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4ー④

『オレは瀬田縁。 同じ幹教場だ。 よろしくな!』


『英雄の田舎は鳥取か。 出雲大社がある所だっけ?』


『まさか、またお前に会うなんてなぁ。 腐れ縁ってやつだな』


『くたばるんじゃねえぞ、英雄!』


 英雄は出会ってからの縁との事を思い出す。訓練生時代からの親友が、一瞬にして跡形もなくこの世から消えた。緑を亡き者にしたビームの発射元を確認すると、そこには見たこともない姿をした人型の機械が立っていた。腹部の穴からはビームの硝煙が未だに立ち上っている。


「エゲツニウム反応! そいつはおそらく新型のエゲツナーロボです!」


  リックが未知の敵を解析した結果を伝える。


「馬鹿な!どこから湧いて出たんだこいつは!?」


 クリスが言う通り、 次元穴から出現したエゲツナーロボ達は全て撃ち落としたはずである。


「よくもユカリを!」


 タマはアサルトライフルの残弾を全て撃ち尽くす勢いで謎のエゲツナーロボめがけて発射する。謎のロボはそれをひらりと、軽快な跳躍でかわす。


「うおおおおおっ!!」


「Ahaaaaa!!!!」


 英雄はメイス (槌)を、クリスはハチェット (斧) をそれぞれの乗機に把持させて左右から挟み討つ様に振り下ろした。


「なにっ!?」


 謎のロボは左右の掌で、英雄機とクリス機それぞれの振り下ろした手の手首部分を受け止め、さらに左右の足を水平に開脚する様にして各機の腹部を蹴飛ばした。対角線上に30メートルほど機体を吹っ飛ばされた英雄とクリス。


「何だこの動きは……」


「まさかコイツ……」


「そのまさかですよヒデオ、クリス!その機体は内部に生命反応があります!」


 リックが機体に内蔵された生命探知装置ライブシーカーで敵機をスキャンし、 その結果を伝える。


「その機体は……有人機です!!」


 これまで地球に現れたエゲツナー帝国の機体はほぼ無人機であった。「ほぼ」と言うのは、飛行戦艦の様な大型機体と、帝国幹部ホア・ホーマ将軍なる人物が駆るエゲツナーロボのみ有人操縦であった。 その理由はエゲツニウム炉という爆弾の如き危険なエンジンを搭載している為、有人機では搭乗者の撃墜が即死に直結するので兵力を無駄にしない為に原則として人は乗せないというのを、敵将ホアホーマが縁の話術に乗せられベラベラと話していた。


「普段は無人機しか寄越さねえチキン野郎がどういう風の吹き回しだ!?」


 クリスのレンジャーがその体を起こす。


「乗ってんのはホアホーマの野郎か!?」


 同じく機体を立ち上がらせた英雄の問いに対し、敵機は沈黙を保つ。


「違うみたいネ。アイツは口を猿轡で塞いだって喋るような奴ヨ!それにアイツは不意打ちなんて真似はしないハズ」


 ホアホーマはやたらと騎士道精神に拘る武人気質の塊であり、彼がライバル視している英雄を奇襲するとは考えられない。その点だけはFF隊員も評価している故にタマをしてそう言わしめた。


「エゲツニウムのビームは発射までに時間を置く必要があります。そいつに時間稼ぎをさせないで下さい!」


 リックが言うと、 クリス機は再び敵機へと走る。


「先におれが行く!ヒデオとタマは援護しろ!リックは援軍を呼んでくれ!!」


 右手の斧が敵機を襲うが、敵機はこれを難無く探した。


「強いネ……!」


 クリスの MMS操縦技術はFF内でも英雄に負けず劣らず、そしてそれは地球のMMS乗りではトップクラスであり決して弱くはない。 敵機パイロットが強すぎるのだ。


「Shit!」


 斧の一撃をかわされたクリス。敵はその流れで右手の甲辺りからジャマダハルの様な刃を突出させ、クリス機めがけて突く。


「そんな大振りが当たるかよ!!」


  クリスは避けるまでもないと判断し、左腕のシールドで受け止める……


「!!!…いけない!クリス、避けてくださいッ!!!」


 リックが叫ぶように告げたが、その忠告は既に遅かった。

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