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シャーリー  作者: カメレオン
第一章
16/47

シャーリーと写真と少年⑪

すいません!途中ですが時間の関係で一回投稿します

「痛かったなぁ。いきなり人を襲うなんて何を考えているんだい?」

 男がフラフラと歩く。シャーリーが与えたダメージが効いているのだろうか下半身には力が入っておらず歩みは安定していない。

 「遊園地で子供を襲った人間の仲間が言うセリフか?」

 シャーリーが言う。

 「あぁ…あれは強盗仲間。正確には業界同士のつるみってだけ。今回の計画には囮以外の意味はないよ」

 「随分と口が軽いな?口の留め具が外れたか?」

 「別に。もう意味がないもの…だからせめて久留和美野里、あんたを殺すよ」

 「図星を突かれたからと言って殺害予告するのはどうなのかね」

 少佐はシャーリーの後ろで備える。武器は拳銃が二丁と先ほどシャーリーがワイヤーを切った時に使ったナイフが一本。最低限身を守るための武装だった。普通ならこの装備でも十分人は殺せる。相手が普通であれば。

 「別に良いでしょ。貴方が言った通り俺は犯罪者だ。倫理なんてものは関係ないよ」

 男がポケットを漁る。中から出てきたのはカプセルタイプの薬だ。

 「それじゃあそろそろやろうか。安心して?ちゃんと苦しまないように殺してあげるから!」

 男が薬を一気に煽る。シャーリーが発砲した。特注のアサルトライフルによる発砲だ。シャーリーはこれでどんなアンドロイドも人間も殺してきた。

 「遅いよ」

 アサルトライフルの弾は男の肉を削ぎ、骨を撃つ。だが弾は途中で止まり外に排出される。つけた傷が癒え元に戻る。まるで逆再生ビデオのように。

 「化け物かよ」

「戦場で似たような物見たことありますけどあそこまでじゃなかったですね」

シャーリーがハンドシグナルを飛ばす。逃げろという指示だ。少佐もそれに応える。

 「自己紹介が遅れたね?俺は浅羽、浅羽絹だ。趣味は強盗に強姦。今はそこの女を殺すこと。よろしくね?」

 浅羽が地面を蹴る。体は最初の二歩で十分すぎる加速を得て少佐に迫る。だがそうはさせないとシャーリーが間に入る。

 「のけよ!アンドロイド!」

 「走って早く!」

 今ここに人外の勝負が始まった。



 浅羽は素手だ。少佐を攫ったときに持っていた猟銃はない。他の武器も。だが現状押されているのはシャーリーだった。

 (パワー、スピードどれをとっても人間じゃない!)

 加えて言うなら前回の戦いでシャーリーがつけて傷は癒えている。一日も経ってないのにだ。あのときも弾を素手で掴むという人を超えた動きをしていたが今回はそれに磨きがかかっている。

 (やりづらいっ)

 さらに浅羽はシャーリーの視界確保のために作られている眼球部分のカメラに直接攻撃を加えてくる。近距離戦でこれをやられると足元に対する注意もより慎重に行わざるを得なくなる。結果として攻撃が遅れる。

「邪魔だ!」

シャーリーが浅羽の攻撃をすり抜け足元に向かって発砲する。殺すわけにはいかないからだ。銃弾は浅羽の太ももに数発命中し肉を削ぐ。だが人間の中でも筋肉量の多さは上位に入る脚。普通なら貫通する威力でも現在の浅羽には意味がない。

「ガーデック!」

浅羽が吠えた瞬間、どこに隠れていたのか突如アンドロイドが姿を現した。

(光学迷彩!?)

「久留和を追え!殺すなよ!あいつは俺が殺す!」

「行かせるか!」

シャーリーはアサルトライフルの柄の部分で浅羽の顎を打つ。そのまま地上に出ようとするガーデックに対し発砲する。普通の人間ならまず当たらない撃ち方だ。アンドロイドであるシャーリーだからこそ出来る撃ち方だった。

だがガーデックもアンドロイド、それも恐らくは特別な物だろう。従来のアンドロイド程度なら難なく打ち抜くシャーリーのアサルトライフルを受けてへこみや傷が出来ても穴が開いたり活動停止することはない。

頭をかち上げられた浅羽も大して効いてないようだ。現にしつこくシャーリーに対し攻撃を仕掛ける。それはこれまで犯罪に身を置いてきた者特有の攻撃だった。武道のように洗練されているわけでもない。だが動きに無駄はあってもやりづらさというものが如実に出ている攻撃だ。まさに生き延びるための獣の武術とでも言うべきものだった。

「ごめんなさい少佐!一体そっちに行きます!」

「人の心配してる場合かよ!」

(おっしゃる通りで。さてどうしようかなぁ。)

浅羽絹。その男はシャーリーが過去に戦ったことのない相手だった。



(さて…シャーリーの話を聞く限りあいつが一人先行してきたって感じよね。てことは軍の捜索隊が来るのは早くて10分かそこいらってとこ。それまでこいつら相手に生き延びればこっちの勝ち。死ねば負け。わかりやすくて結構。)

少佐は銃を構える。片方の銃は予備としてホルスターに下げてある。

(問題はこのデカブツ相手にそれが出来るかってことか)

ガーデックは大きい。身長170程度に設計されたシャーリーと比べてもはるかに大きい。およそ2mはあろうか。見た目は銀色の塗装がなされており一切の遊びがない。ぱっと見で武装の判断が出来ないことを考えると内蔵型だろう。シャーリーにも防衛用の内蔵兵器が一点あるがそこまで強力なタイプではない。恐らくガーデックはその大きさ、デザインからより殲滅力に長けた内蔵兵器を保有していると少佐は考えた。

「話が出来るならしようか?それすら出来ないならどうする戦う?」

相手が心理機能を有している場合、会話に応じることがある。だが有していない場合は等しく。命令通りにしか動かない。

パンッと音が鳴る。どうやらガーデックに心理機能はなかったようだ。

「畜生!」

少佐は走る。相手をかく乱するように弾をバラまきながら。だがガーデックはアンドロイド。そんな動きは通用しない。

「ちっ」

足元を銃弾が跳ねる。さっきから頭部を狙わないことを見ると命だけは守られるのだろうと少佐は推測した。だがその情報は現状に対しなんの好転ももたらさないものだった。

(連射してこないことを見ると、本来は数揃えて運用するタイプか?にしてはえらく手の込んだ作りだが…畜生!必要のないことばかり考えが回りやがる!)

あばらの痛みを相まって少佐の思考は過去最高レベルに混濁していた。考えがまとまらずいらぬ方向に思考が飛ぶのだ。

「どちらにしろこんな玩具じゃ効かねぇよな!」

少佐は拳銃を相手のメインカメラに向かって発砲する。だがその銃弾はそれて相手の肩の部分に命中する。だが効かない。よろけることもない。

(とりあえずシャーリーの軍用車まで逃げれば…なんとかなるはず)

少佐は車に行くまでの作戦とルートを考えるのだった。



「なんで少佐を狙う!」

シャーリーは相手の攻撃を捌きながら質問をする。

「決まってんだろ!あの女がムカつくからだよ!」

(そういうことを聞きたいんじゃない!)

シャーリーはそう思いながらも言うのを止めた。恐らく今のこの敵にいくら言葉を紡いだとて時間の無駄にしかならないと考えたからだ。

(蹴り、突き、突き、蹴り基本パターンはこれか)

シャーリーは質問しながら相手の動きを見る。

「あのカプセルはなんだ?合理派の連中となにか関係があるのか!」

「質問されて答える馬鹿がいるかよ!」

(そりゃそうだ)

シャーリーは相手の蹴りを躱すがズボンに掠る。蹴り一つでズボンが裂ける。どうやら切れ味も相当に向上している。

 (元々持っていた技術も底上げされてるのか…頭のオツムはそんなに変わってなさそうだが…)

 「じゃああのアンドロイドはなんだ?お前ひとりで作ることも買うことも出来ないだろ!」

 「だからうるっせぇんだよ!良いから大人しく死んどけ!」

 (パターンが変わった?)

 今までの蹴りと突きを混ぜた攻撃が変わり、今度は肘も繰り出す。負けじとシャーリーもアサルトライフルを前に置き、相手との空間を作り対処するがその猛襲が衰えることは無い。

 (パワー、スピード、スタミナ、技術上がったのはこの辺りか。格闘技の動きも混じってるから相当長くなにかやってたんだろう。恐らくムエタイか空手あたりのゴロツキか)

 シャーリーはこれまでの浅羽の動きから相手の動きの軸になっている技術を分析する。その動きの隙間を見てアサルトライフルを撃つが効果が薄い。これ以上は無駄玉にしかならないと考えていた。

 「そう…なにも喋る気はないんだな?」

 「だからそう言ってんだろ!」

 「じゃあそろそろ終わりにしようか?」

 シャーリーはそう言い笑った。その顔は完全に捕食者のそれだった。

 「あっ?なに言ってんだ?お前?今有利なのは俺だろうが!調子に乗ってんじゃねぇよ!」

 男はそう言いシャーリーに襲い掛かる。目と足を狙ったこれまでと同様の動きだった。だがそのスピードはけた違いだ。これまでの攻撃よりずっと早い。恐らくこれならどんなアンドロイドであっても、どんな生物であっても殺せるだろう。当たれば相手の骨や内臓を壊し、機能不全に陥らせることが出来る。当たればの話だが。

 シャーリーは相手の蹴りの内側に体を滑らせる。襲い来る手はダウンを顔の外に向けてガード。ダウンの外側が破れシリコンと鉄砂が漏れる。だがそんなことはお構いなしにシャーリーは左手に持ったアサルトライフルで相手の顎を撃った。

 発砲音が響き渡る。今回はしかもセミオート。何発もの弾が顎骨に突き刺さる。だがカプセルで補強された体には未だ有効打足り得ない。

 シャーリーは全弾使い切るとアサルトライフルを地面に捨て相手の顔を殴る。それも一撃ではなく何度もだ。下に、右に、左に相手の体を殴り続ける。普通の人間なら拳が折れる。だがシャーリーはアンドロイド。折れる可能性はなかった。

 「銃が効かなくても脳は揺れるだろ?外すよ」

 殴打を終えたシャーリーはそのまま相手の体を地面に倒し両肩の関節を外した。

 「遊園地からずっと考えてたよ。銃が効かないならどうしようかって。その答えがこれだよ。」

 「くそ!のけよ!」

 「痛覚が遮断されてるのか。道理で撃っても利かないわけだ。なら…」

 シャーリーは相手の足を掴む。

 「おいっ、お前なにしてる!」

 「決まってるだろ?こうするんだよ」

 シャーリー相手の体を片手でひっくり返す。その姿は赤ん坊と大人だ。

 「君あのとき言ったね?バイバイって。その言葉返すよ、バイバイ」

 シャーリーは相手の股間に足を置き無理やり股関節を外した。

 確かに相手は人外のバケモノだった。だけどシャーリーもまた戦争というバケモノに育てられたバケモノだった。


戦闘描写って難しい。

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