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第四十七話 その花の名は Ⅵ

「御気分は如何ですか?」

「うん⋯⋯⋯、だいぶ良くなりました。薬が効いてきたみたいです」


 薄暗い寝室にランプで明かりを灯し、リックは寝室の椅子に腰かけていた。背もたれに背中を預けて楽にし、傍で彼を介抱しているリンドウからグラスを受け取ると、中に注がれている水を飲む。

 リンドウと共に自身の寝室に入ったリックは、すぐに部屋にあった薬を彼女に飲まされ、回復するまで見守られていた。顔色が少し良くなり、熱も引いてきた彼の様子に安堵したリンドウは、水を飲み終えたリックから空のグラスを受け取る。彼の傍を離れ、家具の上の元あった位置にグラスを片付けながら、一先ず安心した様子の彼女が安堵の息を吐く。

 

「ありがとう御座います。リンドウさんが居てくれて助かりました」

「⋯⋯⋯今後も御無理は禁物です。また具合が悪くなれば、いつでも構いませんのですぐ私に教えて下さい」

 

 自分を気遣ってるくれる彼女の言葉が、今のリックには純粋に嬉しかった。普段具合が悪くなった時は、誰にも悟られないように皆のもとを離れ、薬を飲んで一人苦しさと戦いながら、必死に体調を戻そうと休むようにしている。

 時々ヴィヴィアンヌなどにそれがバレてしまう事もあるが、薬物の後遺症に苦しむ時は一人でいるようにしている。今の自分の体の事で、これ以上誰にも心配をかけたくないからだ。

 それでも、一人孤独に苦痛に耐えるより、やはり誰かが傍にいてくれるのは嬉しい。傍にいて介抱してくれるだけで、体を蝕む苦痛が和らぐ。今日はリンドウがいてくれたお陰で、一人で耐えるばかりの苦痛から救われたからこそ、嬉しくて仕方がなかったのである。

 

 しかし、そんなリックの嬉しさと感謝の気持ちに、リンドウは片付けを続けながら、彼に背を向けているばかりだった。するとリックは、昼間の彼女の様子を思い出し、反省した様子で俯きながら、頭の中で彼女にかける言葉を探す。

 

「⋯⋯⋯⋯やっぱり、怒ってますよね。また無茶したり、大怪我したりして、本当にすみません」


 悩んだ末に出た言葉は、自分がいつも皆に言ってしまう言葉ばかりだった。それしか出てこなかったのである。納得させる言い訳や上手い謝罪の言葉は、リックの苦手とするものだった。

 今回もまた、一人で勝手に飛び出していって、一歩間違えば死ぬ戦いをやってしまった。そのお陰で大切な仲間を守る事が出来たが、いつもの通り自分を犠牲にしたのである。今回は腕を負傷する程度で済んだが、とても喜ばれるような事ではない。


 今も尚、リックを苦しめる薬物の後遺症は、アーレンツの戦いから生還できたからこそ、これで済んだ結果である。彼が生還できたのは、目の前で自分を介抱してくれたリンドウが、危険を顧みず単身敵地に乗り込んで、地獄から救い出してくれたからだ。

 それなのに、救われた当の本人が、再び命を粗末にするような戦いをすれば、誰だって怒って当然だ。特にリンドウなら、激怒しても不思議ではない。今ここで怒鳴りつけられ、怒りに任せて殴られようと、リックは許して貰えるまで謝り続ける覚悟だ。


「⋯⋯⋯今夜はもうお休み下さい。明日も体調が優れない様であれば、私がお世話致します」


 リンドウは背を向けたまま、片付けを終えて寝室を後にしようとする。扉に彼女が手をかけた瞬間、慌てて椅子から立ち上がったリックが、背を向ける彼女に言葉をかける。


「リンドウさん⋯⋯⋯!」

「⋯⋯⋯何でしょうか?」

「その⋯⋯⋯⋯、今日は本当に助かりました。それから⋯⋯⋯⋯」


 変わらず彼女は振り返らない。少し恥ずかしそうに頬を赤くして、一瞬言葉にしようか迷ったリックだったが、勇気を出して彼女の背に向かって言葉を続けた。


「帰ってきてすぐ、リンドウさんの顔が見れて嬉しかったです。変わりなさそうで安心しました」


 最後まで言い終えたリックは、恥ずかしさに負けて彼女に背を向ける。感謝の想いを伝えたかっただけなのに、これではまるで愛の告白か何かだと思い、もう少し上手い言い方がなかったのかと一人反省した。

 リックにとってリンドウは、女王を守る帝国のメイドの一人というだけではない。過去の因縁がある故郷から、命懸けで自分を救ってくれた、大切な命の恩人なのである。帝国メイドの誰よりも、リックにとっては特別な女性なのだ。

 助け出してくれた彼女は、ぼろぼろだった自分の姿を見て涙し、救出が遅れてしまったのを酷く後悔した。今でもあの時の事を思い出し、一人後悔に苦しんでいる程である。それを知っているリックは、一生かかっても返しきれない恩義を感じている。

 

 そんな、大切な女性であるリンドウの事を、リックは一日足りとも忘れた事はない。だからこそ、久しぶりになる彼女との再会は、彼にとって特別な意味を持つものであり、変わらない彼女の姿は、再会の喜びと安心感を与えてくれるものなのだ。

 城に帰還して再会し、あの時喜びで思わず微笑んだリックは、実は彼女に話したい事が沢山あった。だが話さなかったのは、いざ再会した瞬間、嬉しさのあまり言葉が出てこなくなったからだ。

 そしてようやく、勇気を出したリックは、再会を果たしたリンドウに想いを伝える事が出来たのである。


「⋯⋯⋯⋯お休みなさいませ、リック様」


 互いに背を向けたまま、寝室の扉を開いて出ていこうとするリンドウ。やはりまだ怒っているのだなと、肩を落としたリックが深く息を吐いた。

 やがて、開かれた扉が静かに締まって音を立てる。出て行った彼女の事を思い、明日どうやって謝ろうかと思案しながら、言われた通り今日は休もうと考えていた、その時だった。


「リック様⋯⋯⋯!」

「!?」


 扉は確かに締まった。だが、部屋を出て行ったはずの彼女は、彼の背に抱き付いて、泣きそうな声で大切な彼の名を叫ぶ。

 二度と離さないと、彼の胸へとまわされた彼女の両腕。背中に押し付けられた彼女の胸から、柔らかな感触と温もりを感じる。彼の背に抱き付いた彼女は、震える唇で自分の想いを告げ始める。


「私だって⋯⋯⋯! 貴方のお顔を見れて、本当に嬉しかった⋯⋯⋯⋯!」

「⋯⋯⋯⋯!」

「だって⋯⋯⋯、また貴方は、大切な人達のために命を粗末にしようとしてしまう⋯⋯⋯! 怪我をしたって聞かされて、私がどんな思いで貴方の帰りを待っていたか⋯⋯⋯!」 

「⋯⋯⋯⋯」


 溢れ出る想いの込められた彼女の言葉が、突然の事に驚くリックの胸に突き刺さる。彼女の言った通り、今回の命を懸けた無茶もまた、大切な者達を守るためのものだった。それを理解してくれているからこそ、今の彼女の言葉は胸が痛む。

 だから何も言えなくなって、背を向けたままリックは黙ってしまう。そんな彼に構う事なく、溢れ出る感情を抑える事が出来ぬまま、彼女は自らの想いを吐き出し続ける。


「どうして貴方は、そんなにも自分を傷付けてまで、誰かを守ろうとしてしまうのですか⋯⋯⋯。ユリーシア陛下も、ヴィヴィアンヌ様も、アンジェリカ陛下のことも⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯それはみんなが、俺にとって命よりも大切な人達だからです」

「だからって、貴方一人が傷付く必要なんてない! 一人で苦しむ必要もない! それなのに貴方は、どれだけ憎まれようと、ユリーシア陛下の仇と思われようと、アンジェリカ陛下のために戦っている⋯⋯⋯⋯!」


 彼女にとってもかけがえのない存在であり、生きる意味であったユリーシア。自分に新たな生き方を与えてくれた最愛の少女に向けた忠誠を、今はアンジェリカへと向けている。ユリーシアと同じように、アンジェリカもまた彼女にとっては愛する主君であり、亡き主君から託された存在だ。

 そしてリックは、彼女にとっても最愛のユリーシアとアンジェリカを守る、傷だらけの英雄である。彼女にとってリックは、自分と同じように愛する少女達を守り、救おうとしてくれている存在。故に彼女は、この男を主君の忠臣としてだけでなく、同じ志を持った特別な存在だと思っている。

 だからこそ、リックとアンジェリカの間にある、深い悲しみと憎しみの傷跡を、見てはいられなくなる。今日だって、再会した二人の姿が痛々しくて、見ている自分自身が胸を切り裂かれてしまう思いだった。


「お願いですから、これ以上自分を傷付けないで⋯⋯⋯⋯」


 リックの背中に身を預け、悲しみに堪えられなかった彼女が涙を流す。泣いている彼女の心を背中で受け止めて、自身の愚かさを痛感したリックが、彼女の抱擁を優しく解いていきながら振り返る。

 振り返ったリックの瞳に映るのは、感情のまま瞳から熱い涙を流す、強く優しい特別な女性の姿。自分よりも歳上な筈の彼女は、恥じらうことなく溢れんばかりの涙を流し続ける。その涙をリックは指で拭い、今度は彼の方からゆっくり抱きしめた。


「これは全部、ユリーシアを救えなかった俺の贖罪なんだ⋯⋯⋯⋯。だからもう泣かないで。悲しむのは俺一人だけでいい」

「⋯⋯⋯⋯なら私は、貴方の悲しみに寄り添いたい」


 その美しい花には、正義や誠実という花言葉が存在する。ただこの花にはもう一つ、愛情の込められた花言葉がある。

 それは、「悲しむ貴方を愛する」という花言葉。

 この言葉を持つその花の名は、リンドウ。


 リックを想って流す涙を浮かべ、リンドウは彼と唇を重ねた。唇から伝わる彼女の柔らかな感触と熱が、悲しみと絶望に傷付いたリックの心に届き、優しく温かなぬくもりを与えてくれる。

 心が満たされていくような感覚を得ながら、二人はゆっくりと互いの唇を離した。お互いの呼吸が聞こえる近さで、二人は熱い吐息を漏らす。


「⋯⋯⋯貴方が誰を愛そうと、誰を抱こうと、誰と結ばれようと構わない。だって私は、貴方を愛してしまったのだから」

「リンドウさん⋯⋯⋯」

「今まで、こんなにも男の人を好きになったことなんてない。この想いは、隠しきれません」


 抑えきれない感情にその身を任せ、愛する男の首に腕をまわしたリンドウが、再び彼の唇を奪う。重ねられた唇を拒まないリックは、彼女が求めるまま唇を触れ合わせ、互いの柔らかな舌を絡める。抱き合った二人は、求め合うまま舌と唇を重ね続け、互いの熱を感じ合った。

 二十を数えるくらいまで接吻を続け、やっと二人は舌と唇を解放する。呼吸を忘れてお互いを求め合った二人は、息を切らして頬を朱に染めていた。

 それが堪らなく色っぽく、我慢できなくなったリックの方から、今度は彼女の唇を求め奪う。驚いて目を見開いたリンドウだったが、愛おしい彼の温もりには抗えず、気持ち良さそうに目を細め、その身を委ねていった。再び長い口付けが行なわれ、お互いの息が続かなくなって唇を離すと、益々蕩けて色気を増したリンドウの顔があった。


「⋯⋯⋯お上手なんですね」

「えっ⋯⋯⋯?」

「口付けです。舌使い、気持ち良いからずっとしていたい⋯⋯⋯⋯」

「気に入って貰えたなら、お望み通りに⋯⋯⋯⋯」


 体を抱き寄せ合い、四度目の口付けを始めた二人。今度はより濃厚で、獣の様に激しく。 

 

「リック様⋯⋯、私は⋯⋯⋯⋯!」

「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯⋯⋯はぁ⋯⋯⋯⋯。リンドウさん⋯⋯⋯!」

「私の、ことは⋯⋯⋯⋯リンドウと⋯⋯⋯⋯⋯⋯。いえ、リンと⋯⋯⋯呼んで下さい⋯⋯⋯⋯⋯!」


 彼女をリンと呼べるのは、彼女が愛するメイド部隊の仲間達と、深い絆が結ばれているラフレシアだけだ。それを許すと言う事は、この男に全てを捧ぐ事を意味している。

   

「本当に、良いんですか⋯⋯⋯。俺はもう誰かを愛し―――」

「それでもいい⋯⋯⋯! 貴方が愛してくれなくても構いません! 私が愛したユリーシア陛下を愛し、彼女を救おうとしてくれた貴方の悲しみに寄り添えるなら、それで⋯⋯⋯⋯!」

「⋯⋯⋯⋯わかりました」


 変わらず瞳には涙を浮かべ、頬は朱に染まり切り、物欲しそうな蕩けた顔をしたリンドウを抱いたまま、リックは寝室のベッドに彼女を連れて行く。ベッドの上に彼女を押し倒すと、リックは微笑してリンドウを見つめ、優しく花を愛でる様に彼女の頬に触れた。

 荒い呼吸で興奮し切った互いの顔を見合い、少し恥ずかしくなったリンドウが顔を背ける。羞恥を覚えている彼女の耳元に、ゆっくりと唇を近付けたリックは、悪戯な笑みを浮かべて囁くのだった。


「お前が欲しい、リン」


 囁かれた言葉に反応し、羞恥を忘れて振り向こうとしたリンドウの唇を奪い、彼女が身に纏うメイド服へとリックは手をかける。

 肉欲のままにリックは彼女の体を求め、リンドウはそんな彼の手を拒まず、自らも彼の体へと触れていく。感情を抑え切れなくなり、今この瞬間だけは何もかもを忘れ、恋人の様に愛し合う。


「愛してるよ、リン」

「ふふっ⋯⋯⋯。愛してるだなんて、酷い人⋯⋯⋯⋯」

「忘れたのか? 俺が下衆だってこと」


 この世で彼が愛した、最愛の女性へ抱いたのと同じ愛を、自分が与えられる事はない。自分を喜ばせ、安心させようとする彼の言葉は、すぐに嘘だと分かってしまう。

 でもそれが嘘だろうと、初めて自分が愛した男からの愛の言葉に、心が動かないはずもなかった。今度は嬉しさで瞳から涙が溢れ出て、涙で顔をくしゃくしゃにしてしまう。自分が今どんな顔をしているのか、彼女にはもう分からなかった。

 きっと不細工な顔になってるのだろうと思い、リンドウは両手で顔を隠そうとする。だがリックはそれを許さず、彼女の両手を捕まえて押さえ付け、泣きよがる彼女の顔を微笑みを浮かべながら見つめた。


「隠したら、リンの可愛い顔が見られないだろ?」

「意地悪⋯⋯⋯」

「俺以外見てないんだから、そんなに恥ずかしがるな。今のリン、すっごく魅力的なんだからさ」

「そんな風に言われたら、もっと貴方が愛しくなる⋯⋯⋯⋯」


 せめて今夜だけは、愛するこの男の女でありたい。

 切なる願いを胸に、リックの腕に抱かれたリンドウは、抗えない快楽の海へと一緒に落ちていくのだった。 










 寝室で二人が互いを求め合い、体を重ねて抱き合う最中、扉の外から立ち去っていく人影があった。

 扉の前には、薬の入った木箱が落とされている。それの落とし主は、部屋の中から微かに漏れる声から逃げるように、無言でその場を立ち去って行った。

 その事に、お互いに夢中な寝室内の二人が気付く事はなかった。










「こんなところで何をしている、同志」


 大勢が宴で食堂に集まっている中、夜の城内を俯きながら歩くレイナを見つけたのは、まだ宴に顔を出していなかったヴィヴィアンヌであった。

 諜報員が集めた情報を整理し、今後の計画を一人で考えている内に、参加がすっかり遅れてしまったのである。ようやく区切りを付けて自室を出たその時、ヴィヴィアンヌは生気を失ったレイナを見つけたのだ。


 何かがあったのは間違いない。戦場では一騎当千の力を持つ強き軍神だが、戦場以外では心の弱さに悩む、歳相応の少女だ。心に大きなショック受けたがために、彼女の心が深い闇の底に沈んでしまっていると、ヴィヴィアンヌには手に取るように分かってしまう。

 レイナがここまで気を落とすとなれば、原因は察しが付く。彼女の支えになりたいと、力になりたいと願っているヴィヴィアンヌは、生気を失っているレイナへと慎重に言葉をかける。


「⋯⋯⋯⋯閣下と、何かあったのか」

「⋯⋯⋯⋯っ!」


 思い出したくない記憶が蘇り、心を引き裂かれる思いなのだろう。拳を握り締め、唇を嚙んで、苦渋に堪えようとしているが、気持ちが抑えられなくて苦しんでいる。

 心配してくれるヴィヴィアンヌから顔を背け、レイナは彼女の横を抜けて立ち去ろうとする。いけないと感じたヴィヴィアンヌは、急ぎ足で去ろうとする彼女の手を掴んで離さなかった。


「待て、同志!」

「離して! お願い⋯⋯⋯!」


 掴まれた手を振り解こうとしたレイナと、彼女の身を案じるヴィヴィアンヌとの視線が合った。

 我慢の限界だったのだろう。感情が溢れ出してしまったレイナは、その場で瞳から止め処なく大粒の涙を流す。慌てたヴィヴィアンヌは掴んだ手を無理やり引き、彼女を逃がすまいと抱きしめた。


「お願いだから⋯⋯⋯⋯! 放っておいて⋯⋯⋯⋯!」

「それはできない。同志の涙を放っておくなど、この私にできるわけないだろう」

「私なんかに⋯⋯⋯、優しくしないで⋯⋯⋯⋯⋯⋯!」


 反応から察するに、間違いなくリックの事で何かあったに違いない。そう判断したヴィヴィアンヌは、自分の胸をレイナに貸して、気が済むまで思いっきり泣かせる事にした。それで少しでも気持ちが落ち着くなら、いつまでも抱きしめるつもりでいる。

 レイナがここまで取り乱して苦しむ程の、衝撃的な何かがあった。それが何かは分からないが、相当堪えてしまっているのは明らかだ。どうすべきかと考えていたヴィヴィアンヌだったが、レイナの一言で彼女は心を決める。


「リリカ様⋯⋯⋯⋯、私はどうすれば⋯⋯⋯⋯⋯!」

「!」


 レイナの口からリリカの名が出て、ヴィヴィアンヌは自分の胸から彼女を解放する。だが直ぐにレイナの手を掴んで、またも無理やり引っ張って彼女を連れて行く。

 レイナを連れた先にあるのは、ヴィヴィアンヌ自身がたった今後にした出たばかりの自室だった。


「あの女のもとには行かせない」

「⋯⋯⋯⋯!?」


 どういう意味か分からず困惑するレイナを連れ、二人はヴィヴィアンヌの自室へと消えていった。

 その夜、部屋へと消えた二人の姿を見た者は、誰もいない。

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