眼。その眼を逸らすために、帝国を侵略するというのは、ライオネスから言わせれば、まさに悪行だった。

 悪行の結果が、国の滅亡を招いたのだから、自業自得であると彼は言う。


「我らは元々、帝国が憎かったわけではない。亡き国王陛下の浅はかな考えによって、そちらとの戦争になった。憎むべくは貴殿ではなく、国を腐敗させた我が国の文官たちだ」

「だから問題はないと?共にジエーデルと戦えるという事ですか?」

「少なくとも私はそうだ。あの国によって我らの祖国は失われてしまった。ならば取り戻さなければならない。貴殿が私の立場であったとしても、同じ事を考えるのではないか?」

「確かにその通りですね。はは、これはいい」


 ジエーデル国は共通の敵である。帝国にとっては、国家を脅かす存在であり、王国にとっては、国家を滅亡させた存在だ。今彼らは、その強大な共通の敵を目の前にしている。

 ならば、お互いの目的のためにも、ここは手を組むのが上策だ。幸いにも帝国女王は、この同盟関係に反対する事も、条件を提示する事もなかった。二度も自国を攻められたのだから、恨みを持つのは当然だというのに、彼女はそうしなかった。

 ライオネス自身は、それがずっと気がかりであった。もしも、帝国女王が王国残党を見捨てると言えば、自分たちは再起を図る機会を失う。そればかりか、追撃してくる敵軍に、今度こそ討ち滅ぼされただろう。

 「噂通り、心優しい女神のような善人なのかもしれん」と、内心ではそう考えていた。


「でもまさか、オーデル王国の兵士と共に戦う日が来るなんて。時が来たら、帝国に侵攻したお礼参りに、徹底的に蹂躙してやろうと思っていたんですよ」


 その言葉を聞き、ライオネスとその部下たちは、目の前にいる帝国参謀長に戦慄した。

 帝国女王はそうでないかも知れないが、この男は、王国を異常に憎んでいる。これは冗談などではない。本気でこの男は、いつの日か、王国を滅亡させようとしていたのだと知った。

 王国の生き残りがいるこの場で、胸に秘めた正直な思いを話す。とんでもない奴だと、誰もが思った。


「リック、そういう事はこの場で言うものではないよ」

「大丈夫さ。ライオネス殿も正直な気持ちを話したんだ。ならこっちも、正直な気持ちを話さないといけないだろ」


 参謀長の傍に控えていた、長髪で眼鏡をかけた男。彼の言う事は尤もである。

 別に話す必要はないのだ。ライオネスが正直に話したのは、帝国から信用を得るためである。だが、参謀長の正直な話は、お互いの関係を崩壊させかねない発言だ。


「あなたの様に、立派な戦士と戦えるなんて光栄です。一緒に、ジエーデルの奴らを完膚なきまでに叩き潰してやりましょう」


 そう言って、彼は右手をライオネスに差し出した。

 お互いに手を取り、握手を交わす。こうして、帝国と王国の同盟はなった。


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