クダラナイきっかけ
イジメとまでは行かないけど、クラスで何だかウザがられてる時がある。きっと誰もが通る道。
ソレとは違うとしたら?
休んだ次の日、いつものサボり場である体育館の床下の倉庫に向かった。
「風邪大丈夫だった?」
意地悪そうにヤツは嘲笑った。
「俺がハブられる理由を教えてくれ。」
卓士は驚いたように猫目をまん丸にしてからいつもの無表情に戻った。
「誰かがこう言ったんだ。『幸田咲音は梶木楓と付き合ってる』ってね。」
「はぁ?ちげぇし。」
「そして、ある人は言う。『梶木は幸田に意地悪してるからソレはない』と。」
蒸し暑いのに、何でこんな場所にいるんだろう。なんて一瞬意味の無い事を考えていた。なるほどな。だんだん分かって来たぞ。
「人気者の幸田に意地悪する俺がハブられて当然ってことかよ。バカバカしい。」
「注目浴びる人ってさ、いきなり構われなくなると危なっかしいんだって。」
確かに。卓士は正論を言ってる。けど、咲音なら大丈夫に決まってる。
「好きなんでしょ?」
「…んだよいきなり。」
その日からクラスのヤツらは手のひらを返したかのように、普通に接するようになった。
この時はまだ俺もガキすぎて自分の事で精一杯だった。まさか、好きなヤツの事さえ見えなかったなんて今ではあり得ねぇんだ。