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第三話 集う力 Ⅳ

 二日前、森の異変を感じて調査に出かけた者たちは、その大きく異様な存在を、遠方から捉えた。

 それが竜であることを、彼らはすぐに理解でき、見つけた場所から、それ以上接近はしなかった。 万が一のためにと、狙撃スコープを取り付けた、小銃を装備していた彼らは、遠距離から竜を発見した。遠くからその巨大さを目の当たりにし、近づくことが危険であると判断して、その場を動かなかったのだ。

 正確な大きさはわからなかったが、その竜は四足歩行で移動し、黒く堅い皮膚に覆われた暴竜であり、辺りの動物全てを、巨大な口の中へと呑みこんでいた。

 一通り食い散らかして、腹を満たしたのか、暴竜はその場で深い眠りについたのだ。そのおかげで彼らは、竜に見つかることはなかった。もしもあと少し近付いていたならば、竜の嗅覚に捉えられ、彼らも襲われていたかも知れない。

 竜の凶暴さは臭いでわかる。風に乗って、遠方からでも、竜の食い散らかした動物の死臭が、自分たちの鼻まで届いてくるのだ。つまりそれは、相当数の動物を喰い殺しているということである。

 この巨大で凶暴な暴食竜は、新たな獲物を見つけた。

 竜は里を捉えたのだ。






「でかいな」

「オーデル軍一万人なんか、こいつの前じゃ赤子同然だろうぜ」

「相手にとって不足はありません。リック様はお下がりください、私がこの竜を始末いたします」

「心配するなレイナ、お前一人じゃ手に余る。三人でかかるぞ」


 現れた暴食竜と相対した三人。リックを先頭に、レイナとクリスが後ろで控える。

 暴食竜は大森林の木々を薙ぎ倒し、その巨大さを現した。

 鰐の様な頭を持ち、口には数十本の牙が隙間なく並んでいる。爬虫類に近い見た目と、黒い皮膚が特徴的で、巨大な四本の足で移動する竜。その全長は二十メートルを超えている。


(これじゃあ竜っていうより怪獣だな。自衛隊か米軍でも呼んだ方がいいんじゃないか?いや、米軍はだめだ。里が十分以内に消し飛ぶ・・・・・)


 巨大な口を開き、咆哮する暴食竜。間近で聞くその咆哮は、鼓膜が破れんばかりの激しいものである。さらに、咆哮を放つ巨大な口からは死臭が臭う。

 人間を簡単に丸呑みできるであろうその口で、ただ己の空腹を満たすためだけに、一体どれほどの生き物を食い殺したのだろうか。

 リックは思った。「こいつ、調子にのってるな」と。


「竜って言っても所詮は生物だろ。なら、殺せるだろうさ!」


 拳を握りしめて駆けだしたリック。竜を相手に恐れることなく、寧ろ竜を喰らいに行く勢いで、距離を詰める。リックの襲撃に気が付いた暴食竜は、自慢の巨大な口を開き、丸呑みにしようと襲いかかった。

 巨大な口に呑みこまれようとした一瞬、リックは跳躍してそれを避け、暴食竜の頭上へと跳んだ。そして頭の上に着地し、竜の脳を粉砕しようと、いつも通り渾身の力を拳にのせて、暴食竜の頭を殴りつけた。

 しかし、竜の皮膚は恐ろしい程堅く、まったく効いてはいない。それがわかると、今度は殴りつけた所目掛けて、連続で拳を放つ。一発で効かないのなら、効くまで殴り続ければいい。それがリックの考えであった。

 流石の竜も、リックの常人離れした力に苦痛を感じ、頭から振り落とそうと暴れまわる。竜の勢いに負けて、振り落とされたリック。何とか地面に着地し、体勢を立て直す。


「かっ、堅過ぎだろおい・・・・。拳が砕けるかと思ったぞ」

「リック様!お怪我は!?」

「ない。二人とも気をつけろよ、あいつ滅茶苦茶堅い」

「馬鹿!竜相手に素手でいくか普通。しかもあれだけやって拳砕けないとか、お前の体どうなってんだよ!?」

「さあな。レイナは右を、クリスは左だ。三方向から同時にいく」


 その言葉を合図に、レイナとクリスは同時に分かれ、リックはまたも正面から突撃をかける。

 彼らの後ろには、未だ避難を終えていない里があるのだ。避難が終わるまでは、一歩も退くことが出来ない。


(こいつを抑えるのは一苦労だ。さて、どうしたものか・・・・・)






 大口径の銃を持ってくるように言われた、シャランドラ。

 彼女がリックに言われて、思いついたものは、自分が試作した、ボルトアクション機構の大口径狙撃銃であった。長大な射程距離を持つ銃を試作してみようと、彼女が祖父と一緒に作り上げた物である。

 射程距離と威力を持たせようと、長い銃身に大きな口径を作り、専用の弾薬まで作り上げた。この里にある銃の中では、間違いなく最大の射程と威力がある。

 里の危機を前に、竜へと戦いを挑んでいったリックたち。彼らの装備では竜に対し、有効な打撃を与えることは出来ないだろう。リックに至っては素手であるのだ。

 だがこの銃ならば、竜の堅い皮膚すら、貫通できるかも知れない。


「あんなのに勝てっこないで・・・・・・。でも、やらないとあかんのや!」


 全力で駆け出し、家に戻った彼女は、発明品や家具をひっくり返して、目当ての銃を捜す。作り上げた後、どこにしまったかを、覚えていないのだ。

 早く捜し出さなければ、リックたちの命が危ない。そして里の人々も・・・・・。


「どこや、どこにあるんや!早くしないとリックが!里の皆が!」


 何度目かの竜の咆哮が響き渡る。咆哮は段々はっきりと聞こえ、確実に竜が、里の中へ近付いているのがわかった。残された時間は少ない。






 大口径狙撃銃の存在は、前に試作したという話をシャランドラに聞かされ、知っていた。実物を見たことはないが、巨大な暴食竜を仕留めるには、最も有効な武器であると判断したのである。

 彼女が作り上げたのは、恐らく対物狙撃銃である。アンチマテリアルライフルと言われるそれならば、最大級の威力を持っているはずなのだ。それさえあれば竜に、確実な損傷を与えられる。


「くそったれ!なんて堅さだ、俺の剣が通らねぇぞ!」

「魔法すら効果がないとは。このままでは、里に大きな被害がでてしまう!」


 レイナとクリスが、己の技と魔法を駆使しても、竜の体にまったく傷がつけられずにいる。予想以上の皮膚の堅さに、苦戦を強いられているリックたち。

 巨大な鰐にも見える、その見た目とは裏腹に、意外な程俊敏に動く暴食竜。戦いながら餌を探す暴食竜は、民家を破壊し畑を荒らして暴れまわる。何もかも破壊して進む様は、まさに暴竜と呼ぶに相応しい。

 しかし、この竜の恐ろしさはこれだけではない。

 暴食竜は口を大きく開き、そこから何かの液体を二人目掛けて吐き出した。危険を感じた二人は、その液体を瞬時に避ける。液体を避けたのは正解だった。何故ならその液体は、強力な溶解液だったからだ。


「なるほど。この液体がこいつの武器なのか」


 冷静に竜の力を分析するリック。火竜は火を噴くというが、この暴竜は溶解液を吐くようだ。

 溶解液は草木を一瞬で溶かし尽くす。もし人間がこれを浴びてしまえば、皮膚も骨も残さず、全て消え失せるだろう。

 シャランドラの仮説を信じるなら、この溶解液は魔法によるものとなる。この巨大さならば、相当量の魔力をもつ可能性があるのだ。つまり、里全体を溶解液で壊滅させることも出来るはず。


「この堅さに俊敏さ、おまけに溶解液まで吐くとはな」

「関心してる場合かリック!」

「まあ落ち着けよ。それより二人とも、こいつの体で軟らかいところなかったか?」

「いくつか見つけました。ですが、決定打を与えるには・・・・」

「わかってるさ。俺の合図で一斉攻撃をかける。その時は奴の弱点部分を徹底的に攻めろ」


 リックは待っていた。この膠着した状況を打破するチャンスを。

 攻め時を待ってはいるが、暴れまわり溶解液を撒き散らすおかげで、里の被害は増すばかりである。今のところ、奇跡的に人的被害は出ていない。

 突然の暴食竜登場に、混乱していた人々であったが、里長の的確な指揮により、順調に避難を続ける。しかし、このまま有効な手段がなければ、人々に被害が出る可能性が高い。


「リック!!持ってきたで、うちが試作した名付けて------」

「まずい!伏せろシャランドラ!」


 リックが待ちに待った、大口径狙撃銃を担いできたシャランドラ。

 だが、彼女の存在に気が付いた竜が、巨大な尻尾を振りまわして、彼女を襲う。尻尾が彼女に向かって襲いかかる。そのことに、一早く気が付いたリックが、彼女の前に飛び出した。

 彼女を抱きしめ庇った瞬間、リックの背中に今まで感じたことのない、大きな衝撃が奔る。

 衝撃に耐えきれず、吹き飛ばされた二人は、地面に叩きつけられたが、リックが庇ったおかげで、彼女に怪我はない。常人なら即死していたであろう攻撃だが、驚異の身体能力のおかげで、どうにか死ぬことはなかった。

 しかし、大量の吐血をするリック。尻尾の攻撃と地面に叩きつけられた衝撃で、シャランドラにもわかる位、彼は重傷であった。


「がはっ!!・・・・・怪我はないか、シャランドラ」

「うちはない!でもリックがっ!?」

「気にするな・・・・。それより、持ってきた銃を貸してくれ・・・・」


 苦痛に耐えながら、銃を要求するリック。邪魔者を一人片付けたと、喜びの咆哮をあげる暴食竜。

 そしてここに、竜に対して、怒り心頭となった武術家二人。


「この野郎が!俺のリックになにしやがる!!」

「貴様っ!絶対に許さない!!ここで殺してくれる!!」


 主が重傷を負ったことに、一瞬で冷静さを失ったレイナとクリスは、暴食竜を今すぐ殺そうと駆け出していった。竜に襲いかかった二人は、左右から堅い皮膚を、連続で斬りつける。


「焼き尽くせ、焔!!」

「奔れ、雷光!!」


 左右から、炎と雷の魔法攻撃を同時に放つ。先程から何度も魔法を放ったが、冷静さを失った二人は、全力の魔力を竜へとぶつけた。

 少し悶えはしたが、やはりその防御力を破る程の威力ではなく、竜の活動は止まることを知らない。


「落ち着け二人とも。俺はこの通り大丈夫だ」

「ですが!!」

「こいつは俺が殺す!お前はそこで-------」

「俺は落ち着けと言っている!!」

「「っ!?」」


 背中の苦痛を堪えて、立ち上がったリックは、冷静さを失った二人を落ち着かせようと、竜の咆哮にも負けない怒号を放つ。主の本気の命令に、冷静さを取り戻した二人は、竜から距離をとって、リックの傍えと控える。

 左右に控えた二人は、まるで飼い主に叱られた犬のように静かになった。先程までの怒りが嘘のようである。

 リックはシャランドラから受け取った、大口径狙撃銃を装備し、銃の予備弾倉を一つ備えていた。予備弾倉を含め、弾丸は十発。さらに、彼女から渡されたものがもう一つ。

 彼女が大口径狙撃銃を捜している時、偶然発見した拳銃を手渡されたのだ。回転式拳銃というもので、所謂リボルバーと呼ばれている銃。これも彼女が試作したもので、大型動物を撃ち倒せるように、威力を重視して作られたものだ。装弾数は六発である。

 弾丸は少ないが、今はこれで何とかするしかない。

 絶望的な状況であるが、希望は必ずある。

 リックが一斉攻撃の合図を出そうとした、まさにその時、女子供の避難を終えた里の大人たちが、自分たちの小銃を装備して、一斉射撃を放ったのだ。だが、小銃の弾丸は竜を貫通せず、残念ながら効果はない。しかし大人たちの目的は、銃によって竜を倒すことではない。

 竜の注意が、大人たちに向けられている隙に、八十を超えている歳の里長が、先端に丸い何かをつけた棒を何本も持ち、竜に対して突撃していった。

 竜に十分近付き、棒に取り付けられたピンを抜き、手に持っている全ての棒を、竜に向かって投げつける。投げつけられた棒は、竜の足元に落ち、数秒の後に、棒は突然爆発した。これには流石の竜も堪らず、爆発に驚き後退する。

 目の前で起こった里長と竜の戦いに、唖然とするリックたち。今の里長の動きは、とても八十歳の老人の動きではなかった。それも唖然とした要因ではあったが、リックは里長が投げた棒に、驚きを隠せない。


「おいおいおい、あれ手榴弾だろ!?この里はあんなものまで作ってるのかよ」


 手榴弾。簡単に言えば小型の爆弾である。

 棒の先端に取り付けられていた丸い物体は、火薬を詰めてまとめたものだ。取り付けられたピンは安全装置で、ピンを抜けば、時限式で爆発するように作られている。

 里長によって竜は混乱状態に陥った。このチャンスを逃すわけにはいかない。


「里長、俺にもそいつをくれ!」

「最後の一本じゃ!しかし、竜を倒すにはこれだけでは足りんぞ!」

「問題ない。レイナ、クリス!」


 その命令を待っていたと言わんばかりに、竜へと駆け出す二人。今度は竜の正面にレイナが、左からクリスが襲いかかる。爆発に怯んでいたため、竜は二人の接近に気付くのが遅れ、易々と懐への侵入を許してしまう。

 レイナとクリスは魔法が使えるものの、威力はそれほど大きいものではない。魔術師の様に、強力な魔法を出せるわけではなく、あくまで二人の魔法は、それぞれの属性の、初歩的な魔法を出せるのみであるのだ。

 もっと強力な属性魔法が出せるのならば、この竜に対して、有効な打撃を与えられるだろう。それができない以上、効率のいい方法を考えるしかない。

 先程の冷静さを欠いた状態ではなく、今はリックの怒号で完全に頭が冷えている。冷静に竜を分析し、先に仕掛けたのはクリスであった。

 竜に対して、何度か斬りつけたクリスは、どこの皮膚が一番堅いのかを調べ尽くしている。勿論、それほど堅いわけではない部分も、いくつか調べがついていた。その部分だけは、クリスの剣が通るのだ。

 竜の横顔に接近し、最も軟らかいであろう部位を目掛け、正確かつ一瞬の速さで剣を突き刺した。突き刺した部位は、竜の右目。どんなに皮膚が堅くとも、眼だけはそうはいかない。

 右目をやられた激痛で、苦痛の咆哮をあげ、怒り暴れ狂う竜ではあるが、突き刺した剣からクリスは手を決して離さない。クリスの攻撃は、眼を突き刺しただけでは終わらないのだ。


「俺の今日最後の魔力だ、くらいやがれ!雷光っ!!」


 残りの体力を全て出しきり、雷属性の魔法を竜へと流す。

 何度も魔法をぶつけているが、外側には全く効果はなかった。だが今回は、突き刺した剣に雷魔法を流し、竜の体内へと魔法を全力で流し込んだのだ。雷は竜を内側から襲い、一時的に巨大な身体は麻痺を起す。

 苦しみに悲鳴をあげていた為、大口を開けたまま、痺れて動けなくなった暴食竜。そのチャンスを逃さず、今度はレイナが正面から襲いかかった。

 レイナも体力を振り絞り、開けられた巨大な口を目掛けて、渾身の火属性魔法を放つ。


「リック様を傷つけた以上、私は決して貴様を赦さない!焼き尽くせ、焔っ!!」


 繰り出された炎は竜の口の中へと、吸い込まれるように伸びていき、次の瞬間には、口の中や喉を全て焼き尽くした。

 体内に放電され、口内を焼き尽くされ、先程までの大暴れが嘘のように、苦しみもがく暴食竜。最早満足に戦う事すらできない竜は、堪らず元来た大森林へと後退しようとする。

 だがしかし、それを許さぬ狂犬は、竜に最後の攻撃を仕掛けようとしていた。


「どこ行くんだよ。まだ俺のフルコースが残ってるぞ!」


 いつの間にか、竜の左目の間近くまで接近し、シャランドラから受け取った、リボルバーの撃鉄を起こすリック。

 竜がその存在に気付いた時、リックはリボルバーを構え、六発全弾を竜の左目へと撃ち込んだ。大威力のマグナム弾は、竜の左目を完全に潰し、結果として竜の両目ともを、失明させたのだ。

 それだけではやはり終わらない。リックは再び飛び上がって、竜の頭の上に着地し、今度は大口径狙撃銃を腰だめで構える。確実に外さない至近距離で、銃口を頭部へと向けた。 

 思いっきりボルトを引いて、発射体勢に入る。


「これじゃあ狙撃と呼べないな。どう思う、暴食竜?」


 リックは邪悪な笑みを浮かべ、銃の引き金を引いた。

 小銃とは比べものにならない、発砲音と反動。弾丸は竜の頭部に直撃し、堅い皮膚を少しだけ砕いた。有効な威力があることがわかり、ボルトを再び引いて、引き金を引く。


「あっはははははははは!!もう逝っちまえよ糞竜が!!」


 高笑いで叫びながら、竜に銃弾を浴びせ続ける。

 腰だめ射撃での狙撃銃乱射。装弾数五発の銃であるため弾切れは早く、弾薬が無くなったとわかるや、瞬時に予備弾倉へと交換して再び乱射。まさにその様は、狂った戦闘中毒者と呼ぶに相応しい。

 合計十発の弾丸全てを撃ち込んだ結果、あれほど堅かった皮膚は粉砕され、撃たれた箇所は出血し、人の頭一つ程度の、傷穴が出来上がっていた。


「こいつは俺の奢りだ!」


 里長から受け取った手榴弾のピンを抜き、出来上がった傷穴に、それを勢いよく捻じ込む。奥まで手榴弾を突っ込み、竜の頭の上から離脱する。それから約五秒後。


「これにてフルコースは終了だ」


 リックが言い終わったのを合図にしたのか、手榴弾を捻じ込まれた竜の頭は、爆発を起こした。完全に頭を吹き飛ばすことはなかったが、この攻撃は致命的である。頭の様々な箇所から血が噴き出す。内側からの爆発は、確実に竜の脳を破壊した。

 断末魔の悲鳴をあげて、倒れ込んだ暴食竜。餌を求めて暴れまわっていた竜は、リックたちや里の人々の活躍により、激闘の末絶命した。

 もう呼吸すら行なわない、巨大な竜の死体。


「うわ、手が真っ赤で気持ち悪い・・・・・」


 人が竜を殺す。

 この驚愕するべき事態に、里の人々も、シャランドラも、レイナとクリスも、誰もが目の前の光景を信じられなかった。

 まさか本当に竜を殺すことができると、里の人々は考えてはいなかったのである。竜を殺すつもりで戦ったレイナとクリスだが、人の手ではどうすることもできないと言われていた竜を、自分たちが仕留めたという事実が、信じられないでいた。

 竜に止めを刺した張本人である、リックだけは、左手にこびりついた竜の血を気持ち悪がり、竜を殺したことに、何も感じてはいなかった。


(凄い。ほんま何者なんやリック。もう凄いの言葉しか出てこんで!)


 隠れ里を舞台にした、暴食竜対人間の激闘。

 勝者は人間側で、人的被害は無い。戦いは、終結したのである。

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