表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/75

03 「流れ星」と「全力ダッシュ」

 言い切ってから、流れ星に願い事をちゃんと三回言えたの初めてかも! と驚いた。

 ……ん、あれ? 三回目、言い間違えたかも?

 それに、願い事にしては欲張りすぎたかな?


「でもまぁ、人生で初めて流れ星にお願い出来た事に満足しておき……」


 ゴゥという聞きなれない音に目を開くと、力強く見えていた流れ星がこっちに向かって落ちて来てる!? アタシとの距離が縮まるにつれ、段々と大きく見えてくる!


「うげっ!? ちょっ! なにこれ、何コレ、ナニコレぇえーっ!!」


 ヤバイヤバイヤバイヤバイっ! ヤバイってーっ!

 こんなの何処に逃げろって言うワケーっ!? ムリムリムリムリーっ!


 とりあえず走っちゃったけど、一体何処に逃げればいいのっ!?

 田舎だし! 高い建物なんてないし! 住宅街からは離れてるし! 辺り一面雪だしっ!

 美少女(自称)にあるまじき「うげっ」なんてセリフ言っちゃったしーっ!


「って、今はそんな事どうでも良くないかぁーっ!?」


 元旦早々、流れ星から全力ダッシュで逃げる女子なんて、アタシしかいないんじゃない!?

 後ろからゴゥという音が本当に聞こえて来た様な気がする。

 膝下まで積もった雪道を「うぉぉおおーっ!」と声を上げ全力で走りながら、チラッと後ろを振り返ると、直ぐそこまで蒼紫の光が迫って来てる。


「あーっ! もうムリーっ! これ死んだわーっ! 絶対死んだーっ!」


 アタシの人生、春を迎える事なく終了か……短い十四年でした。有難うございましたっ!


 ――『 完 』




「……ってなるワケあるかぁーっ!!」


 ナニコレ! 流れ星じゃないじゃんっ!? 近くで見たらそんなに大っきくもないしっ!

 どんだけ曲がっても追いかけて来るとか意味分かんないんだけどーっ!?

 逃げまくってたら、稲荷神社まで戻ってきちゃったし!


「ハァッ! ハァッ! ハァッ! ……なんでっ! なんで一周してるワケっ!?」


 あー……ダメだ、腹が立ってきたっ!

 いくらアタシが美少女(三回目)だからって、これ以上ナメてもらっちゃぁ女が廃る!

 かくなる上は! ……ヤるしかないっ!!


「女はぁーっ! 度胸っ!!」


 クルっと体を翻し、迫って来るその勢いを利用して……投げ飛ばすっ!!


「とぅっ!!」


 その勢いのまま、アタシは積もった雪の上へ仰向けに倒れ込んだ。

 満天の夜空を見上げる目の前を、舞い上がる粉雪と蒼紫の光が通り過ぎて行く。


 ――ドゴォォッ!! ガゴッ! ガラガラララ……ッ!


 お稲荷様の石像が粉々に砕け散った音がしました、ごめんなさい。

 結構デカイ音がしたけど、近くに家なんて無いから誰も来ないよね? 大丈夫だよね?


 ……よしっ! セーフっ! ならば、ここは高らかに勝利宣言だ。


「しゃーっ! ヤってやったぞぉぉおーっ!」


 仰向けのまま片腕を突き上げて叫んでみたけど……一体アレは何だったの?


 起き上がって雪を払う。

 隕石じゃないのはもう分かってる。

 そもそも発光してる時点で絶対変だし。

 雪に埋もれたせいで幻想的なボワッとした光になって怪しさ倍増だし。


「まさかUFOとか宇宙人って事は……ない、よねぇ?」


 恐る恐る近づいて掘り起こすと、中から出て来たのはまさかの……。


「……天狗っ!? はっ? うぇっ!? ……マジ!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ