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朝から楓
梶木楓。
それは俺だ!
顔良し、スタイル良し、性格良し。さらにスポーツ万能と来た。
「ちょっと邪魔。」
俺はモテモテで
「朝からうるさいんだけど。」
人気者。
「…。」
「おう、幸田。朝からすげぇ(可愛いの意味)顔だな!」
幸田咲音。俺の幼馴染みで
「幼馴染みで何よ。」
「バカなヤツ。」
スタスタと俺を追い越すその姿は、華奢なのに背筋が綺麗に伸びてたくましい。ヤツは中学に入って急に女らしくなった。
だからかな。
最近自負でも情けねぇけど、照れ臭いのか普通に話しかけるタイミングを忘れる。
「好き…か。」
「ん?」
「お前に言ってねぇし!なぁ、紅葉。」
小学生の癖に、紅葉冷ややかな笑顔で俺の背中を叩いた。
それが中1のもどかしい朝の始まり。