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デコイちゃん達は雅を慕っている

「な、な、な、な、な、な」


壊れた様に幼馴染である夜桜雅は『な』を連呼する。先日ようやく見つけた彼のバイト先に入ろうとした矢先、窓からあり得ない人物が優雅にコーヒーを飲んでいる姿を目にしてしまう。


(なんでお母さんがいるの!?私でも見つけるの数ヶ月は掛かったのに!!)


雅はその場で地団駄を踏み、怒りをぶつける。


(彼の性格から絶対に口外するはずがない。そも彼は山田連太郎以外とはあまり関わりたくない態度を常にとってた。それを踏まえた上でお母さんに居場所を伝える?は、絶対にない。)


考えられる可能性は一つ。


(あのババァ..........私に発信機、GPSを仕掛けたなぁ!!)


許せない。私の努力をこうも容易くと奪って行くなんて。


「み、雅ちゃん...........大丈夫?」

「夜桜先輩、調子があまりよろしくない様ですが、また後日にしますか?」


デコイである同級生、そして生徒会の後輩から心配の声が上がる。直ぐに仮面をつけ、笑顔で彼女たちへと振り向く。


「うん、大丈夫だよ。ちょっと咳き込んじゃった。喫茶店に入ろっか!今日は私の奢りだよぉー」


二人はパァアと顔を明るくし、三人で一緒に喫茶店へと入る。


「いらっしゃいませー................げ、雅」


彼は私を見つけると若干引いた表情を浮かべる。可愛い。


「あれ〜前髪くん、ここでバイトしてるのぉー?」


デコイ(1)の同級生、『猫屋敷』さんが面白いものを見つけたと言った様子で彼へと絡む。


「ね、猫屋敷さん、や、やぁ............もう帰る?」

「いやいやいや、来たばっかりだから!てかそろそろ席に案内してよっ!」


細目で猫耳風の短髪少女である猫屋敷さん。うん、彼女はデコイだけど、危険度『B-』に設定しておこう。彼に色目を使おうものなら全力で排除してやる。ちなみにではあるが、猫屋敷さんはその人懐い性格から男子に非常に人気が高い。もし私や、あの女豹二人がいなければ学校一の美少女は彼女となっていただろう。欲に言うクラスで三番目くらいに可愛い女なのだ。ふ、雑魚が。


「_______前髪さん、ですよね。」


席に座った三人。すると生徒会の後輩だった『犬尾』さんが彼へと話を掛ける。


「まぁ、愛称でそう呼ばれてるね。本名はもちろん違うよ?」

「興味ありません。それよりも先輩、知っていますよね。我が校はバイト禁止であること。これは拘束に違反しています。」


彼はバツの悪い表情を浮かべる。可愛い。


「うん、知ってる。だから出来ればだけど、黙っていて欲しい。」

「何か理由があるんですか?」

「ごめん、言えない。だけど決して邪な理由じゃない事は信じて欲しい。」


少し困った様子の彼を眺めていたいが、そろそろ助け舟を出すとしよう。余談だけど、犬尾さんの危険度は『D』である。不良の子が子犬を拾ったり、虐められてる子を不良が守ったりする姿を見ると惚れる性格をしている彼女。義理のある不良が好きな傾向がある特殊性癖なのだ。とは言え奥手でもあるため彼氏はいた事はない。


「まぁまぁ犬尾さん、私からもお願い。彼のバイトのこと黙ってて欲しいな。」

「せ、先輩がそう言うなら...............」


これぞ出来る女の行動だ。ここまで信頼や実績を学校で築いて来て良かったぁ。


(中学生の頃は彼に熱中し過ぎてて周りを蔑ろにしてたからなぁ。)


さて、あのクソババァ..................さっきからニヤニヤとした表情でカウンター先からこちらを眺めている。


(これ以上、お母さんの好きにさせてたまるか...............彼は私が絶対に頂くんだから!!)

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