どうして
初めての投稿作品です。温かい目で見ていただければ……!
「オリヴィア・フォン・クロフォード。ただいまをもって私、アルフレッド・グラハム・グレンヴィルとの婚約を破棄する」
「……承知いたしました。アルフレッド殿下」
三年生の卒業パーティーの真っ只中。きらびやかなドレスやタキシードで溢れかえった、学園の大広間の中央で殿下にそう告げられる。
私は素直に殿下の前へとゆっくり頭を垂れる、できるだけ優雅に。
周囲の人々の反応はそれぞれだ。感嘆の声を漏らすもの、”内緒話”をするもの、面白がっているもの。しかし意見は一つ。
「クロフォード嬢は反対しないだろう」
そして結果はその通り。
私は聞き分けの良い、抵抗などしない、そう、貞淑な女性だから。一も二もなく受け入れる。それが正しい行動。実際、私は何も感じていない。まるで殿下に対しての感情だけポカリと抜けたよう。
ただ、あなたにだけは見られたくなかった。殿下の横に控えるようにして立っている、弟にだけは。
私は頭を下げたまま、表情を誰にも見られないようにした。きっと見られないのをいいことに情けない顔をしているだろうから。
でも、
「どうして……」
どうしてそう、あなたはそんなに冷たい瞳で私を見るの、ノエル。