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第十九話 甞めるなよ Ⅳ

 騒ぎは沈静化したため、寝室に戻り、再び休もうとしているアンジェリカだったが、部屋の扉の前で、彼女に出会った。


「怪我とかなかったみたいね、アンジェリカ陛下」

「シルフィ姫。貴女も御無事で安心致しました」


 アンジェリカの身を心配しての事だろう。部屋の前で彼女を待っていた、アンジェリカよりも年下の少女。数人のメイドを従え、アンジェリカの戻りを待っていたこの少女は、この国とは別の友好国の姫君である。

 彼女の名は、シルフィ・スレイドルフ。今年八歳になる、まだ幼き少女である。


「ったく、そこら中が鉄臭くて堪んないわ。あんたのとこのイカレメイド共、加減知らなすぎ。あんたに言ってんのよ、わかってんの?ねぇ、ウルウル」

「申し訳ありません、姫殿下」


 鼻をつまみ、如何にも不快そうな表情を見せたシルフィが、メイド部隊指揮官であるウルスラを睨む。

 睨まれたウルスラは、謝罪の言葉を述べつつ頭を下げる。昔、勝手に付けられたあだ名で呼ばれた事など、彼女は全く気にも留めない。

 ウルスラが謝罪すると、彼女の主であるアンジェリカも頭を下げた。


「我がメイド達の不始末、この通りお詫び致します」

「やめてよ、あんたは何も悪くないんだから。ってか、あんた私よりも偉いのよ?敬語使わなくていいし、謝る必要もないの。そんなんだと、下の奴らに嘗められるわよ」


 シルフィは、チャルコ国ただ一人の姫である。

 南ローミリアの盟主、ヴァスティナ帝国の友好国。その一国であるチャルコ国は、帝国と親密な関係にある小国である。

 シルフィはチャルコ国の代表として、アンジェリカと同じように、この国で行なわれる会談に出席する。友好国の中で一番の小国であろうとも、この国で行なわれる極秘会談は、絶対に出席しなければならない。

 何故ならこの会談は、チャルコ国の命運を左右すると言っても、過言ではないからだ。勿論この会談は、帝国を含む、南ローミリアの国家群全ての命運を左右する。しかし、会談の結果次第で、下手をすれば国家の存亡に関わってしまう、その第一の国はチャルコ国なのだ。

 国家存亡に関わる程の極秘会談に参加する国家は、帝国とチャルコの他に、会談の場であるへスカルと、友好国ではない、とある国家を含む四国で行なう。

 ヴァスティナ帝国の友好国ではない、その一国と言うのは・・・・・・。


「皆さんお揃いでしたか。御無事で何よりです」


 アンジェリカとシルフィのもとへ、その一国の代表が現れる。彼は国の外交官であり、国の支配者ではないが、代表としてへスカル国へ来訪した。

 彼の名は、セドリック・ホーキンス。独裁国家ジエーデル国外交官であり、ヴァスティナ帝国にとって彼は、敵国の外交官でもある。


「ホーキンス外交官か。貴官も怪我は無いと見える」

「お陰様で、女王陛下のおそろ・・・・・・ごほんっ、頼もしき御付きの方々がいたからこそ、私もこの通り無事でした」


 安心した表情を浮かべるセドリック。正直、彼は女王の前で言いかけてしまう位、心底帝国メイド部隊を恐ろしく思った。自分の身が無事であった事には安心したものの、彼女達のもとに来る道中目にした侵入者達の死体には、血の気を失ってしまった。

 彼は思う。こんな冷酷で残酷なメイドがいる危険で狂った国と、自分の国は二度も戦争したのかと。

 そして、この恐ろしいメイド達を配下に置く、目の前の少女は一体何者なのだと思わずにはいられない。一国を支配する女王と言っても、所詮彼女は、年齢十五歳位の少女である。そんな少女に一体どうして、あんな危険なメイド達が従っているのか、セドリックには全く理解できなかった。


「外交官殿、侵入者達に心当たりは?」

「残念ながら、私には・・・・・・。姫殿下はどうお考えですか?」

「大方、エステランの手の者でしょう。会談を嗅ぎ付けられたようですね」

「私もそう思います。どこで情報が漏れてしまったのかは分かりませんが、侵入者達は間違いなく我々の命を狙っておりました。会談の内容を知っていたのであれば、全て説明が付く」


 他国の人間の前では、一国の姫らしく振る舞うシルフィ。先程までの乱暴な言葉遣いも、今だけは鳴りを潜めている。

 

「何にせよ、誰にも怪我がなくて良かった。ですが、会談は明日です。このような襲撃があった以上、明日は-------」

「いや、会談は予定通り行なう。たとえ、何度賊が現れようとも、我が配下が全て排除する。そうだな、ウルスラ」

「はい、アンジェリカ陛下」


 会談は明日の予定であった。だが、このような事件のあった後では、日程をずらすか、会談を中止するべきかも知れないと、セドリックは提案しようとした。

 彼の考えは間違っていないが、アンジェリカはその提案を無視する。その理由は、彼女は一日でも早く、ジエーデルとの現状の関係に決着を付け、守るべき自国に帰りたいのである。

 彼女は国と民を大切に想う故に、国をいつまでも空けておきたくないのだ。自国を離れている間は、自分の信頼できる者達が国を動かしてはいるものの、心配で堪らないのだ。

 今の帝国は、かつての平和な小国ではない。敵対国家の侵攻に対し戦争を続ける、平和を捨て去った小国である。厳しい今の現状で、女王である自分の存在が、帝国にとってどれほど重要なのかを、彼女はよく理解しているからこそ、いつまでも国を空けていたくはないのだ。

 度重なる戦争により、不安を覚え始めている国民の支えとなるためにも、女王は常に、自国で君臨し続ける必要がある。国の支配者は、揺るぎない姿で玉座に座り、その存在を見せ付けるだけでも、民を安心させる事ができる。

 民の不安を少しでも解消し、国内の安定に努める必要がある、今の帝国の現状を深く考えているからこそ、アンジェリカは一日でも早い帰国を目指していた。


「頼もしいお言葉です。では、明日は予定通りと致しましょう」

「明日の会談は、我が国と貴殿の国の未来を左右する会談となる。明日のためにも、もう休め」

「お心遣い痛み入ります。私はこれにて失礼致します」


 アンジェリカとシルフィに一礼し、この場を後にするセドリック。

 彼の姿が見えなくなるまで待ったシルフィが、アンジェリカへと密着し、声を潜めて語り掛ける。


「どう思う?あの男」

「此度の襲撃は、恐らくあれの仕業ではないでしょう。可能性があるとすれば、やはりエステランかと」

「まあ、常識的に考えればそうよね。ウルウルはどう思う?」

「姫殿下の仰る通り、常識的に考えればエステランですが、それにしては賊の錬度が高いと見ました」

「錬度が高いって・・・・・、あんたのとこのメイド達、速攻であいつら皆殺しにしたわよね」

「我が部隊は異常ですので」

「自分で言うな!この戦闘狂!」


 鋭いツッコミを入れ、大きな溜息を吐くシルフィ。「その気持ちはよく分かる」と、心の中で思うアンジェリカ。

 

「もういいわ、メイ・・・・・アンジェリカ陛下の無事は確かめた事だし、部屋戻って寝るわ。賊の侵入のせいで、護衛の騎士達に叩き起こされたもんだから、眠いったらありゃしない。ふわぁ~・・・、二人ともおやすみ~」


 最早、どちらが偉いのかわからない。

 欠伸を殺さず、一礼もせず、アンジェリカに背中を向けて、自分の寝室へと戻っていくシルフィ。

 そんな彼女を見送った後、アンジェリカもまた、ウルスラと共に寝室へと戻る。部屋に入ったアンジェリカは、再び眠りにつこうとする前に、ウルスラへ話しかけた。


「捕らえたという賊の指揮官から、情報は引き出せるのか?」

「お任せ下さい陛下。必ずや、何もかも洗いざらい吐かせます。メイド部隊総出で有りとあらゆる拷問を行ないますので、吉報をお待ち下さい」

「・・・・・・全て任せる。私は休む、お前も少しは眠れ」

「いえ、私は室内にて、陛下の御傍に控えます」


 こんな事件があったばかりであるため、女王の護衛強化のために、一晩中をアンジェリカの傍を離れないつもりでいる、メイド長ウルスラ。

 それだけ、彼女はアンジェリカの身を案じている。時々彼女はアンジェリカの身を案じる余り、無茶な事でも平気で行なってしまう。

 

「明日は帝国にとって、この先の進むべき道を定める大切な会談です。この会談は、陛下無くして成立致しません。ならば私は、己の全てを懸けて陛下を御守り致します。たとえ、この身が朽ち果てようとも、最後の瞬間まで、貴女の傍を離れはしません」


 ウルスラの決意は、まさに鋼。誰にも彼女の鋼の意思は変える事ができない。護衛と戦闘で疲労しているであろうウルスラを休ませようとしたアンジェリカだったが、もう諦めた。

 自分が先程まで寝ていたベッドに近付き、改めて床に入る。ベッドの上に寝た彼女に、ウルスラが毛布を掛けた。


「おやすみなさいませ、陛下」


 瞼を閉じて、再び眠りに入っていくアンジェリカ。そんな彼女から目を離さず、傍に控え続けるウルスラ。


(ありがとう・・・・・・・)


 様々な不安を抱えるアンジェリカ。しかし、自分の傍には年上の優しく頼もしい、まるで母の様な女性が傍に居てくれる。傍に居てくれるだけで、救いとなるのだ。

 故に、彼女は感謝した。あの日も、そして今も。


(ウルスラ、私は必ずやり遂げて見せる・・・・・・・)






 へスカル国で行なわれる、帝国と独裁国家による極秘会談。

 帝国女王のもとに届けられた一通の書状が、全ての始まりであった。アンジェリカが憤怒したその書状の送り主は、ジエーデル国外交官である。

 彼の送った書状の内容は、両国間での休戦協定を結ぶための、交渉を行ないたいというものだった。

 これに激怒したアンジェリカ。書状を読み、彼女が激怒した理由はこれである。独裁国家ジエーデルは、彼女にとって憎むべき仇敵。ジエーデルが侵攻を開始した事により、帝国は二度に渡る戦争を戦い、多くの犠牲を払った。

 そして彼女は、ジエーデルの侵攻をきっかけに、かけがえのない存在を失った。

 自国の領土拡大のために突然侵攻を開始して、自分達から戦端を開いておきながら、今度は自分達の都合で戦いを終わらせようとしている。だから彼女は、怒りを露わにした。

 絶対の仇敵であり、滅ぼすべき国家。彼女にとっても、帝国の民にとっても、そして、あの男にとっても・・・・・・。

 憎しみの炎を燃やす彼女達に、この休戦の申し込みは、彼女達の怒りを誘っているとしか思えない。外交官セドリックは、それを承知で休戦を持ちかけたのである。

 彼の狙いは、戦争状態と言える両国間の関係を、一先ず落ち着かせる事にある。帝国と交渉し、休戦協定を結ぶ事で、自国の宿敵を排除しようと画策しているのだ。

 ヴァスティナ帝国は、ジエーデル国の宿敵エステラン国とも戦争状態にある。小国でありながら、二国と戦争状態にある帝国は、どちらか一方との戦いに、全力を注ぎたいと考えている。

 どちらかと言えば、帝国はジエーデルではなく、もう一つの宿敵であるエステラン国と決着を付けたいと考えていた。帝国軍を含む、南ローミリアの戦力の多くは、ジエーデルとエステランの侵攻に備え、戦力をへスカルとチャルコの国境線に配置している。そのため、ジエーデルやエステランに比べ、元々の戦力が少ない南ローミリアの国家群は、唯でさえ少ない戦力を二分して、それぞれの国境線に置いてしまっているのだ。

 現状の南ローミリアの戦力では、どちらの国と戦っても、防衛線を展開して撃退するのが精々であり、戦争状態の解決は不可能である。帝国の望む戦争状態の解決とは、敵対国家であるこの二国を滅ぼす事であるため、膠着状態となってしまっている現状を、如何にか打開したいのである。

 よって、ジエーデルとの休戦交渉は、帝国にとってまたとない好機であった。これを上手く利用する事により、敵対国家の一つであるエステラン国に対して、全戦力を投入する事が可能になる。そうなれば、今度は帝国の反撃が始まる。

 帝国の侵攻が順調に進めば、エステラン国を滅ぼす事も夢ではない。対ジエーデル戦に戦力を割いている、今のエステラン国が相手であれば、帝国が勝利を収める確率は高いだろう。

 ジエーデル外交官セドリック・ホーキンスの戦略は、順調に進行している。帝国はこの誘いを断るわけにはいかず、交渉が無事終われば、彼の思惑通りの形が完成するだろう。

 両国の戦争状態を停止した後、帝国の軍事力を利用する事により、ジエーデルにとっても宿敵であるエステラン国を、今度こそ滅亡させる事が出来る。その後は、豊かな土地に恵まれた南ローミリアを、ジエーデル国が支配する番だ。

 今までジエーデル国は、エステラン国の存在もあって、南ローミリアへの侵攻に十分な戦力を投入できなかった。実際、ジエーデルの侵攻軍が南ローミリアの連合軍と戦った際、エステランはジエーデルに対して進行を開始した。そのせいで、ジエーデルの侵攻は失敗に終わっている。

 全ては順調に推移している。後は、明日の交渉を待つのみ。

 これ以上、邪魔者が現れない限り、全てはセドリックの思惑通りだ。






 その日はやって来た。

 昨晩の襲撃により、至るところが血の海となった城内は、帝国メイド部隊の徹夜の頑張りによって、全て綺麗に掃除されていた。ちなみに、一睡もせずに城内全てを掃除し切ったメイド部隊一同は、疲れ切って現在爆睡中である。

 だが、彼女達はまだ知らない。目を覚ました時、メイド長ウルスラによるお説教が待っている事を・・・・・・。

 侵入者迎撃で活躍したメイド部隊はそのまま寝かせ、一晩中護衛をしていて一睡もしていないウルスラと共に、会談の席へと向かうアンジェリカ。ちなみに彼女は、今とても眠い。


「あまり寝付けなかったようですね」

「・・・・・・」

「昨晩の疲れが残っているのでしょう。御無理はなさらないで下さい」


 完徹してアンジェリカを護衛していたウルスラは、欠伸一つ漏らさず、いつも通りの寡黙で真面目な姿である。対してアンジェリカは、何とか欠伸を堪えながら、会談の事を考えて、眠らないよう意識を集中させていた。

 

(眠れなかったのはお前のせいだ・・・・・・)


 口には出さず、アンジェリカは心の中で文句を述べる。

 一晩中護衛をしていたウルスラの、殺気だった視線と気配のせいで落ち着く事ができず、全く寝付けなかったのである。

 しかし、その文句をウルスラに言うわけにもいかず、彼女は眠気眼のまま黙っていた。


「おや、随分と眠そうですね陛下。ふふっ、夜更かしでもしていたのですか?」


 会談の場へと向かうため、城内を移動していた二人の前に、彼女は現れた。美しく長い金髪と、豊満な胸。深紅のドレス姿の、絶世の美女がそこに居た。

 彼女は、ヴァスティナ帝国宰相リリカ。自称にして事実の、美人で天才な宰相である。


「夜更かしなどするか。昨晩の事は知っているだろう」

「ええ。まったく、私の眠りを妨げる輩には困ったものです。おかげでこの通り寝不足でして、・・・・・・ふわぁ~」


 女王の前だと言うのに、如何にも眠そうな表情で欠伸する、恐れを知らない宰相リリカ。まあ、帝国の人間で彼女に逆らえる者など、ほとんど存在しないのだから仕方がない。

 こんな女性だが、彼女こそが今回の会談においての、帝国側の切り札である。

 

「リリカ、わかっているだろうな?」

「ふふふっ、勿論です陛下。今日の会談、あれの好きにはさせません」

「期待している」


 不安を感じさせない、妖艶で余裕のある笑みを浮かべるリリカほど、この場で頼もしさを感じさせる存在はないだろう。そんな彼女とは対照的に、表情に影を落とすメイド服を着た人物が、リリカの後ろよりそっと現れる。


「ふふっ、今日も護衛を頼むよイヴ」

「はい、リリカ姉様・・・・・・」


 宰相リリカの護衛として、メイド服姿で彼女の傍に控えるイヴは、悩みや不安を抱えた表情を浮かべている。昨晩のあの時から、ずっとだ。


「可哀想に、陛下に冷たくされたのを気にしているのですよ。あんまり可哀想だったから、昨日は少し可愛がってあげましてね」

「ちょっ、リリカ姉様!?」

「この子は良い声で鳴くのですよ。ふふ、陛下にも一度聞かせたいものです」


 顔を真っ赤にし、慌てふためくイヴの姿。そして、妖艶に笑うリリカ。

 一体どんな事をされたのか、リリカはそれ以上語らない。故に、何があったのかつい想像してしまったアンジェリカは、数秒の後、頬を少し赤らめた。

 

「冗談ですよ。本当は、あんまり可哀想だったから添い寝してあげただけです」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ふふふ、一体何を想像されたのです、アンジェリカ陛下?」


 完全にリリカに揶揄われてしまった、女王アンジェリカ。帝国の絶対的支配者を揶揄える者など、国中探しても誰もいない。ただ一人、彼女を除いてだが・・・・・・。

 リリカはアンジェリカを一発で不機嫌にして、ただ笑うのみである。軽く咳払いし、揶揄われた事を無視して、アンジェリカは歩き出す。


「無駄話は終わりだ。行くぞ、会談の時間に遅れる」


 そう言って歩みを続ける彼女の後ろに、三人が続く。不機嫌そうなアンジェリカだが、内心彼女はリリカに感謝していた。

 イヴの姿を見た時、彼女はどうして良いかわからなくなっていた。自分の言葉がイヴを傷付けた、その自覚はある。故に彼女は、イヴに対してどう接して良いか、わからなくなってしまっていた。

 そんなアンジェリカの気持ちを、持ち前の勘の良さで即座に察したリリカは、二人を揶揄って見せたのである。そうやって、場を流したのだ。

 これから会談へ臨む彼女に、余計な迷いを与えない為という、宰相の責務の一環としての考えもあっただろう。だがリリカは、皆の姉的存在であり、二人よりも大人なのだ。ちゃんと二人の事を想い、気を遣ってくれたのである。


「さて、早く終わらせて帰るとしましょう。皆が陛下の帰りを待っておりますし、ここにはいじりがいのある者が少ない」


 この発言は冗談ではない。彼女はそういう女性だ。

 頼もしき者達。自称にして事実の美人で天才な宰相と、元軍人のメイド長、帝国一の狙撃手を従えて、何も恐れる事なく会談の場へと向かうアンジェリカ。

 彼女達は、たとえ相手が独裁者の統べる大国であろうとも、負けるつもりは毛頭ない。この先の未来、必ずあの二国を滅ぼすために、アンジェリカは漆黒のドレスを纏い、戦いの場へと赴く。

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