※ロヴェル・ハルトンの誓い
今回はロヴェル視点になります。
エコー様から誓約について提案を受けたのは既に重要な仕事を任されている状態になってからだった。
命令が無いのなら此方から願い出るべきかと考えて居たので思わず安堵してしまったが、他の従業員を雇った場合はそのような仕事に関わらせる前に誓約をするように提案すれば問題ないだろう。
何故なら自分は彼女を裏切る事など決して出来ないのだから。
そんな風に考えながら誓約を交わした。、、、交わせてしまった、だろうか。
神殿に行く予定を考えていたらエコー様は自らの魔法で誓約を交わしてしまわれた。空間魔法や様々なスキルを持っているだろうとは思って居たが、流石に驚いた私にエコー様は自身の事情を説明してくれた。
それは驚愕と言う言葉だけでは済ませられない程の物だった。
エコー様が誓約を求めたのは稀な書式の保管や金銭の流れの把握などと言う事ではなくもっと重大な秘密―――あらゆるスキルを習得出来ると言う事だったのだ。
そしてそれが譲渡出来るとなれば各国の王族、各種族の長が挙って彼女を狙うだろう。エコー様は既にその懸念に至り警戒しているのだ。
嗚呼、商業ギルドでの登録に金を惜しまないと言ったのはそう言う意味だったのか。確かにステータスを知られてしまえば一発でバレてしまう。
如何にして主を守れば良いのだ、と非力なスケルトンである己を呪った。急激にステータスも伸びて来たが、冒険者などに比べれば非力な方だろう。
だが、それでも動揺を押し殺して告げた。
「では、今後も話は此方で、と言う事で宜しいですか?」
「うん。これからもよろしく、ロヴェル」
そう言って差し出された手は、まるで貴族のような、幼子のような手だった。
苦労を知らないと言えばそれまでだろう。だが、私はこの手が救い上げてくれた存在を知っている。
この手が誰かの為に躊躇いなく差し出される事を知っている。時勢や常識には疎いと言うエコー様。ならば自らがそれらを担わねば。
(この方を、守らねば、、、私を救って下さった、そして今もまた守ろうとして下さるこの方を、、、)
恐らくエコー様は握手を求めているのだろうと解っていた。けれど、現状は決して対等などではないのだ。だからその手を額に当て忠誠を誓う。
「此方こそ」
絞り出した声はみっともなく震えていた。それでも、エコー様は笑顔を浮かべて下さったのだった。
ロヴェル視点だと響が女神もかくやってな感じですけども、実際事は無いと言う。