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魔法少女ミラクル・ジュエリー

 パチパチパチ、と拍手の音。


「お見事ですねぇ」

「ふぁ!? その声は!」


 拍手とともに現れた声にいち早く反応したのは智華ちゃん!

 次に現れたのは銀の髪に琥珀色の瞳をした―――いや髪色と瞳の色被ってんじゃんとかは今さらな―――優しげな風貌の魔法使いの男性。


「ラチイさん!」

「こんにちは、智華さん。奇遇ですね」


 にこりと微笑む魔法使いに智華ちゃんがハッとする。


「めっちゃいいとこにラチイさん!! お願い! なんかよく分かんないことに巻き込まれちゃったんだけど、ラチイさんならここから出られるよね!?」


 おやおや智華ちゃん? 何ぶっちゃけてんの?


「ラチイさんは異世界転移できる魔法使いだもん! ラチイさんがいれば日帰り異世界転移なんて朝飯前なんだ」


 にこにこ笑顔の智華ちゃんに、涼夏ちゃんと変身したままの美嘉ちゃんが希望に満ちたような顔をする。

 でも、残念ながら!


「すみません、智華さん」

「へ?」

「ここは制約のようなものがかけられておりまして―――俺がこの世界から出るには智華さんに倒されないといけないようです」

「……んっ? つまり?」

「こういうことです」


 パチン、と魔法使いが指を鳴らす。

 涼夏ちゃんと美嘉ちゃんをの足元にはぱぁっと輝く魔法陣。

 魔法陣が檻になって二人を捕らえてしまった!


「ラチイさん!?」

「さぁ、智華さん。本気を出さないと、貴女がやられてしまいますよ?」

「ただのハンドメイド作家の私が何かできるとでも!?」


 いやいや、できますとも!

 状況を打破したいなら唱えましょう!

 さぁ、変身の呪文だ!


「〜〜〜っ! よく分かんないけどやるしかないんだよね!? いくよ! トランスファー・アナザーワールド!」


 智華ちゃんがペンダントにキスをする。

 あふれ出したサファイアブルーの光が智華ちゃんの身体を包み込む!


 足元は白い革のショートブーツ。サファイアブルーの編み紐が組まれていて、編み紐と同じ色のニーハイを履いている。

 手元は指ぬきがされたサファイアブルーのグローブ。

 ハーフアップだった髪は一度ほどかれ、サファイアブルーに染まると、左上のほうでハーフアップサイドになると、くるりんと縦ロールになった。

 そして身にまとうのは、白を基調としたコックコートのようなジャケットに、サファイアブルーのラインが入ったプリーツスカート。

 大きなサファイアで留められた、魔法使いのケープがチャームポイントだよ!


「魔法少女ミラクル・ジュエリー!」


 智華ちゃんの元気いっぱいな声とともに、彼女の背後に青薔薇が咲いて散った。

 すごい! さすが選ばれし魔法少女! 智華ちゃんも完璧に変身できたよ!


「ラチイさん、いくよ!」


 智華ちゃんはそう言うと、魔法使いに向かって駆け出した!

 智華ちゃんのケープが風になびく。

 まっすぐに向かっていく智華ちゃんに、魔法使いはその琥珀色の瞳を細めて悠然と微笑んでる。

 さぁ、いっちゃえ智華ちゃん!


「きらめけ、私の奇跡―――願いを叶える魔宝石!」


 智華ちゃんのマントを留めていたサファイアが大きく輝きを増す。光からもう一つの宝石が生まれて、その宝石が魔法使いへと跳んでいく。

 魔法使いの胸へその宝石が吸い込まれるのと、智華ちゃんが彼の元へたどり着くのは同時だった。


「ラチイさん、大丈夫?」


 魔法使いの体が淡く輝いた。

 彼は手を握り、開きを繰り返すと、にっこりと智華ちゃんに微笑みかける。


「智華さん」

「うん」

「よく頑張りました」


 智華ちゃんを褒めた魔法使いの姿が、風に吹かれるように消えていった。


「あの人も、帰っていったの……?」

「……」


 そうだよ、涼夏ちゃん。

 美嘉ちゃんが不思議そうに消えていったヒーロー・コンドラチイのいた場所をじっと見つめてる。


 これで二人。

 さぁ、最後はお待ちかねの―――


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