第2話初めての体験!
スクロールしながらどんなサイトなのか見てみる事にした。どうせいい男なんていないだろうと思うけど、どうしても欲には勝てない、あたしって罪な女。ふむふむ職種『建設関係』か、おお! こっちは『先生』までいる……すげぇ、さすが出会いの宝庫。
「でも、サクラとかいるんだろうな」
いない訳ない、確実に奴らはいるから。カモになる女を探している出会いを撲滅しようとするKYなのが、そんなのに邪魔されちゃあすたるってもんよ。出会った事のないタイプの人がいいけど、手当たり次第送ってみるか、そう思いながら定型文のような文章を考えて適当に送り付ける作業が始まる。
ここは、そう戦場なのだから──
この時気づくべきだった、自分でメッセージをするより書き込みをする方が最速だと。女が書き込めば結構な量のメッセージが来る事を後で知った時には三時間が経過していた。
「ダメじゃん、あたしぃぃぃ」
部屋で絶叫するとピロンと通知が飛んでくる。ついさっき書き込みをしてみた結果結構な数の男性からメッセージが届いている。その中でひときわ目立った人がいた。なんだろう文章の書き方が凄く個性的で素敵な感じがしたのだ。
「この人にきーめた」
ゴロンとベッドに横になりながら、返信をする事にした。足をバタバタと子供のように動かしたりしている自分がいて、少し照れる。一人暮らしだし、誰もいない中で妄想して照れるって重症じゃない?
──はじめまして、メッセージありがとうございます、何と呼んだらいいですか?
っと、こんな感じかな? こういう出会い方した事がないからガチ初心者なのよね、とりあえず初めての返信だもの、礼儀正しく、っと………
「なんだかハマってね? あたし」
幻想的な背景からしてあたしの好みのサイト。色々な人と少し会話してみたけど丁寧な人が多い印象だった。あたしが今日登録した、と言うと親切に教えてくれる人もいたよね。一応、通話までいったけど、お互い相性があんまりって感じで疎遠になっちゃったけど、まぁ、そうなるか。
「この人はどんな人だろ」
優しい人だったらいいな、あたしをお姫様扱いしてくれて、いつもいつも甘やかしてくれる人、そんな人いたら神だわ。自分の恋愛遍歴を思い出して、苦笑いしてしまう。
理想じゃなくていいから、まともな人と恋をしたい。ねぇ聞いてる神様、お願いだからあたしの希望を夢を叶えて──
そんな時だった、彼から返事がきたのだ。神様とかうんぬんとかそんなんどうでもよくなってきたわ、そう目の前にあるチャンスを逃してたまるもんですか。
深い深呼吸をして、スマホを見つめた。