封緘師
猫の日ですが、きな臭い話です。
「初めてステータスを唱えたのは五歳の時でしたが、その時には習得していたと思います」
ちょっと苦しそうに言うフィルフレーアには恐らく秘匿されたステータスが見えていない。何処まで話すか悩む。
しかし気になった事を取り敢えず聞いた。
「あのさ、言いたくなかったら言わなくて良いんだけど、、、もしかして里を追い出されたの?」
「、、、エルフにとって、魔法を使えない者は真面な扱いを受けません。妖精眼はレアなスキルになりますが、そもそも魔法が使えない時点で総べての権利を持たないのです」
「そっか、、、ねぇ、里の中と同族に限って、聖女とか救世主、それから封緘師って聞き覚えある?」
「へ?、、、えっと、救世主、、、はないですね。ただ、聖女と言うと誰かがそんな称号を持っていたかと、、、封緘師は文献があったような、、、あれ?」
「どうかした?」
「いえ、子供の頃に見た記憶があったんですが、成長してからは無いですね。おかしいな、子供の頃は聖女様と封緘師さえ居ればって皆、、、封緘師は確か聖女様を補佐する、とかそんな方だったかと」
響は何となく察してしまった。恐らく、元々は聖女の何かを封印する、もしくは聖女を何かに封印する、そんな儀式でもあったのではないかと。
フィルフレーアも諸々を封印されているので、本人も知らない間に何かを封印させられたのかもしれない。五歳以下で行ったのなら、その反動でスキルの大半を失ってもおかしくは無いのかもしれない。
ふむ、と響は思案して告げた。
「あのさ、フィルフレーア。ちょっと酷な事を言うよ」
「、、、はい。覚悟はしてます、、、魔法も使えない妖精眼なんて、不採用でも、、、仕方ないです、、、」
「いやそうじゃなくてさ。私鑑定スキル持ちなのね?」
「え、あ、はい?そうなんですね。レアスキルですね」
「んで、スキルレベルは極まってるのね?」
「、、、、、、、えっ!?そ、そうなんですか!?」
響は一つ頷いて続けた。敢えて言葉は選ばなかった。
「フィルフレーアのステータスに見慣れない言葉が並んでるの。封印とか、呪詛とか、エルフ族繁栄の呪いとか、、、生贄とか」
「、、、まさか」
完全に真っ黒な単語の羅列にフィルフレーアが顔色を変えた。
毎日投稿は流石に厳しくなってきたこの頃。