第32.5話 俺のヴァスティナ帝国がこんなにイカれてるわけがない Ⅱ
2.雷属性剣士の憂鬱
俺の名はクリスティアーノ・レッドフォード。親しい奴にはクリスって呼ばせてる。時々勝手にそう呼ぶ奴もいるが、俺に許可取ってからにしやがれってんだ!
まあいい。今はそんな事よりも、この非常事態を何とかしなくちゃならねぇ・・・・・。
「すぅ・・・・・すぅ・・・・・・・・」
「気持ち良さそうに寝やがって・・・・・・・」
外はもう朝だ。俺は今、知らない部屋の、知らないベッドの上にいる。さっき目が覚めて、自分を見てみたら裸だった。どうやら俺は、服を脱いでベッドに潜って眠ってたらしい。そこまではいいんだよ。問題なのは、俺の隣で気持ちよさげに眠ってる、俺と同じく裸の赤い髪をしたこの女だ・・・・・・。
「すぅ・・・・・・」
「どうかしてるぜ、俺・・・・・・」
俺の隣で眠っていやがった女は、レイナ・ミカヅキ。俺は脳筋槍女って呼んでる。俺とこいつの関係は、言葉で表すなら犬猿の仲ってやつだ。だからあり得ねぇんだよ!俺がこいつを抱くなんざ絶対あり得ねぇんだ!!なのに何でこいつは俺の横で眠ってんだよおおおおおおおおおっ!?
「最悪だぜ、畜生が・・・・・・」
俺に何が起こったのか、段々思い出してきた。
昨日の夜の話だ。俺は槍女と一緒に街へ飲みに出かけた。リックの回復祝いと、奢るっていう俺との約束を果たすために、槍女が俺を飲みに誘ったのがきっかけだ。いつもなら断ってたかもしれねぇが、リックの回復で機嫌が良かったせいで、誘いに乗っちまった。
昨日は馬鹿みたいに酒飲んだぜ。槍女も相当飲んでやがった。あいつ、飲み過ぎると酒癖悪くてよ。めんどくせえから、九十度くらいある酒を飲ませまくって潰してやった。だけどその頃には、俺も相当酔いが回ってた。酒場から城に戻れないくらい、久々に阿保みたいに酔ったぜ。
槍女を連れて戻るのは無理だったんでな、酒場の宿に泊まる事にしたんだ。運が良くてな。この酒場は宿もやっててよ、丁度良かったんだ。
それで、俺は槍女と酒場の宿に泊まった。部屋が一つしか空いてないとかで、ベッドが一つしかない二人用の部屋に案内された。そこまでは覚えてるが、そこから先が思い出せねぇ・・・・・。
「こいつを起こせば何かわかるか?いや待て、もっと厄介な事になりそうだ・・・・・・」
自分が思い出せないんだぜ?同じように相当酒飲んでるこいつだって、俺と同じかもしれねぇ。何も覚えてない状態で互いの格好見たら、絶対勘違いされちまう。殺し合いは免れないぜ・・・・・。
ともかくだ。俺がやらなきゃならねぇ事は、昨日の夜何が起こったのかを正確に思い出すのと、こいつが目覚める前にここから脱出する事だ。こんな状況誰かに見られたら、まず間違いなく誤解を生む。特に、リックとリリカ姉さんとヘルベルトと女装男子と発明馬鹿と騒音女に知られるのは不味い。奴らに知られる前に、何事もなかったように工作して脱出する必要がある。
優先順位が高いのは、思い出す事よりも工作だぜ。目覚めたばっかの頭じゃ何も思い出せねぇ。だったらまずは、服に着替えた後に、寝てるこいつにも服を着せないとな。このまま裸のままでいるところを誰かに見られたら、言い訳のしようがねぇ。誤解を生まねぇように、お互い服は着とく必要がある。
「めんどくせえ・・・・・。部屋中に服が散らばってやがる」
部屋中に散らばってる俺と槍女の服。酒場の空気と飲み過ぎたせいか、服が異様に酒くせぇ。シャツやズボンだけじゃなく、下着も無造作に脱ぎ捨てられてる。こんな部屋の状況で何事もなかったとは思えねぇが、いくら酔っぱらってたからって、俺がこいつを抱くわけがねぇ!俺自身を信じるためにも、早く思い出してぇぜ・・・・・・。
とりあえず服を搔き集めるか。槍女の下着も拾わねぇとな・・・・・・。興奮とかはしねぇんだが、こいつ、今日は上も下も白だったのかよ。勝手に赤だと思ってたぜ。
「起こさねぇように着せねぇとな・・・・・・」
変わらず気持ち良さそうに眠ってやがるぜ。こっちの苦労を少しは察しやがれってんだ。
そこら辺のガキみたいに、女の体見て取り乱したりはしねぇ。これが槍女じゃなくてリックだったらどんなにいいか・・・・・・。朝っぱらから最悪の気分だぜ。
それにしてもこいつ・・・・・・・意外と綺麗な肌してやがる。胸はそんなにねぇが、顔はまあまあだ。美少女の成り損ないってところか。キレなくて、槍振り回さなくて、愛想よく振舞ってれば、街の酒場の看板娘ぐらいにはなれるかもな。
「って、俺は一体何を考えてんだよおおおおおおおおおおおおおおおっ!?!?」
酒で頭イカれたか!?なんで俺が槍女見てこんな事考えちまうんだ!
俺はこいつが好きじゃねぇ。どっちかって言えば嫌いだ。いつもいつも突っかかって、俺に喧嘩売ってきやがるし、脳筋のくせに色々悩んでやがって、面倒な女だ。こいつを可愛いとか思った事もねぇ!何が、意外と綺麗な肌してやがるだ!?冷静になれよ、俺!!
「んっ・・・・・・」
「!」
「すぅ・・・・すぅ・・・・・・・」
「ふう・・・・・、起こしちまうところだったぜ」
危なかったぜ。この状況で起こしちまったら大変だ。
さっさと服着て、こいつも着替えさせないとな。それまで起きるんじゃねぇぞ。まったく、何だって俺がこんな目に遭うんだよ・・・・・・。
「レッドフォード隊長。こちらにいらっしゃいますか!?」
「!!」
外から部屋の扉をノックする音!扉の向こう側からの声!おいおいおいおい、冗談じゃねぇぞ!?扉の向こう側に俺の部下がいやがるぞ!!
「隊長、入っても宜しいでしょうか?」
「待ったあああああああああああああああっ!!!」
扉に鍵がかかってねぇ!?昨日の夜かけ忘れたのか!?
俺は急いで扉に張り付いた。部下が扉を開けて入ってこようとしたが、力技でそれを阻止してやったぜ!
「どっ、どうしたんですか隊長!?」
「お前には関係ねぇだろ!朝っぱらから何の用だ!?」
ああ、畜生!扉の鍵がかからねぇ!!
鍵がぶっ壊れてんのか!?あの宿の親父、内側の鍵壊れた部屋に案内しやがって!後でぶっ飛ばす!!
「本日予定しているミカヅキ隊との模擬戦で呼びに参りました。隊長が中々いらっしゃらないので、こうして探しに来た次第です」
忘れてたぜ、もうそんな時間か!?
二日前だ。そこで寝てる槍女と喧嘩になって、決着つけるために模擬戦やる事にしたんだったぜ!それでここまで探しに現れたわけかよ。不味いぞこいつは。こんなところ自分の部下に見せられるわけがねぇ。
とにかく、こいつを追い返さないとな。部屋には入れず、適当に城に戻らせるか。扉に鍵がかからねぇ以上、体で扉を押さえ付けるしかねぇ最悪な状況だが、やるしかねぇな。
「わっ、悪いな!昨日飲み過ぎちまってよ・・・・・。これから準備すっから先に演習場行ってろ」
「そうでしたか・・・・・。遅刻など一度もなかった隊長が姿を現さなかったため、ご体調でも崩されたのではと皆心配しておりました」
「体調は万全だから安心しときな!だから先に演習場に行ってろ!」
「いいえ。隊長はいつも、訓練の日は誰よりも早く準備を整え、我々が集まるのを待って下さっています。ならば我々は、このような状況の時は隊長をお待ちする義務があります。この場で待機致しますので、どうぞお気遣いなく」
真面目かよ!?何で俺の隊の連中はこんなに馬鹿真面目なんだ!!俺が先に行けって言ってんだから早く行けよ!お前がそこにいると、俺が安心して誤解阻止の工作できねぇだろうがよ!!
どうするどうするどうする!?考えろ俺!何か上手い手があれば・・・・・・・そうだ!
「まっ、待ってるだけだと退屈だろ!?ちょっと俺の頼みを聞いてくれ!」
「隊長の頼みを聞かぬ者などレッドフォード隊にはおりません。何なりとお申し付けください」
「さっき起きたばっかりでよ、模擬戦前に腹に何か入れときたいんだ。手間かけるが美味い朝飯調達してきてくれねぇか?」
「了解致しました!!隊長のお口に合う、美味なる朝食を至急買って参ります!ではっ!!」
「おい!慌てないでゆっくり買ってきていいからな!!時間かけてなるべく美味いもん選んでこい!!」
ふう・・・・・、行っちまったみたいだぜ。
咄嗟の思い付きでとりあえず危機は去ったな。あいつが飯買って戻ってくる前に、この状況をどうにかしねぇと・・・・・。さっさと服着て、こいつにも服着せて、部屋から出て酒場の前で部下を待つか。そうすりゃあ、何事もなかったかのように模擬戦に向かえるぜ。
さて、着替えを再開させ-------。
「ミカヅキ隊長。お迎えに上がりました」
「!?」
部屋の外からまた声がしやがる!!さっきの奴じゃねぇ、こいつは・・・・・!
「隊長、入っても--------」
「待ったあああああああああああああああっ!!!」
俺はまた、扉を内側から全力で押さえつけた。糞ったれ!何で鍵壊れてんだよ!?扉押さえるのも楽じゃねぇんだぞ!!
「えっ!レッドフォード隊長!?」
「おっ、お前まさか槍女のとこの奴か!?こんなところで何してやがる!?」
「実は、本日の模擬戦にまだ隊長が来られてなくて・・・・・・。あれ?レッドフォード隊長はここで何を?今日の模擬戦相手はレッドフォード隊と聞いておりましたが?」
「わっ、悪いな!実は寝坊しちまってよ!!これから支度して向かうところだ!」
「そうでしたか。しかし困りました・・・・・・。街を探し回り、ミカヅキ隊長らしき人物がここに泊まっていると店主に聞いて、この部屋を訪ねてみたのですが・・・・・」
「残念だったな、ここは俺が泊ってる部屋だ。槍女は別の部屋じゃねぇのか?」
畜生っ!!早く気が付くべきだったぜ!模擬戦やるんだから、槍女の隊の奴が探しに来てもおかしくねぇだろうが!
俺の部下と一緒で、こいつも自分とこの隊長を探してやがる。何とかして追い返さねぇと・・・・・。
「他の部屋は全て調べ終わっています。後はここを残すのみでして・・・・・・」
「そっ、そうなのか?だけどな、ここに槍女はいないぜ・・・・・」
「そのようですね。どうやら店主の勘違だったようです」
物分かりが良くて助かったぜ。俺の嘘を簡単に信じてやがる。この扉を開けられるわけにはいかないから、仕方ないぜ。悪く思うなよ槍女の部下。誰なのかわかったら今度飯奢ってやるぜ。
「まさか隊長は・・・・・、前回の戦いでの事を気にされているのでしょうか」
「はあ!?」
「前回隊長は鬼神の如く怒り狂い、参謀長救出のために戦いました。ですが参謀長は、救出された時には瀕死の重傷であり、誰もが胸を痛めました」
こいつの言いたい事はわかる。
確かに槍女は、前回の戦いでの事を今もずっと悩んでやがる。俺もそうだ。悩んでない奴なんていないが、槍女を含む一部は例外だ。槍女達は憎悪と絶望に心が沈んじまうくらい、今でも悩んでいやがる。
「その事に、隊長は今も苦悩しておられます。もしや、苦悩のあまり訓練すら手に付かなくなっているのではと------」
「はんっ!あいつはそこまで弱くねぇよ」
「!!」
「脳筋で馬鹿で何でもかんでもすぐ悩んじまう奴だが、奴は槍みたいに真っ直ぐな女だ。お前が考えるほど弱くねぇよ、馬鹿野郎」
すぐ迷っちまうのが槍女の悪い癖だ。脳筋なんだから、もっと単純になればいいのにな。
だがあいつは、迷って悩んじまっても、心が弱くっても、必死に自分と戦って前を向こうとしてやがる。リックの回帰祝いで俺を飲みに誘ったのも、前を向いた結果だしな。前に教えてやった事を実践したんだよ。「考えたくねぇ事がある時は酒飲んで忘れちまえ」っていう、俺の教えをな。
「レッドフォード隊長は・・・・・ミカヅキ隊長の事をそこまで・・・・!!」
「なっ、何だよ・・・・?」
「レッドフォード隊長の言う通りです!やはり、普段からミカヅキ隊長を支えておられる方は、隊長の事をよく理解していらっしゃる!!」
「ああん!?俺が槍女を支えてるだと!?」
「ミカヅキ隊長とレッドフォード隊長は固い絆で結ばれた、互いに高め合う良き戦友なのですね!自分、感服致しました!!」
「おっ、おい!なんか勘違いしてねぇか!?」
「ミカヅキ隊長に対するレッドフォード隊長の信頼に比べたら、自分の隊長に対する信頼など豆粒に等しい!!ミカヅキ隊長を信じ、街をもう一度隈なく探してまいります!」
ちょっと待てこの野郎!!俺と槍女の関係で盛大な誤解をしたまま行こうとするんじゃねぇ!馬鹿真面目な純情野郎過ぎるぞ畜生っ!
「俺は槍女を信頼なんかしちゃいねぇ!勘違いすんな!!」
「ミカヅキ隊長は御多忙ですから、急な用事でも入って模擬戦に遅れているだけかもしれません!レッドフォード隊長に倣い、隊長は信じて再度探してまいります!ではっ!!」
「俺の話を聞け!勘違いしたまま行くじゃねぇよ!!」
あの野郎、盛大に勘違いしながら飛び出していきやがった・・・・・・・。
危機は去ったが・・・・・・、どうすんだよあれ。他の奴らに言い触らさなきゃいいが、話し盛られて広められそうだぜ・・・・・。
「ったく・・・・・。それもこれも、全部お前のせいだぞ」
こっちがさっきまで騒いでたってのに、こいつ全然起きやしねぇ。よっぽどいい夢でも見てるのか?俺の苦労を知らねぇで、ほんとめんどくせぇ女だぜ。だが、いい部下を持っていやがる。
騎士団長が戦死してから、お前は帝国の新たな軍神になった。槍女自身が望んだわけじゃねぇ。周りの奴らが勝手にそう呼び始めたせいだ。でもお前は、勝手に背負わされた責務から逃げなかった。
騎士団長よりも弱いし、眼帯女には勝った事もねぇ。俺達は帝国軍最強なんて言われてるが、まだまだ半端で未熟だ。軍神なんて呼ばれてても、今まで勝てなかった奴はいる。それでもお前は、敵に勝つ事で軍神の名を守り、兵士達を奮い立たせてきやがった。だからお前は、帝国の兵士達に信頼されてる。お前に率いられるなら、兵士達はどんな戦場だって付いて行くだろうぜ。例えそれが、死地だったとしても恐れねぇだろうよ。
「一人で全部抱え込んで、無駄に頑張り過ぎなんだよ・・・・・」
中々起きやがらねぇ。夢から覚めたくねぇんだろうな。
こいつは眠ってる時だけ、いい夢でも見れてる時だけは、苦悩してる事から解放される。酒のせいでぶっ潰れたお陰で、今日はぐっすり眠ってやがる。気持ち良さそうに眠っていやがるし、少なくとも悪夢は見てなさそうだ。
しょうがねぇ、このまま寝かしといてやるか。模擬戦は中止にして、槍女は病欠って事にでもして、ミカヅキ隊の連中もまとめて俺が鍛えてやるぜ。
別に、こいつの事を心配してるとかじゃねぇぞ。ただ、今日は機嫌がいいだけだ。
まあ、こいつが下向いてばっかだと、リックも他の奴らも心配するからな。いい夢見たら、ちょっとは気持ちも晴れんだろ。模擬戦で決着つけるのはまた今度-------。
「おわっ!?」
下に何かが転がってて、俺はそいつを踏んで盛大に転がった。踏んづけたのはワインの入ってた酒瓶だ。こいつを踏んだせいで、俺は頭と背中を床に打ち付けちまった。糞ったれ・・・・いてぇ・・・・・。
俺が倒れたせいで結構でかい音が鳴っちまった。床が抜けるかと思ったぜ。にしても何で、こんなところに酒瓶が転がってやがる?
「あっ・・・・・、思い出した!」
そうだ!今の衝撃でやっと思い出したぜ!
昨日の夜、俺は酔い潰れた槍女を抱えてこの部屋に泊まった。その時この馬鹿は、ワインの酒瓶を握りしめていやがった。部屋に入ってすぐに、酔い潰れてたはずの槍女は目を覚ました。こいつ、飲み過ぎると酒癖悪過ぎるからよ、手に持ってたワイン振り回しやがって、俺もこいつもワインを被っちまったんだ。白ワインを頭から被っちまったせいで、服が酒臭くなってべとべとになっちまった。
「うっ・・・・・う~ん・・・・・・・・」
いいぞ、思い出してきたぜ!酔ってた槍女はほとんど呆けてた。こいつ、服がべたついて気持ち悪いとか言って、いきなり服を脱ぎ始めたんだよ。俺の目の前でな。そんで槍女は、服を脱ぎ散らかしながら裸になって、ベッドに倒れてそのまま寝ちまった。
俺もその時は相当酔ってた。冷静な判断力は持ってねぇ。俺も槍女同様に、酒くせぇ服を脱ぎ散らかして、着てた服の気持ち悪さから解放された後、眠気が我慢できずにベッドに倒れ込んだ。槍女が寝てるベッドにお構いなしで、俺もそこで眠っちまったんだ・・・・・・。
つまり、俺はこいつとやってない!!
「ここは・・・・・どこだ・・・・・・・?」
よっしゃあああああああああああああっ!!!やっぱり俺はやってなかったぜ!昨日の俺を信じて正解だった!
昨日の夜の真実も思い出した事だし、取り敢えずいい加減服を着るか。さっきから邪魔が入ってまだ何も着てねぇからな。もたもたしてると、朝飯買いに行った俺の部下が戻ってきちまう。
さて、俺の下着は・・・・・・どこいった?なんか掴んだが、こいつは俺の下着じゃない。槍女のパンツじゃねぇか。赤い下着身に着けてそうな感じだが、意外にも白なんだよな。こういうところがまだ餓鬼っていうか何ていうか-------。
「おい破廉恥剣士・・・・・・・」
「!?!?!?!?」
やばい・・・・・・・全然気付いてなかったぜ。俺が思い出してた間に、こいつ起きてやがった。
起きたばっかの眼で辺りを見渡して、俺の格好と自分の格好を見てやがる・・・・・・・。あっ、驚いて二度見しやがった・・・・・・。
「貴様・・・・・・・これは一体どういう事だ・・・・・・?」
「おっ、おい待て!冷静になれ!お前が想像してるような事は何一つなかった!!」
「ならば貴様・・・・・・・、その手に私の下着を握っている理由はなんだ・・・・・・」
「はっ!?」
不味い!予想通りこいつ、昨日の事をまったく覚えてねぇ!!
しかも偶然こいつの下着持ってたせいで、状況は最悪を通り越していやがる!!
「貴様!!私に何をするつもりだった!?」
「別に何もするつもりねぇよ!誰がお前みたいな中途半端女とやるかっての!!」
「まっ、まさか貴様!私の下着を盗もうとして!?」
「ふざけんな!誰がお前の下着なんぞ盗みたいと思うんだよ!!この、脳筋貧乳白下着!!」
「っ!!」
自分で言っちまって気付いたぜ。勢い余って、完全に槍女を怒らせたってな・・・・・。
俺の言葉にブチ切れた槍女は、毛布で体を隠しながらベッドから飛び起きて、一気に俺との距離を詰めた。油断してたぜ・・・・・・。こいつ、俺をぶっ飛ばすために神速の速さで懐に入ってきやがった・・・・・・・。
駄目だ、躱せねぇ・・・・・・。
「地獄へ落ちろおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
「ぐばああああああああああああああああああっ!!!」
俺は顔面を思いっきり殴られた。腰が入った、右の拳のいい一撃だ。
やべぇ・・・・・意識が飛ぶ・・・・・。
「破廉恥がっ!!」
ぶん殴られ、床に倒れ、薄れゆく意識の中で俺は見た。
倒れた俺を見下ろし、心底嫌そうな顔をして、ゴミを見る眼で俺を睨む槍女の姿。どうやら俺は、こいつを本気でキレさせたらしい・・・・・。
その後しばらく、槍女は俺と一切口を聞かなくなった。代わりに必ず、ゴミを見る眼で俺を睨み付け、俺が近くにいると終始不機嫌になってやがった。宿での出来事は誤解されたままだ。この状況で、一体どうやって誤解を解けばいいっていうんだよ・・・・・・。
はあ・・・・・・、憂鬱だぜ畜生。
~終~




