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前髪は違和感を感じる

卒業式まで、一週間。


何事もなく無事に此処まで時間を過ごすことが出来た。もちろん夜桜京との毎週末の営みもきちんとこなして来た。けれどそれもあと一週間でおしまいだ。やっとこいつらから解放される。廉太郎とは暫くは会えなくなる。それは寂しいが、ほとぼりがさめてからまた会いにでも行けばいい。今はこの現状から抜け出す為に逃げなければならないのだ。


「おはよう。君は今日も素敵だね。いつ抱かせてくれるのかな?」

「あ、あぁ、ありがとう、雅..........まぁそれは、うん、未定、かな?」

「照れてるの?かわいい」


発言はいつも通り変態性溢れるものではあるが初期の頃よりは落ち着いている。バイト先にも頻発に訪れるかと思ったが、そうでもなかった。一月に一度や二度くらいだ。だからこそ、怪しく感じる。※余談ではあるが京さんはほぼ毎日と喫茶店に通っていた。


(雅は何かを企んでいる。)


それは間違えない。第六感とでも言うのか、警戒心を強く感じる。


「あら、前髪さん。おはようございますわ。今日も私の夫に相応しい凛々しいお姿ですわね。妻として誇らしいですわ、ふふ。」

「ガサキさん、なんども言うけど俺たちは付き合ってないんだけど?」

「ふふ、クラスメイトの手前、お恥ずかしいのでしょう?妻は夫を立てるもの。その意向に今は従いましょう。」


意味深な笑みを浮かべ、自分の席へと戻っていくガサキさん。彼女もまた雅同様に何かしら計画しているのか?疑い出したら止まらない。平常でいなければ......


「前髪っち......進路表、就職って書いてたけどどうするの?」


後ろから声が掛かる。京さんとタイマンを張りボコボコにされた千城島薫だ。傷は既に治っており、今は前ほどギャル言葉を使わなくなっている。だけど反対に視線は以前よりも鋭くなった。現状、この三人のなかで一番に警戒しているのは正直に言うと彼女である。


「.......まぁ起業が目標だけど、基盤を整える為に会計士の資格を取って経験をつむつもりだよ。」

「大学には行かない感じ?お金困ってるならウチが出すよ。」


意外と面倒見がいい千城島。けれどその誘いには乗らない。


「見返りを求めるんだろ?」

「もち。起業なんかしなくていいっしょ。『サウザンド・カンパニー』の次期代表取締役社長に任命してあげるからさ。もちろん経験をつんでからになるけど、ウチが片腕兼妻としてサポートするから頑張ろう?」


日本国内売上高10位以内に入る『サウザンド・カンパニー』の次期社長。確かに魅力的な話しではあるがその役職を狙っている社員はごまんといる筈だ。批判の対象になりたくない。


「ありがたい話だけど、断らせて貰うよ。」

「へぇ。でもうちの話を蹴って起業出来ると......本当に思ってる?」


この女.....脅しているのか?とは言え起業というのは方便だ。するつもりはない。卒業後のプランをあやふやにぼかしているだけだ。京さんや母さん、そしてこいつらから逃げる。辺境地でスローライフを送ってやろうじゃないか。本当に逃げられるのかって?


「あぁ_______出来るね。」


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