表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうしてそう、あなたは  作者: 垣花優羽
6/7

そうだ、逃げよう2

 ガタガタと馬車が揺れる。いつも乗り慣れている公爵家の馬車と違い、揺れが激しい。だが今はそんなことを言っていられない。


「ねぇ、母さま。いったいどこへ向かうの?」

「隣国よ。そこなら母さまのお友達がいるの。いつでも頼ってと言ってくれていたから、良くしてくれるはず」

「そう……」

「王都から出たら、宿に泊まって、朝、別の馬車に乗り換えましょう。大丈夫、母さまはあなたの母さま。ずっと味方よ」


 母さまは向かいに座る私の手を取り、言った。目を合わせ、母に微笑みを返す。あんなことがあった後ではあるし、現在逃亡中ではあるが、安心する瞬間だった。


 しかしなんだろう、ずっと違和感、というか変な感じがする。何かがおかしいような。母さまが部屋に入ってきた時から。


――部屋に入ってきた?


「母さま。さっき、どうやって私の部屋に入ってきたの? 鍵がかかっていたはず」

「鍵なんてかかっていなかったわよ?」


 なぜ? ノエルは確実に鍵をかけて行ったはず。逃げるな、と言い残して。……おかしい。よく考えるとおかしいことだらけだ。


 なぜ逃げるまでに誰ともすれ違わなかった?

 なぜ一般の馬車がうちの裏口に来た? 

 なぜ鍵がかかっていなかった? 


 全てがまるで逃げてくださいと言わんかのような……。


 その時、馬車の外で馬が激しくいなないた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ