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魔法少女フローズン・デュラハン

「エヴラールさん!」


 涼夏ちゃんが叫ぶ。

 さぁ、最後のヒーローが現れたようだ!


 三人の目の前に現れたのは、氷の中に閉じ込められた一人の騎士。

 薄氷色の髪をしたその騎士は、固く目をつむり、生きているのか死んでいるのかさえ分からない!


「ひどい……っ」

「何あれ!?」


 美嘉ちゃんと智華ちゃんもそれぞれ反応を示してる。

 その中で涼夏ちゃんだけが睨みつけるようにこっちを見た。


「なんてことをしているんですか……! あれは、エヴラールさんの魔力でできたものですか!? それともあなたがそうさせたんですか!?」


 ここはドリーム空間だからね! 難しいことよく分かんないし、マスコットで神使で使い魔な私に聞かれてもわかんないなー!


 涼夏ちゃんはぐっと唇を噛みしめると、氷に閉じ込められた騎士を見る。


「エヴラールさん。今、助けます」


 そう、それでいい。

 さぁ、変身の呪文を!


「トランスファー・アナザーワールド」


 涼夏ちゃんがブレスレットにキスをする。

 アイスブルーの光に包まれて、涼夏ちゃんの姿が変わっていく!


 足元はきらめく銀のラメが入った薄いストッキングに、シンデレラのようなガラスの靴。

 二の腕から手首まで、オーガンジーのふんわりとした袖で覆われてる。

 髪先から色が変わっていくと、だんだんとそれは透き通り、硬質になり、やがて顔すら透き通り、水晶でできた人形のような顔へと変わる。

 そして身にまとうのは、白いチューブトップに白とアイスブルーのシルクの布が二重に重ねられたフィシュテールのカクテルドレス。

 クリスタルでできた頭を隠すような大きな羽つき帽子がチャームポイントです!


『魔法少女フローズン・デュラハン』


 声なき声がどこからか聞こえて、金色の粒子が彼女の周囲に散った。

 やったあ! これで三人目の魔法少女が誕生したよ!


「ちょっと待ってください」

「一人だけ方向性違いすぎない!? というか色かぶりしてるよ私と!」


 美嘉ちゃんに待ったをかけられた後に、智華ちゃんから抗議の声があがってくる。えー、ソンナコトナイヨ?


 だってあれが涼夏ちゃんを現す魔法少女姿なんだもん!

 それに色かぶりしないなんてお約束はこの世界にはないし、色の濃淡で違いあるよ!


『なんでもいいです。エヴラールさんを助けられるなら……!』


 涼夏ちゃんはそう言うと、とんっと地を蹴る。

 まるでスケートのように地面をすべり、騎士を閉じ込める氷へと近づいていく。

 さぁ、見せておくれよ!

 涼夏ちゃんの力を!


『響け、私の想い―――金色の魔力の道しるべ!』


 涼夏ちゃんが両手を差し伸べると、指の先から金色の粒子がこぼれてく。徐々に増えた金色の粒子はまるで津波のように騎士を閉じ込める氷を飲み込んでしまった!


『起きてください、エヴラールさん。あなたのいる場所は、ここではないでしょう?』


 涼夏ちゃんの声とともに、金色の粒子は小さくなっていく。

 消えていく粒子の中、後に残ったのは海色の瞳を持つ騎士だけ。


「涼夏……? その、頭……」

『エヴラールさん、ごめんなさい。まだ私はやらないといけないことがあるから』

「っ、涼夏―――」


 ヒーロー・エヴラールが、何かを言いかけたけれど、そこでタイムリミット。彼もまた、元の世界へと帰っていった。


「終わった……?」

「これで帰れるんだよね?」


 ほっとつぶやく美嘉ちゃんと智華ちゃん。

 うんうん、そうだねぇ。


「いいえ、まだです」


 おおっと涼夏ちゃん?

 その手はなんだい?

 なんでこっちに戦闘態勢で手のひらを向けているのかな!?


「ええと、涼夏、さん?」

「ど、どういうこと!?」

「何をすればいいのかは聞きましたが、元の世界に私達が帰る方法は言われてません」

「「あ!!!」」


 美嘉ちゃんと智華ちゃんの声がきれーいにハモる!

 そして涼夏ちゃんが目敏すぎる!

 油断なくこちらを睨みつけてる涼夏ちゃん。


 さてさて、それでは最後のお待ちかね!

 魔法少女の鉄板ボスキャラは―――






 私だ!



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