表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/71

8ー③

─???


 何も見えない。聞こえない。匂わない。空気の流れも感じない。今の彼女には、目も、耳も、鼻も、体もないのだから。


「セリカ」


 彼女の名を呼ぶ声がする。そうか、自分はそんな名だった。


「今の貴女は魂だけの存在。産まれてくる可能性すら潰されて、存在が不安定なの。でも大丈夫。あなたのお父さんは、自らの魂を未来に飛ばして、あなたとお母さんの記憶を持って元の時代に帰った……あなたの存在を取り戻すために」


 謎の声の主は、セリカの魂に直接語りかけていた。その声の意味するところは、こうだ。


(ウチは……パパとママの所に戻れるの?)


「そうよ。あなたは生まれるべくして生まれた存在、救星主の娘(ムスメサイア)。行きなさい、世界を救うために。そして産まれなさい、愛する両親の元へ……」


【待て】


 謎の声とは別の声が、3つ重なりながら聞こえる。


黒鼈タルタルーガの娘よ】


 それは、青い竜、白い獣、赤い鳥の姿をした魂だった。


【そなたは時を駆ける事が出来るのだろう? ならば、我々が護れな かった救星主達を、消える前に連れてゆくのだ】


「死んだメサイア達を生き返らせて、揃えるって事?そんな反則までしなきゃ勝てないほどエゲツナー帝国ってヤバイの?」


 謎の声は3つの魂とは旧知の仲なのだろうか。


【存在が禁忌ともいえる橙龍タンジェロンが何を言う。……セリカよ、黒鼈タルタルーガ蒼竜ドラガォン白獣ライゲル紅禽ケツァールのメサイアを揃えるのだ……】


 そこで、彼女は目を覚ました。そこは見慣れたコクピットの中だった。


「……行こう、幻舞。みんなの所へ、そして平和な未来へ!!」


 セリカの声に答え、幻舞は背中から紫色の光を噴き出し、飛び去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ