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4ー②

 エゲツナー帝国が次元転移をする際に、エゲツニウムが特殊な波長の電磁波を発する事が各国の研究の成果で明らかとなり、その電磁波とこれまでに出現した地点の統計からエゲツナー帝国の次なる出現地を予め予測する事が可能となった。そして、地球人達はこの戦いに終止符を打つべく、ある作戦を敢行する事となる。今回、出現が予測された地点は偶然にも最初の出現地点と同じアジア大陸東部。大陸から日本海に伸びる半島にある国は270年ほど前、地球人同士の戦争により南北に分かれた。エゲツナー帝国の大陸強襲により北側の人々は南側へと逃れ、意図せぬ形で南北は統一の方向へ向かったのだ。人々が避難し、誰一人とて居なくなった北側には核ミサイルと発射台が残されていた。このミサイルを次元穴に直接撃ち込み、穴の向こうにあるとされるエゲツナー帝国そのものにダメージを与える。それが此度の作戦である。かつてアジア及び世界の平和を乱すと非難を受けた核ミサイルが地球の平和へと利用される。皮肉な話であった。


「作戦概要を再度確認する。我々の任務は核ミサイルの着弾を援護する為、次元穴から出現する敵勢力を予め殲滅させる事!以上!」


「「了解!」」


「Yes,sir!」


「收到!」


「「「「「FullFoce,scramble!!!」」」」」


 返答する隊員達。それを確認すると、観音開きに開いたドナルド・トリンプの底からクリスのMMSが大地を見下ろす。


「クリストファー・ガーランド、出撃する!」


 最初に降りたのはクリスの乗機『ジャスティス・レンジャー』だった。 重装甲はアメリカンファ トボールのプロテクターを思わせ、背部に担いだ重火器と左腕に備え付けられた円形の盾は戦うために造られたデザインである事が解る。


「リチャード・マーリー、出ます!」


 リックのMMS『ネオ・ケラドダス』は本来、水中戦を得意とする機体であるが、ソナーやレーダーを改良し電子戦に特化したカスタムを施してある。エゲツニウムから発せられる電磁波を最初に感知したのもリックの機体だった。


「李玉美、行くヨ!」


 タマの機体は「天鳳Ⅲ式」。このMMSが唯一備えている特徴は、変型機構により戦闘機へと姿を変えて自由自在に空を飛べる事である。


「じゃあ生きて還ろうぜ、縁!」


「おう。お前だけくたばるんじゃねえぞ、英雄!」


 英雄と縁は共に MMS『メタルディフェンサー乙型』の拳を突き合わせた。


「瀬田縁!」

「来満英雄!」

「「出撃するぜ!!」」


 同時に降下する2種の乙型。なお、同型の2機ではあるものの、縁の機体は遠距離砲撃用のロングレンジ・ バレルを担いでいるという違いがあるのだが、他の隊員からは紛らわしいとの声が上がった為、英雄機が深緑色、縁機が白色に塗装されている。この色は英雄が陸軍、縁が海軍所属の為、それぞれのイメージカラーに合わせてあるのだとか。


 5機のMMSはパラシュートで地表へ降り立つ。上空では次元穴が開き始めている。地球の存亡を賭けた最後の戦いが始まろうとしていた。

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