第1話出会いは突然に
いつもいつも嫌な事ばかり、そんなあたしは恋愛依存症。いつも人に恋をして失敗してそれでも諦めずに愛を求める華聯な乙女。そんな事、自分で断言しちゃうと痛い奴と思われるけれど、それでいいの。他人は関係ない、そこに出会いがある限り、永遠に恋愛依存症を貫くわ。
仕事が終わると暇になる、友人はいるけど皆、忙しいのが現実。会って遊ぶならお互い休みが合う時じゃないと難しい──ああ、社会人って本当罪、そして学生のようなときめきもない、何の為に生活してんのよ……
「まぁ、生活の為なんだけどね」
最近、思う事がある、独り言増えたなぁって、溜息をつきたくなくても出ちゃうのよね。まだ20代前半だから、若いっちゃ若いけど10代の時のようなノリはない。
「あの時、楽しかったよなぁ」
あたしの呟きが宙に空回って、体内に吸収されてゆく。いつものルーティーンでスマホの画面を見てみると一通のメッセージが入っていた。
「ん? 何これ」
よく見ると親友のあさかからメッセージが飛んできていた、いつもならそうそう連絡寄こさないのに急にどうしたのかしら、と確認してみる。
──暇ならやってごらんよ、時間つぶしになるから
そう書かれている文面の下に怪しいURLがある、クリックしたくないけど気になる、うむ。これは人間の「押してはダメだよ」イコール「押せ」って心理と同じね。まぁ、あたしの性格を知ってて、こんなメッセージ送ったんだろうな。にやついているあかさが想像出来てしまうのも、どうかなって思う。
「ええい、奴の策略だろうが飛び込むべし」
URLのバナーをタップすると「スリーブーツ」というサイトに飛んだ。月のシルエットが印象的なサイトだ、勿論恋人募集の項目もある。出会い系じゃん、これ。あたしにここで男でも探せって事かよ、おい。
「あかさの奴、こういうサイト見つけるの得意だよなぁ」
あかさとは幼稚園の頃からつるんでいる。元はいじめっ子といじめられっ子。勿論、あたしがいじめられっ子な訳であるけど、そこからどうしてだか仲良くなって、腐れ縁の状況、勿論女同士である。
「……暇つぶしねぇ」
まともな出会いにありつけないあたしを不憫に思いながら「私がチョイスしてやったんだからありがたく思いな」と自信満々になっている頃だろう。
「見るだけ………見る、か」
ほんの遊びのつもりだった。あかさのいう通りに「暇つぶし」程度のものだった。それでも経験のない世界に飛び込む感覚がして、わくわく感は否めなかったんだ。
そこでどんな出会いが待っていようと、今のあたしに知るよしもなかった。