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鈍感な妻、浮気をする男は愛人の言葉に……

掲載日:2026/09/06


「大丈夫だよ」

男は安心させるように愛人に囁いた。

「悪い男ね」

「妻は鈍感な人間だ」

夫の自分が浮気をしていても気づいていない。

その言葉に女はニッコリと笑った

男は満足そうに笑うと女を抱きしめた。

付き合い始めて二ヶ月がたとうとしているが、妻は自分の浮気に気づいてはいない。

疑ってさえいないのだろう。

だから自分は安心して、浮気相手と過ごす事ができるのだ。



「ねえっ、あなた」

その夜、家に帰ると妻はお願いがあるのと呟いた。

珍しいと思いながら夫が尋ねると猫が飼いたいと言い出した。

「構わないよ」

夫の言葉に妻は、にっこりと笑った。

「良かった、週末に友人が連れてきてくれることになっているの」

「ペットショップじゃないのか」

妻は頷いた。

「今はペットを買うときも厳しいのよ。ちゃんと飼育できるのか。働いていないと無理なのよ、飼育放棄する人だっているし、それに」

妻は言葉を飲み込んだ。

言葉にはしない、ただ視線だけを向けた。


週末、自宅に戻った夫は玄関の靴を見て、不思議そうな顔になった。

見たことがあると思ったのだ。

いや、気の所為かもしれない、だが、奥から聞こえてきた笑い声にどきりとした。

「ただいま」

女友達が来ているのか、珍しいなと思いながら家の中に入る。

「お帰りなさい」

妻の声、続いてお邪魔しています、女性の声に男の視線は釘付けになった。

妻と一緒に楽しそうに笑っている見覚えのある女性は自分の愛人だ。

どういうことだ、心の中がざわついた。

平静を装いながら、挨拶を返す男に妻と愛人はニッコリと笑った。

「あなた、この子よ。可愛いでしょ」

男は妻の言葉にどきりとした、妻が灰色の子猫を見せる。

「名前はね、迷ったんだけど」

妻が口にした名前に驚いた。

それは愛人の名前だ、自分が愛人を抱く時、ベッドの中で囁く時、自分が口にする名前だ。

その名前はやめろと言いたかった、だが、口化ら出てこない。

「ありがとう、大事にするね」

子猫の撫でながら微笑む妻の顔に夫は何も言えない。

まさか、自分の愛人が妻と知り合いだったとは驚きだ。


「どういうことだ、妻と知り合いだったのか」

偶然よと愛人は笑った。

「猫の貰い手を探している人がいるって、その繋がりなの」

大丈夫と愛人は笑った。

「もし妻にばれたら」

「鈍感な人間、なんでしょう?」

男の顔は一瞬、戸惑った表情になった。

そんな自分を愛人は笑った。


「ご飯よ」

妻が家で猫の名前を呼ぶたびに、夫は妙な気持ちになった。

だが名前を変えろと言ったら、どうしてと聞かれたら、自分は理由を言えるだろうか。

妻は鈍感な女だと思っていたのだ、あのときまで。


「ねえっ、あなた、もしかして嫌い?」

突然、聞かれて驚いた。

「どうしたんだ」

何故、そんなことを聞く。

「だって、この子の名前を呼ぶ時、気にしてるみたい」

そんなことはないと言いたかった。

「もしかして懐いてないとか、思ってる?雄だから、仕方ないのかも」

えっっ、夫は驚いた。

「今なんて、この猫は、雄なのか」

驚いたのは妻のほうだ。

「あっ、名前で、もしかして女の子雌だと思っていたの。雄なのよ、顔立ちだって可愛いというより、綺麗な顔立ちでしょ」

綺麗な顔立ち、ふと愛人の顔を思い出した。

彼女は綺麗だ、美人だから自分から近づいて関係を持ったのだ。

妻が猫を可愛がっている、自分は知らなかった、可愛いし綺麗な顔立ちをしているから雌猫だと思っていた。

まさか、自分は何を考えている。

その日、家に帰ると愛人か来ていた。

妻と一緒に立っている、夕食の支度をしているのた。


「仲がいいんだな」

その日、行為の後で愛人に尋ねた。

愛人は不思議そうな顔だ。

何故、そんなことを聞くのか、分からないと言いたげだ。

「心配しているの。あたし、あなたの奥さん、好きよ」

そう言って愛人は笑った。

「どういう意味だ」

「奥さんだって、あたしの事、好きよ、そうね」

愛人は男を見た。

「夫のあなたより、なんてね」

男の表情が、わずかに変わった。

「何を言っている、女同士で」

男の言葉に女が笑った。

「気づかなかったんですってね、雄猫だって」

驚いたわ、そう言って女は笑った。

「妻は鈍感な人間なんでしょう、あら、どうしたの」

男の表情が変わった。

「あたしが、もし」

愛人が言葉を続けようとした時。

「やめろ」

男は思わず叫んだ。

「どうしたの、まさか、あたしが……」

言葉が続かない。

いや、そんなことはない、自分の愛人が。

そんな事あるわけないと男は思った。

「気づかないんでしょう」

女が口を開いた。

「鈍感だから……」

あとに続く言葉に男は耳を塞ごうとした。


「ただいま」

「お帰りなさい」

帰ってきた夫は玄関の靴を見た。

「来ているのか」

「ええ、どうしたの」

妻の言葉に返事ができない。

気づかないのか妻は?

(鈍感なんだ)

妻の笑顔がそう言って自分を見ている。

夫は目を逸らした。

気づかないふりをするしかなかった。

見ないふりするしかなかった

自分のベッドを。



転変のざまぁ系です。

さっくりと読んでください。

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