トラウマ化?
ストックが無くなったら曜日投稿とかにしようかなぁと思案中。
翌日、朝早くから訪れた大工達は見事に積まれた木材の山に気付き、ある者は幻ではないかと木材を指で突いてみたり、久々に大工らしい仕事が出来ると喜び、またある者は木材の素晴らしさに気付き響に対して敬意を抱いたりしていた。
響はと言うと直接現場に行く事はしないようにしようと宿屋でロヴェルと共に帳簿を見つつ給金の事について話して居た。
ロヴェルは響があまり一般的な金銭感覚を持っていないと知ると率先して説明や解説役に回ってくれた。執事と言うよりも事務員のような仕事が多い現状が少し申し訳なくなった響が謝るとロヴェルは執事は主人の仕事の代行も行う場合があるので気にする事は無いと引き続き話を詰める。
「んー、やっぱり一週間区切りの方が良いの?」
「現状を見て慣れと疲れ、そして不安が出るのがその頃かと」
響としては一ヶ月計算を前提としていたのだがロヴェルの言葉に考え直す。
「じゃあ、一週間で計算するよ」
言いながらシフト表を一覧表示で見れるように作る。手描きなのでそれなりに時間は掛かるが、昨日発見したマニュアルの機能―――『転写』が予想通りにコピー機能だったので一つ作ってしまえば後は響が人間コピー機になれば良いのだ。
(、、、ん?もしかして印刷関係じゃ最強の能力じゃない?)
とは言えあまり目立つのも得策ではないだろう。為政者に目を付けられたら折角のセカンドライフが逃亡生活である。
響は権力者に取り立てて貰って贅沢したい訳ではない。ぶっちゃけ楽な暮らしはしたいが、自由を犠牲にしてまで欲しくは無いのである。
そんな風に考えつつ書類を作り終えて計算して居ると暫く出しっぱなしにしているステータス画面に物凄く見覚えのある単語のタブがあった。
【電卓】
好奇心に勝てずに押してみる。するとステータス画面の横に別のパネルが出現し、響の手元の書類の数字を勝手に計算してしまった。
ぼんやりとそれを見つつ、響はパンっと手を合わせて念じる。ロヴェルが唐突な奇行に訝し気な目を向けたが真剣な様子を見て直ぐに仕事に戻った。
(神様、私の第二の人生を充実させて下さってありがとうございます、でもこんなに至せり尽くせりだと人間は堕落します、、、!!)
今後無事に生き抜く為にも過度な手助けは御遠慮願いたい。例え神のトラウマと化して居ようが知ったこっちゃない。
軽く頭を振って計算に戻る。堕落防止の為に一度計算してから電卓機能で確認だけする事にした。
「ロヴェル、ロヴェルから見て良いなって人居たら教えてー」
「畏まりました。条件はどのような?」
「事務員かな。それのチェックと来客の時の対応、それから私の補佐がロヴェルの仕事だから単純な計算とか書類作成は別の人に頼みたいから」
現状は宿屋に伝言を頼んでいるのだが、その内に此方に直通で話が来るようにしなければ仕事として成り立たないので方法を考えなくてはならない。
ある程度の人員が揃ったら寮とは別に店舗を構える事も視野に入れようと響は今後の展望を軽く思考に描く。
最初は嫌な思いをしたら直ぐに移動、と考えていたがそんな事も無く今日まで来たので今では多少の事には目を瞑る。それに、響が移動しても従業員が此処に残りたい場合もあるだろう。
その場合は守秘義務などをどうするかの問題もある。
(いざとなったら誓約、かな。神官が使えるって言ってたし)
三ヶ月の間にその辺の事も考えなければならないな、と思いつつ響は仕事を捌いて行く。しかしふと自分と同じように作業をしているロヴェルを見て思った。
(最初に雇ったのもロヴェルだし、出来れば先に教えたいけど、、、)
現状はロヴェルへの信頼だけである程度の事情を説明しているだけだ。それはロヴェルの安全への配慮でもある。
(そもそも、誓約って安全なのかな?一応私も使えるし、効果は解るけど)
ヘルプ機能で確認してみる。
【誓約】
神聖魔法スキルまたは光魔法スキルにより交わされる物。誓約により交わされた物事は順守され、あらゆるスキルに影響されない。秘密厳守等の誓約が交わされた場合は対象以外にその事を話せない。話そうとすると一時的に関連する記憶を失う為、証人などの保護に使われている。
響のスキルから得た知識との差異は無い。使えそうだな、とロヴェルに声を掛けてみた。
「ロヴェル、私が秘密順守の誓約してくれって言ったらしても良いと思う?」
「此方からお願いするかエコー様から命じられるかの差だけです」
「、、、そうなの?」
「えぇ。それに秘密順守は基本的に誓約する側を守る為の物ですから」
「それもそうだね。じゃあ誓約、、、そうだな、“ロヴェル・ハルトンはエコーの秘密を守り、エコーの不利益になる事を行わない”ってのは?」
問えばロヴェルはしっかりと頷いて返す。
トラウマ化が心配される神様。




