第6話笑いあう瞬間
あたしは女性らしくない、どちらかというとおっさんタイプらしい。するめをつまみにプハーッていう人、漫画の中だけかと思うでしょう? でも現実にいるのよ、それがあたしなの。
「お前には、恥じらいつーもんない訳?」
「ある訳ないじゃん、面倒」
「少しは女らしくしろよ」
「えー」
こうはゲームをしながら、会話を続ける。あたしはその画面を見ながらするめを食いながら答えた。お酒が欲しい所だけど、明日は仕事だ、休みの日には呑む事もあるけど、そこまで呑む事はない。
一応自粛してるからね──
そんな彼の背中を見つめると、華奢な体を眺めた。痩せすぎなんだけど、筋肉ついてるんだよなぁ、ちゃんと。自分と見比べると凹んでしまいそうになるけど、さすがに38キロは痩せすぎよね。胃下垂っていうのかな、結構食べてるのに、体重落ちるんだよねこうって……凄い時なんて一人で豆ごはん一合食べるんだもん、凄いよ。てか羨ましい。
あたしの視線に気づいたのか、ゲームを中断し、くるりと振り向いた。
「どうした?」
「いんや、羨ましいって思って」
「何が」
「なんでそんなに華奢なの? てか痩せすぎでしょ」
「体質だよ、体質」
「ふうん」
最低な時もあるけど、やっぱりこうやって話している時、優しい目をして聞いてくれる。だから大好きだ──なんて言えないけどね。
この人といつまでこういう生活をするんだろうと考えていると、あたしが限界になる可能性がある。二人分の生活費を稼ぐのは楽じゃない、だけどもう少しだけでいいから、この時間を楽しませて?
──カラカラカラカラ
クリームが今日も回し車で走っている、その音とこうとの空間に安心を覚えながら、今日も終わりを告げる。
「おやすみこう、クリーム」
いつしか違う道を歩もうが、少しでもいいから幸せになってもらいたい。あたしといる時は生活の部分でも、働く事が出来る間は面倒を見るから、少しでいいから公正をしよう。
きっとそれが一番いいから──
クリームのお部屋を覗くと走るのをやめて近づいてくる。キョトンとしている表情が可愛い。
皆が幸せになりますように
二人と出会えたから
現在のあたしがいる
つらい事もあったけど
あたしはあの時の事を思い出しては、懐かしさに酔いしれてる
それも一つの思い出でしょう?