面接
漸くです。此処まで長かった・・・
そうして三ヶ月が経過した。
宿屋の増築が終わり、宿屋の方の本格的な営業は家具を配置してからと言う事になったが従業員寮は稼働する事になった。
現状では簡素なベッドしか置いて無いが、近い内に親方が家具工房の方に声を掛けてくれると言うので問題は無い。
一度城壁都市を離れる従業員も複数居たが、家族を連れて戻る事を希望していたので家族分の通行税とほんの少しだけ支援金を渡した。
戻る事が確定しているらしく皆感謝はすれど遠慮はしなかった。一応、家族からの了承が得られなかった場合は返金すると申し出てくれた人も居たがその場合は今回の件の見舞金だと思えば良いと伝えると泣かれた。解せぬ。
スケルトンとコボルトは最初から雇用希望だったそうだ。コボルト達は攫われる前の職場が酷かったから此処で働けないなら狩人にでもなろうと思っていたらしい。
獣人達は何故か響に対して恭順の姿勢が徹底している。また彼らはかなり遠方から連れて来られたそうで、帰るとしても隠居する頃だろうと言っていた。
そんなこんなで十七名が雇用希望で居残りだ。
雇用希望書で予め誓約の事や好きな事なども聞いて居たので今日は軽く面接をしてついでに誓約を済ませてしまおうと響は改めて雇用主らしい格好をしたらロヴェルに止められた。
「エコー様、其方の御召し物は?」
「ん?スーツ!」
日本で着ていた馴染みのある物だ。面接官の担当はした事が無いが、受けた事はあるので問題ないだろう。と言っても改めて聞く事はほぼないので形式だけの物だが。
しかしロヴェルは困ったような顔をしてチラリと目線を下げると即座に顔を上げ響の顔を真っ直ぐに見て言う。
「、、、いつもの服装でお願いします」
「え、何で「いつもの服装で、お願い致します」
ロヴェルは年若い女主人が見慣れない服を着て足を露わにしている事をどう指摘するべきか迷って結局其方は伝えずにただ着替えて欲しい旨を述べる。
いつもの服装―――神の用意してくれた踝まで隠れる丈のワンピースであれば問題ない。そう考えての発言だったが、響はロヴェルが頑なに響の顔以外を見ないのに気付いた。
(、、、あー、この格好ってはしたない?そういや女の人は足を出さないよね、この世界、、、)
そう言う風習は元の世界と変わらないのだろうか、と思いつつ響はスカートではなくパンツスーツに変更した。するとロヴェルがあからさまに安堵したので自分の考えが正解だと解った。
「これならどうかな?」
「よろしいかと。一見すると男性用の仕立てですが、キチンと見れば女性用の仕立てであると理解出来ますし、エコー様に大変良くお似合いです」
「おぉ、、、執事とは美辞麗句スキルも兼用していたのか、、、じゃない、取り敢えず面接じゃー!」
ドンドン行くよー。因みに響の着替えは謎の光と靄で保護されてます。




